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音質改善に役立つノイズの種類とその特徴・原因、対策について
オーディオの整音はとても重要です。
音声に含まれるノイズをうまく処理することで、ユーザーに聞きやすい音声になります。
今回はノイズの種類と特徴、その対処方法についてまとめました。
ホワイトノイズ (White Noise)
【特徴】
周波数分布:可聴周波数範囲全体(20Hzから20kHz)にわたって均等に入るノイズ。特定のピッチやリズムがないランダムな信号
音のタイプ: 「シャー」「サー」という持続的な音。
【原因】
電子機器の回路からの自己ノイズや熱雑音。
自然現象に起因するノイズ(大気や磁気、電磁波に起因するノイズ)
【対策】
ノイズリダクションツール(iZotope RX、Adobe Auditionなど)を使用し、ホワイトノイズを除去します。ノイズプロファイルをキャプチャ(ノイズ部分を読み込み)し、ノイズリダクション処理を適用。
ピンクノイズ (Pink Noise)
【特徴】
周波数分布:低周波数成分が強く、高周波数成分が減少するノイズ(1/f)。周波数が1オクターブ上がるごとにエネルギーが半分になる。
音のタイプ: ホワイトノイズよりも低音が強調された「ザー」という音
【原因】
電子機器の回路からの自己ノイズや熱雑音。
滝の落水や波の音、風の音など自然界の音や機械音
【対策】
高周波部分と低周波部分をEQ(イコライザー)で調整。
ブラウンノイズ (Brown Noise)
【特徴】
周波数分布:ブラウンノイズは、周波数が高くなるにつれて振幅が1オクターブごとに6デシベル(-6dB/oct)ずつ減少する特性を持つ。
周波数が2倍になるごとに振幅が約半分になります。低周波数領域でエネルギーが高く、高周波数領域でエネルギーが低い特性を持ちます。これにより、低音が強調されていると感じられます。
音のタイプ: 低音が非常に強調され、「ゴー」という音。
【原因】
長時間の低周波音(例:波の音や雷の遠音)。
【対策】
高周波部分と低周波部分をEQ(イコライザー)で調整。
ハムノイズ (Hum Noise)
【特徴】
周波数分布:通常50Hzまたは60Hz(電源周波数)およびその高調波。
音のタイプ: 持続的な低い「ブーン」「ビーン」という音。
【原因】
電源や電気機器の干渉
複数の電子機器が接地された異なる接地ポイント間の電位差によって発生
【対策】
EQで50Hzや60Hzの周波数帯をカット。また、iZotope RXなど編集ソフトでハムノイズ除去フィルターを使用。
クリックノイズ (Click Noise)
【特徴】
周波数分布:広い周波数帯域にわたって発生
持続時間:短く、数ミリ秒から数十ミリ秒程度の短い時間。
音のタイプ: 突然の「ポツッ」や「パチッ」という音。
【原因】
デジタル信号処理のエラー: オーディオ信号を処理する際に、エラーが生じた場合にクリックノイズが発生することがあります。これは、バッファのオーバーランやアンダーラン、データの欠落などが主な原因。その他マイクやレコーダーの故障やオーディオ編集時のエラーで発生することがある。
【対策】
iZotope RXなど編集ソフトでDe-Click (デクリック)を使用。
ポップノイズ (Pop Noise)
【特徴】
周波数分布: 広い周波数帯域にわたって発生
持続時間: 一般的に短く、数ミリ秒から数十ミリ秒程度の短い時間。
音のタイプ: 突然の破裂音や爆発音「ポッ」
【原因】
マイクから非常に近い位置で発音すると、音声の衝撃が直接マイクに伝わり、ポップノイズが発生することがあります。特に「p」や「b」などの爆発音が多い単語や音はポップノイズの原因となりやすい。
マイクやオーディオ機器の接続部分で静電気が放電することで、ポップノイズが発生する。
【対策】
ポップフィルターを使用して録音。すでに収録した音声の場合は、iZotope RXなど編集ソフトでデポップツールを使用して除去。
リップノイズ (Lip Noise)
【特徴】
周波数分布: 通常は高周波成分が主体でシャリシャリした音が特徴。
持続時間: 発音中に一定期間、連続して発生しますが、発音の終了とともに急激に減衰。
音のタイプ: 口や唇の動きに伴う擦音や摩擦音のようなノイズ
【原因】
話者の口や唇の動きから生じる摩擦や擦過によって発生します。口唇の動きや口腔内の湿潤度が影響する。またマイクの位置が違い場合口唇の動きや摩擦音がマイクに伝わりリップノイズが強調される。
【対策】
EQで高周波成分をカットするか、iZotope RXなど編集ソフトでデクリックツールを使用して除去。
ハンドリングノイズ(Handling Noise)
【特徴】
マイクを手で持つ際に発生する摩擦音や振動音
音のタイプ: 「コツコツ」「カツカツ」「チッ」
【原因】
マイクの手持ちによる振動や動き
【対策】
気を付ける
ショックマウント、持ち手部分の衝撃を緩和
該当する周波数成分をEQ等で調整、カット。
その他ノイズ
風切り音:マイクに直接風が当たることで発生する「ボワッボワッ」というノイズ。屋外録音や屋内でもエアコンの風が当たる場合などでも発生。
電磁ノイズ(EMI /Electromagnetic Interference):電気的または電子機器から放射される電磁波がノイズとなって入る。電源線、通信ケーブル、電子機器の回路や配線などから放射されることがあり、広い周波数範囲にわたって現れます。※先に書いたハムノイズはこの電磁ノイズ(EMI)の一部。
クラックルノイズ(Crackle Noise):不規則な「パチパチ」という音。古いレコードや不良なケーブル接続による接触不良。
まとめ
たくさんありましたね。おおよそ上記ノイズの種類と発生する原因を理解しておけば、録音時や整音作業がやりやすくなりますね。
また、ノイズの除去には波形編集ソフトのiZotopeRX(スタンダード以上)やAdobeAuditionが使いやすくおすすめです。
iZotopeRXはそれなりの値段になるので、AdobeAudition(CC契約で使える)やDavinci Resolve(無料)を使われる方は、付属のノイズリダクションで対応試して、さらにクオリティを上げたい場合iZotopeRXの検討がおすすめです。
よぜ色々試してみてください!