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【福島】日常を奪われた時に何を思うか

今回も引き続き冬の青春18きっぷで福島を訪れた様子をお届けする。
是非、前回までの記事も読んで頂けると嬉しい。

伝承館で感じたこと

到着したバス停から30秒ほど歩いて「東日本大震災・原子力災害伝承館」に到着。寒いかなと思ったが日差しが強かったのでダウンを着ていたら暑いぐらいだった。

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2020年9月25日にオープンしてから1年弱。
かなり綺麗な建物で中も広々としていて外の光が沢山入る良い雰囲気。

明るくて感じの良いスタッフさんが迎え入れてくれる。大学生くらいの若い女性だ。
「彼女は震災を体験したのだろうか?」「どんな思いを持ってここで働いているのだろうか?」とか考えてしまう。

入館料は大人600円。券売機で購入。

まずは大きなシアターで震災当時の映像を見る。
ナレーターの方が福島弁で話しており一気に引き込まれた。その土地の言葉で当時の話をされると何故か泣きそうになる。

映像を見た後は螺旋状の通路に展示されている原発に関する年表を見ながら展示室へ向かう。社会科見学の子供たちも何人かいて熱心に勉強していた。
震災から10年。小学校低学年の子達は震災を経験していない世代なのだなという驚きを感じながら次のフロアへ。

展示室内は資料も多くて充実しており、説明員の方々も所々いるので聞けば説明をしてくれる。
最近になって全館撮影可能になったそうだが展示内容に集中したかったのであまり写真を撮らなかった。パシャパシャとシャッター音を響かせる雰囲気でもなかったのもあるが。

展示内容から感じることは「地元にとって原発は身近な存在だった」ということ。社会科見学に行ったり、お祭りをやったり、優秀な人材が街に集まってきて教育レベルが上がったり、雇用が生まれたり。町に大きな恩恵をもたらしてきたことが分かる。

泥の中から見つかった学生鞄にも「原子力」と書いてある。子供にとっても身近な存在だった様だ。

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しかしあの日からそれは一変してしまう。
今まで身近な存在だった原発。その原発が地元に被害をもたらしたときそこに暮らす人達は東電に何を思ったのだろう。原発で働く地元の人もいるしその家族もいるだろう。東電の関係者とも親しくしていた人達もいると思う。

もし自分の地元で同じような事が起きたときに何を思うか。自分がそれに対して怒りや憎しみを抱いたとき、その矛先は誰に向けてしまうのだろうか。そんなことを考えながら展示室を進む。

途中、興味深い数字があった。
福島県内での死者数だ。


震災というと福島を始め、各県での津波や地震被害で多くの方達が亡くなったという印象が自分の中では強かった。しかしこの数字を見て、説明員の方の話を聞くと震災での災害死より震災関連死の方が多いのだ。
他の県と比べてみてどうなのだろうかと思って調べたところ21年2月22日付の河北新報の記事があったので是非参照して頂きたい。このグラフから見ての通り福島が圧倒的に多いのが分かる。特に原発の避難区域に指定された町の人たちが多いのだ。

「震災で亡くなった方=津波や地震で亡くなった方」という自身の固定観念をぶち壊すデータだった。

また、今回の訪問の目的に「震災を体験した人から直接話を聞きたい」という思いがあった。
伝承館ではほぼ毎日語り部による様々な講演が行われており、この日の11:30から行われた語り部は原ノ町で被災した主婦の方だった。
体験談の中で彼女は原発に仕事で行った際に福島第一原発の原子炉を見て妙な胸騒ぎがしたそうだ。その理由は語っていなかったので、それは海から近いからなのか過去の原発事故を見てなのかは分からない。

同時に彼女は、東電や国が「当時そこに住む人達には何も教えてくれなかった」と言っていた。
東京に住んでいた私も何も知らなかった。放射能が飛んでくるといって学校も休校になった。当時の福島で暮らす人達は避難も強いられなおさら不安と怒りを感じるだろう。自分もその時に福島に住んでいたらそう思うはずだ。
しかし、もし自分が東電の担当者や当時の首相という立場だったら果たして直ぐに真実を伝えられるだろうか。そんな事を考えながら語り部の方の話を聞いていたらあっという間に時間が過ぎた。

語り部講演を聞いた後は伝承館の外の展示へ。
外には津波に飲まれた消防車が展示されている。乗っていた方達は無事だったみたいだが津波の威力を見せつけられる。硬い素材で出来たものがここまで変形させられると、生身の人間は元も子もないなというのを改めて実感させられる。

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最後に館内に展示されている請戸小学校で被災したピアノを見て見学終了。そこに展示されていた物を見ると浪江中では3月11日は卒業式だったことが分かる。多くの場所で卒業式が行われていたその日。門出を祝う親たちと新しい学校に進む学生たち。彼らは卒業式の後にどうなったのだろうか。


滞在時間は2時間半ほど。もっとじっくり映像や説明を見ていたら3時間半はいきそうな勢いだった。それほど内容は充実しており、自分の頭を使って色々考えながら回ると良いと思う。ただ流しながら見るには勿体ない。

まとめ

今回は伝承館の紹介と私が実際に感じたことを記録した。
次回は震災遺構の請戸小学校を訪れた時の様子と双葉駅周辺の様子を写真でお届けする。



今回訪問した場所
・東日本大震災・原子力災害伝承館

*語り部のスケジュールはウェブサイトで確認できます。





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