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川辺のアシにもかなわない
台風10号は消滅したらしい。今後の大雨の予報はどうなったのだろう。台風の予報はあまり当たらないが、今回の10号ほど、予報が大きく外れまくった台風も珍しい。そこで、消滅したあとの予報もあまり信じられない。
いつも、台風の襲来とともに関連したニュースが報じられる。決まったように、川のようすを見にいった方が増水した川に流され、亡くなる。田んぼなど、自分の耕地が気になるからだろう。たいてい、老齢の男性である。
ぼくのように野次馬根性を丸出しで出かけていったわけではあるまい。長く生きてきて台風の危険はいうまでもないし、子供のころからなじんできて地形にも熟知しているはずだった。それでも流れに足を取られて流され、命を落としてしまう。
それだけ自分の身体の衰えに気づけなかったのだろう。まさかその程度の水で足を取られるとは思っていなかった。たとえ転んでも、容易に立ち直れるはずで、自分が流されてしまうなど思いもよらなかった。年をとるというのは、そういうことなのだろう。
ぼくのように、ただ、物見高いだけで川を見に出かけていったりはしていないと思う。歩いて30分ほどかかる境川は、昨日、どうやら一時は「氾濫危険水位」に近づいたか、達したらしい。そうなると、じっとしていられない。翌日だろとぜひとも川をのぞいてみたい。
午前7時、雨は上がった。薄日さえ指してきた。そそくさと遅い時間の散歩へ出かけた。きっと、川の水量は堤の半分近くは残っているのではないだろうか。そんな期待(?)を胸に川へと向かう。
30分後に着いた川をのぞくと、たしかに濁った水が勢いよく流れている。しかし、たいした水量ではない。最盛期は堤の半分近くあったらしい。中州にはびこっていたアシたちがすべておじぎをしているからだ。場所によってはいまだに急な流水に洗われている。だが、彼らはたちまち立ち直ってしまうだろう。