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小惑星番号134340(Pluto)を歌うBTS

BTSの楽曲の中に数字だけのタイトルの曲がある。「134340」だ。
”134340”とは冥王星を指す。かつて惑星だったはずが、惑星の定義から外れてしまい準惑星となったかつての冥王星(Pluto)は、小惑星番号134340と番号が付けられた。134340個目の小惑星ということらしい。面白いけど、物悲しくもある。

日本語字幕【 134340 】 BTS 防弾少年団

                          あみにチャンネル
 Full album 『LOVE YOURSELF 轉 `Tear`』 2018.05.06
 作詞・作曲:Pdogg, ADORA, 정바비, RM, Martin Luke Brown, Orla Gartland                        슈가, j-hope

『BTSきっての異色作であると同時に、もっとも創意工夫に富んだ「134340」。80年代後半にタイムスリップしたかのようなヒップホップビートとともに幕を開けると、ジャズギターとフルートの優美な調べがJUNG KOOKのヴァースを取り囲む。JUNG KOOKは、情緒あふれる歌声で太陽系の惑星から脱落した冥王星(現在、冥王星には134340という小惑星番号が振られている)の悲しみを歌う。そこに“堕ちた惑星の命にいったい何の意味が残っているんだろう?”や“僕の冷たい心は248度”など、冥王星に扮したRMの誠実なラップが差し込まれる。冥王星の自負心は、まったく揺るがない。荘厳なプレコーラスも秀逸だ。—C.A.』

Rolling Stone BTSの名曲100選:「134340」(2018年)の解説より

歌詞をみると「太陽」という彼女に振られた僕(「冥王星」)の悲しみを歌っているように聞こえる。天体(星)を擬人化していて面白い。
歌詞に「君は本当にErisを見つけ出したのだろうか」という箇所があるが、冥王星が惑星から外されたきっかけの1つに天体「2003 UB313」の発見があるが、それがErisと呼ばれている。大きさも冥王星と同じかそれ以上と言われ、冥王星の第9惑星に続き、Erisが第10惑星と思われていた。当時、冥王星の大きさは地球と同等がそれ以上と言われていたが、その後、月よりも小さい天体だということがわかっている。
冥王星は、勝手にサイズを間違われて「惑星」に定義され、今度は定義が変更されて「準惑星」とやらに定義し直され番号で呼ばれるようになり、踏んだり蹴ったりである。彼はただ静かに太陽から遠い位置で大きな楕円を回っていただけ。失礼な話、彼にしてみれば。冥王星の気持ちを代弁するBTSの優しさがあふれた歌。

どうあれ、小惑星番号134340(冥王星)は美しい。

地球は1年かけて太陽の周りを回るが、「134340 Pluto」は247年かけて太陽の周りを回る。1930年に発見されてまだ90年ちょっと。100年も経っていない。太陽の周りの周期を1/3超えたところ。1周もしていない。ちなみに「136199 Eris」は560年かけて太陽の周りを1周する。

国立科学博物館HPより

遠く離れた地球のアイドル(BTS)に気にかけてもらえるPlutoとEris、羨ましいぞぉ(そこ?)。遠くからの毀誉褒貶の風は勝手にどうぞと、美しい表面を持つ天体Plutoは淡々と自己の軌道を進む。BTSにも似て。

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