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旬の秋ナスを焼いて食べる

 ナスは好きでも嫌いでもない。目の前に出されれば食べるが、ナスが食べたいと熱望するほどではない。ただ、ナスの冷たいみそ汁は「うまい!」と思う。これだけは忘れられない。きっと、幼児体験のひとつなのだろう。

 ナスが旬らしいというのは毎朝の散歩でわかる。ナス畑の脇に軽トラックが止まり、毎朝、農家の方がナスの収穫に余年がないからだ。荷台には八百屋のロゴが入った買い物カゴが置かれ、取り立てのたくさんのナスが入っている。このあと、家に持ち帰り、袋詰めにして納品されるわけだ。

 そんな光景を、毎朝、見ているので、買い物のとき、ついつい、ナスに目がいく。だが、ひとり暮らしだと、袋に入った数個のナスを食べ切るのがなかなか大変である。うっかりしていて、冷蔵庫の野菜庫で腐らせてしまったことがある。キュウリだと切ってみそをつけ、夕飯のおかずのひとつにできるがナスだとそうはいかない。

 ひと袋のナスを買ってきてみそ汁の具にして夕飯のときに食べると、みそ汁は1週間ほどナスばかりである。みそを3種類用意して日替わりにしているが、それも好きな赤みそばかりなので、あまり変わり映えがしない。

 スマホで検索すれば、いろいろなナスの料理があるだろうが、ひとり暮らしの男の料理である。その男は並外れて無精者ときている。味よりも作るのが簡単でないと絶望する。作れるはずがないからだ。

 ただ、自分の作った料理を食べ終わったあとは、毎回、「ああ、おいしかった!」口走っている。ウソではない。本気でそう思う。ごくまれに、外で食事をする機会がある。人さまが作った料理は、もう、極上の味である。

 昨夜、極上の焼いたサンマをつっつきながら、古いつきあいの女性に簡単なナス料理を教えてもらった。グリルでナスを焼けばいいそうだ。なるほど、これなら自分にも作れそうである。明日にでも、さっそく、ナスを買ってきて焼いて食べよう。

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