増水した川には近づいてはならなかった
台風が近づくと、テレビなどで、「近くの川のようすを見にいかないでください」と、アナウンサーが繰り返し注意を喚起する。「気になってもいかないでください」と——。
台風10号の当日、雨で、散歩の途上にある境川があふれそうだとスマホに流れてきた。数10年前、改修がおこなわれる以前は普段の雨でも頻繁に氾濫していたという。浅く、蛇行して、川というよりは用水路のような趣きだったに違いない。
昔日をしのばせる川の痕跡が河畔林にいまも残っている。これでは、ひとたまりもなくあふれていただろうと思うお粗末さだ。
川は、町田市相原の小高い山に発し、江ノ島近くの片瀬海岸で相模湾に注ぐ全長52キロを流れる。台風10号で川があふれる警戒情報が取り消された翌日、水量はどれほどかと、ワクワクしながら見にいった。
半分くらいは、まだ水が流れているのではないかと、妙な期待をしながら出かけた。たしかに、いつもの三倍くらいは水量があり、土色に濁っていたが、すっかり、落ち着いた川となっている。
そんなサマを、落胆も含め、フェイスブックに書いた。案の定、畏友のひとりからお叱りを受けた。こういうときの川は危ない。ニュースでも連呼していると……。ご指摘のとおりである。気楽にレポートなどすべきではない。深く反省した。
今朝、ビデオレコーダーがいっぱいになったので整理していた。なぜか、NHKの『クローズアップ現代』が録画されている。そこに、台風などで増水した用水路に、高齢者や子供が転落して亡くなる事故を扱っていた。普段はあまり危険を察知できないような小さな用水路である。
番組のVTRを見て、あらためて用水路の死亡事故の実態がわかった。対策のむずかしさもわかる。まずは、なによりも、いい年をして、増水した川を見てきたなどとレポートしてはならい。あらためて、お調子者である自分の軽薄さを反省していた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?