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美術館ビギナー会社員が、「モネ展」へ足を運んで気づいたこと (2025/2/5 #117)

先日、上野の国立西洋美術館へ足を運び『モネ睡蓮のとき』という美術展を見てきました。

美術館へは、半年ほど前に行った以来。

まだまだ美術館ビギナーと言っていいと思える私。

今回、想像以上の混雑ぶりのなか鑑賞するなかで「逆張りで動いてみる良さ」や、「美術鑑賞・note執筆・意思決定のつながり」など、美術に詳しくない人ならではの気づきが多かったのでそれについて書いていきます。


前売り券も買って準備万端で美術館へ行くも・・・

前回デ・キリコ展を観た際、ゆっくり鑑賞する楽しさを知ったので、今回も混雑回避のために平日に半休を取って美術館へ。

チケットはアソビューで前売りしてたので、そちらも購入。
ほぼノープランだった前回と比較し、準備万端!

が、美術館に到着すると「前売券を持ってる人の列」なるものが出来ており「入館までの目安40分」なる看板が!!

なんということでしょう、モネさんの人気を甘く見ていました。

ただ、この行列にも気づきがありました。

行列から垣間見る、来場者の属性

前後で待っている人達の話していることが、なんとなく聞こえてくるのですが、どうも外国語が多い。

ざっくり10人前後に並んでいると2~3割は外国(アジア圏中心)から来ている方っぽいです。

今回の展示内容について調べてみたところ64の作品のうち50点弱がパリのマルモッタン・モネ美術館の作品ということで、例えば中国・韓国・台湾といったあたりから「パリにはなかなか行けないが、日本にモネが来るなら行ってみよう」というモネ展目安の観光者がいてもおかしくないと感じます。

2~3割は、あくまで私の前後だけなので、全体のうちどの程度がインバウンドか分かりませんが、一定程度、海外からのお客さんもいるのかと。
そんなこともあってか、モネ展、直近までの入場者数が70万人を突破したそうです。

コロナ禍前の2年間の入場者数データを見てみると、年間140万人前後というところだったのが、4か月ちょっとの企画展で70万人を集めているので、その人気ぶりというのがうかがえます。

国立西洋美術館来場者推移
出典:国立西洋美術館概要(2023

混んでる中でも「逆張り」で動くと気づくことも

そんなこんなで、何とか館内へ。

キリコ展で音声ガイドを使ってみたところ良かったので、今回も躊躇なく購入!ガイド役は石田ゆり子さん。

先述の通りの行列なので、館内も人でいっぱいです。
作品横の説明も、なかなか読んでいられないので、そういう意味でも音声ガイドは活躍してくれました。。。

最初は行列にくっついて、流れるように作品鑑賞してたのですが、途中から最前列で見るのをやめて、行列から少し離れたところから眺めるようにしました(もちろん後ろに人がいないくらいの場所へ下がって)

当然人垣があるので、見えないタイミングもあるものの、焦らずボーっと待っていると、人垣の合間から作品が見えるタイミングがやってきます。

登山やっていると、雲に隠れて見えなかった景色が、ふと見えるタイミングがあるのですが、それに近い感じです(どんな感じだ)。

美術館ビギナーの私からすると、間近で見て「筆致がどうだ」とか分からないので、全体が眺められれば今回はもうOKとしました。

で、遠くから見ると、良いこともあって、複数の作品を同時に眺められる事。

特にモネは「連作※」というアプローチをとっており、今回の展示も複数の作品を並べ連作が構成されていたのですが、遠くからだと、それらを見比べることができる。これはこれでイイなと。

あえて他の人と逆張りで動いてみることで、違ったものの捉え方ができると感じた次第です。


※連作
モネは気に入った画題を見つけると、季節や時間を変えながら微妙に異なる色彩で、同じ場所、同じ構図の作品をいくつも残し、それらをズラリと並べて発表してきた(出典:『モネ入門』



見どころの「睡蓮の間」から晩年の作品群へ

今回の見どころの1つが、楕円形の部屋に、様々な睡蓮の作品を並べ囲んだ空間。パリのオランジェリー美術館には「睡蓮の間」があり、それを模した空間のようです。

ここでは石田ゆり子さんの音声ガイドが、
さあ展示室の中央へ、辺りを見回して睡蓮の浮かぶ水面に包み込まれる感覚にひたってください・・・
と語りかけてきます。


が、


展示室の中央に行っても「人しか見えねえ・・・」(苦笑)

それもそのはず。こちらの部屋では写真撮影OK。
ということもあり、とりわけ作品の前にお客さんが集中しています。
(石田ゆり子さんは何も悪くないです)

かくいう私も、先ほど同様いったん遠くから眺めつつも、この場所は前線へ進み写真も撮ってきました。

「睡蓮の間」を抜けると、生前のモネの様子が映し出された映像が流れるコーナーがあり、しばしそれを眺め(モネさん、めちゃくちゃタバコ吸ってましたねw)、晩年の作品が集められたコーナーへ。

晩年のモネは白内障により視覚が衰えていくなかで創作を続け「絵具の色の表示やパレット上の場所に頼って制作を行うことさえあった」とされますが、そういったことが感じられないくらいに鮮やかな色づかいの作品が多く、印象に残りました。

モネから学ぶ「何を選び取るか?」

なんだかんだで2時間ほど滞在し、混雑した中でも自分のペースで焦らず鑑賞し、いろいろ感じ取るものがありました。

作品の論評などはできませんが、1つ印象的だったのは「どこにクローズアップするのか?」ということ。

今回の展示会も、展示序盤は「引き」の構図で風景全体を描いた作品も展示されてましたが、徐々に睡蓮はじめとしたモチーフにクローズアップした作品の展示が増えていった印象です。

このクローズアップした作品が、現代特に人気を集めている。

モネがどのような経緯をたどり、このようなクローズアップを始めたかまだ理解できていないのですが、何を選び取るか(何を切り落とすか)により人を惹きつけるかどうかが変わるのだと実感します。

私が美術館に足を運ぶキッカケとなった山口周さんの『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』に「優れた意思決定の本質」は「捨てること」にあると書かれており、モネの作品と現代における評価(人の集めぶり)を目の当たりにすると、まさにその通りだなと。

そしてデザインと経営に共通する本質は「何を拾って、何を捨てるのか」とも述べられています。

いま思うとnoteを書くのも、何かを見聞きしたことから「何を拾って何を捨てるのか」を選択する作業とも言えます。

私もやってしまいがちですが、見聞きしたことは「全部乗せ」したくなるものの、取捨選択が大事。それが社会人としての意思決定力を磨くことにも通ずるはずだと。

ということで、美術鑑賞をしながら、最後は思いがけずnoteを書くことの効用に気づけた体験となりました。

上野での展示は来週11日まで。その先、京都・豊田でも展示会が開かれるようです。まだ見てない、という方はチェックしてみてはいかがでしょうか?

(余談)
モネ展を見終わったのは閉館30分前といった時間帯でしたが、さすがにこの時間は入場待ちの列は無かったです。逆張りで動く、という意味では閉館近くに足を運ぶのもアリかも、と思いました。時間切れになるリスクもありますが・・・。

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ひろさと
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