ママ・スイッチ
※この文章はもともとマトリックスの新作見たさに過去作にあれこれ思いめぐらせる、と言った内容でしたが、書いている途中で、ママスイッチの概念が現れてしまい、膨らんでしまったので2つに分けました。マトリックス関連に興味を持ってくださってイイネを下さった皆さん、こちらに移動しました
https://note.com/hiro_yamaneko/n/nff44bdaa8ab2
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いつの頃からか、僕の頭の中に「ママ・スイッチ」という概念が生まれた。
我が子やダーリンがピンチの時、自然に入ってしまうスイッチ。
元旦、夕飯の支度をしていたら、ドスンと音がした。続いて「来て!お父さんが」と母の声。父が風呂場の脱衣所で転倒したのだ。狭い脱衣所に丸裸で九の字に横たわる父がいた。
母は自らの力など考えず鍛冶場の馬鹿力を発揮しようとして、実際は出なかったのだが、必至に父を抱き起こそうとしていた。
何も性差で男が弱い・女が強いと言っているわけではない。
いつも強いわけでもない。
ただ時折、ママさんは、旦那や子どもがピンチの時、思いもよらないパワーを発揮するという事が言いたいのだ。
これはパパさんもそうなのだと思う。
そのスイッチは例えれば我が子が肉食獣に襲われた時、明らかに体格も力量も上のはずの猛獣に向かって必死に争(あらが)う草食動物の母のように、あらかじめ僕たちのどこかにプログラムされていてオンになるのだと思う。
僕はこれを「ママ・スイッチ」と呼んでいる。パパ・スイッチでも良いのだけど、最初にこの言葉を考えついたのはYouTubeで昔流行ったこの手のビデオを見たから。
映画ターミネーターではめちゃくちゃ強いおかあさんサラ・コナーがストーリーの中核を担っている。
思い返すとうちの母は僕が小学校の低学年の頃、銀行で電話交換士(そんな仕事があったんだね)の仕事や、事務のパートをしていて、パート先までものすげえ坂を毎日自転車で行ったり来たりして家計を支えていた。今では母は転倒が怖くて自転車には乗れなくなってしまった。
同時に七宝焼のアクセサリーの趣味もやってたし、パンも焼いて友達と売り歩いていたりした。
楽しそうだった。友達にもきれいなお母さんだねとよく言われた。
小さいお子さんを抱えているママはものすごいエネルギーがある。男はかなわない。
でもそれがただ強いだけじゃなく。柔らかい。思わず微笑んでしまう。こっちも幸せになってしまう。応援したくなる。
そういう穏やかなママスイッチもあるけど、殺気さえ感じるママスイッチもある。マトリックス3でネオを守ろうと我が身を顧みず電脳世界に潜入するトリニティのように。
Amazonプライムビデオを物色し、偶然見つけたのが、ママスイッチ全開なハル・ベリー主演のこの映画。
突如訪れた状況の変化や苦境に、柔軟に適応したり、時には牙を剥き、時には引き下がり、時には絶望して泣きじゃくり、時には怒りに震えてがむしゃらに…しかしいかなる瞬間も決して目をそらさずに正面から立ち向かおうという姿に感動した。
男女関係なくこうありたいと思わせる映画だった。
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