ライ麦畑で捕まえて
【ライ麦畑で捕まえて】
という本の著者、J.D.サリンジャーの半生を描いた映画
「ライ麦畑の反逆児~ひとりぼっちのサリンジャー~」を観た。
以前、読書好きの、そしてモダンタイムスでもオープン当初からよくライブをしてくれていた人に勧められたからだ。
「ヒロさん、この映画観た方がいいですよ。ライ麦畑を先に読んでもいいけど・・・
いや、やっぱり、映画を観てから、まぁ、本は時間があったら読んだらいいかな。」
「ライ麦畑で捕まえて」というタイトルは、どこかで聞いたことがあったんだけど、
ま―――――ったく内容も、作者も、こんな映画があったことすら知らない。
「この本は、あの・・・ジョンレノンを殺した犯人が愛読していた本とかで有名なんですよ。
(犯行直後にも読みふけっていたらしい)だからちょっと、この本自体は、まぁ、なんていうか・・・それより、映画を観てほしいですね。」
「ふーん。」
それ以来ずっと気にはなっていて、こないだ「万引き家族」を観た時も、最初にこの作品をビデオ屋さんで探したんだけどなかったので・・・今日はサブスクに登録して観てみることにした。
なるほど、という内容だった。
・・・作家を目指している20歳の青年サリンジャーの、大人たちへの反抗、社会への抵抗、でも、自分自身が大人に向かっていくにつれ、純粋さと欺瞞のはざまで揺れ動く心。
作家になる=出版する
・・・なのか。
自分の思いを捻じ曲げてでも、編集者の言うことを聞いて、出版すべきなのか。
売れることが、大事なのか。
物語の間に、戦争が起き、戦地で恋人の裏切りを知り、そして仲間たちが死んでいくという経験をして、そのトラウマに悩まされる。
戦争から生還し、その後トラウマにより文章を書けなくなったサリンジャーは、ある僧侶と出会い、瞑想をするようになる。
「文章を書くという事は、自分にとってなんなのか。」
その意味を、少しずつ深めていくようになる。
作家、芸術家と呼ばれる者は、どこか精神や思考、行動に欠陥があり、うまく社会となじむことができない。
純粋であるがゆえ、純粋に自分の作品と向き合おうとするがゆえ、社会との溝はおおきくなっていく。
・・・
最終的に、サリンジャーは、「ライ麦畑」の中で、こう書いている。
「1000という子供たちがいる広いライ麦畑で、大人は僕一人。走り回って崖から落ちそうになる子供たちを、しっかり捕まてやらなきゃならないんだ。ライ麦畑の捕まえ役、そう言ったものに僕はなりたいんだよ。
本当になりたいものといったら、それしかないね。
ばかげていることは知ってるけどさ。」
やがてサリンジャーは、世の中の嘘や偽りに辟易して
山の中に籠ってひっそりとした生活をおくる。
その中で瞑想をし、文章を書く。
それでもまた裏切られたサリンジャーは、今度は、広い敷地に塀をつくって、誰も入ってこれないようにする。
そうして、結婚した奥さんや子供とも別れ、91歳の最期までそこで一人で暮らすことになる。
・・・なるほどね。
なるほどね。
「ライ麦畑で捕まえて」の愛読者が、
「まるで自分の事のようだ、自分の事に違いない」と感じたのと同じように
やっぱり私も、自分を重ねて観る部分が大いにあった。
まだまだ、そっち側という事か?48歳にして(;^_^A
良くも悪くも。
まぁ、私の場合、ライ麦の主人公ではなく、作者のサリンジャーの半生に重ねるんだけどね。
結局は同じことかな。
自分にとって「子供たち」が気になる(いつか、児童養護施設を創りたいと思っています)理由も、このあたりにあるのかもしれない。
今まで、そんな風に考えたことなかったけど。
そして
作品を世に出すという事で与える影響力
(これは音楽でも文章でも絵でも写真でも映画でも・・・昔シャンソンを習っていた時に、
エディット・ピアフが新曲を発表したら自殺者が増えた、というエピソードをきいたことがある。)
売れるという事
成功とはなにか
幸せとは何か
自分自身、物書きになりたいという事、大きなシャボン玉のなかで、一人で生きているような感覚、
そしてライブハウスという、「商業的」な「アート」の世界にいること
お金や、ミュージシャンたちと向き合う事
子供たち
トラウマ。
その人が、私にこの映画を観た方がいい、と勧めてくれた意味がよくわかる。
今このタイミングで、「観よう」と思ったことも、これまた偶然ではないだろう。
つい最近
「あの大臣とか、政治家とか、○○協会の会長とか・・・嘘ばっかりついているお偉いさんたちも、学生の頃は、尾崎豊とか聴いてたんかな・・・」
って思ったことがあって
あっち側とこっち側とその間と・・・。
若者も、いつかは大人になるわけで。
・・・あぁもう、とりとめがない。
この話はもっともっと深めてみたいと思うので
今日はこの辺にしておく。
あえて、
答えは出さないで寝ようと思う。
2021年5月31日(月)ModernTimesヒロ