色とともに歩み続ける。SHINYA KOZUKA2025年春夏コレクション
今回でブランド創立10周年を迎える小塚信哉率いるSHINYA KOZUKA。
会場は国立競技場のアスリートスロープ。来場客にはうちわとビールというなんとも嬉しいプレゼントを配り、会場全体がリラックスした雰囲気に包まれたところでランウェイはスタートした。
今回のキーワードは「青」。ビールとともに来場客に配られた「いろをわすれたまち」という絵本が今回のコレクションのキーだ。
『色のない街に住む冴えない一人の絵描きが、ある日「青」という色のついた絵画を見つけ、その中にある「色」の溢れた街で暮らす住人と出会うことで物語が始まっていく。
次第に「色」の豊かさを実感し、今度は自分の住む街にも「色」を与えていこうと決心し絵描きはペンを取り始める』という作品。
デザイナーの小塚信哉曰く、この「青」という色は友人や家族の存在。ブランドを初めて10年間、何度もつまづいたことはあったが、その都度助けてくれたのはそんな「青」という色のある人たちの存在であり、会場も青を基調として構成されている。
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「読み進める」ランウェイルック
今回のコレクションはまるで「いろのないまち」を読んでいるかのように、最初に絵本の表紙がプリントされたトップスを着たモデル、最後に絵本の裏表紙がプリントされたトップスを着たモデルで締めくくられる。
ルック序盤はモノトーンが中心。中盤には徐々に洋服に色がついていき、終盤にはまた色がなくなっていく。来場客に配られたビールの存在もあってか、今回のコレクションはリラックスして難しいことを考えずにコレクションを楽しむことができた。
しかし、そんな中でもちゃんと観客が「着たい!」と思うアイテムを提案するのがSHINYA KOZUKA。複雑な柄のルックにはモノトーンのアイテムを合わせたり、ベルトなど細かな部分で全体のルックにメリハリを与えていたり、派手さの中にもちゃんと再現性、実用性を兼ね備えている。
ランウェイ後には嬉しいサプライズ
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SHINYA KOZUKAチームも全くの想定外だったらしい。コレクション当日は乃木坂46のライブも国立競技場で開催されており、おそらくライブも終盤だったのだろうか、なんとランウェイ会場のすぐそばで何十発もの花火が打ち上がった。
もちろんこれはSHINYA KOZUKAが仕組んだものではないが、夜空に響き渡る花火の音と遠くから聞こえる歓声に、会場にいた誰もが心を奪われていた。
2024年春夏シーズン、2025年秋冬シーズンと、常に自然環境を見方につけてきた小塚信哉。今シーズンはまるでこれまでのSHINYA KOZUKAの10年間を労うような、これからの10年間を鼓舞するような、そんな風にも感じる鮮やかな「色」の花火が国立競技場の夜空を彩っていた。