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「ジョン・ガリアーノ 世界一愚かなデザイナー」先行公開レポ [ネタバレ無し]

[Diorのデザイナー、ジョン・ガリアーノ。反ユダヤ主義的発言で身柄拘束] そんなニュースを覚えている人はどれほどいるだろうか。

近年若い女性から圧倒的な人気を誇るファッションブランド「メゾン・マルジェラ」にて、デザイナーを務めるジョン・ガリアーノ(63)

モード界では「伝説」と評され、今でも世界中に数多くのファン(筆者もそうだが)を抱える彼だが、この映画は決して「メゾン・マルジェラ」にフォーカスした映画では無く、ジョン・ガリアーノのこれまでの輝かしい経歴のみにスポットを当てるわけでも無い。

画像:https://www.gqjapan.jp/fashion/news/20141007/john-galliano-join-martin-margiela


モード界の生きる伝説がなぜ逮捕され、なぜ全てを失ったのか、そして今をどう生きるのか。そんなリアルな部分を本作では掘り下げていく。

ロンドンの名門、セントラル・セント・マーチンズ美術学校を卒業後、飛ぶ鳥を落とす勢い、いや、“異常”な勢いでモード界の階段を駆け上がってきたジョン・ガリアーノ。

自身のブランド「ジョン・ガリアーノ」を1985年にスタートすると、1995年には「GIVENCHY (ジバンシィ)」、1996年にはモードの最高峰「Dior (ディオール)」、そして現在は「メゾン・マルジェラ」のデザイナーとして活躍している。


画像:https://kld-c.jp/blog/who-is-john-galliano/


それまでに発表した超前衛的で且ファッションのイメージを大きく覆すデザインの数々は数知れず、自身のブランドの「ニュースペーパー」ルックやディオールの「サドルバッグ」、メゾン・マルジェラでの脱構築的ながら遊び心のあるデザインなど、その後のファッション界でも大きな影響を与えたアイテムは多い。

画像:https://www.wwdjapan.com/articles/1470048

しかし、この映画の最大の見所はファッション界のリアルな部分にも目を向けている点である。毎シーズンのコレクションで大成功を収める度に高まる次のコレクションへの期待、それによって膨れ上がり続ける膨大な仕事の量、それは時にデザイナーの精神を修復できないほどに蝕むこともある。

余談だが、「アレキサンダー・マックイーン」のデザイナー、リー・アレキサンダー・マックイーンは、全盛期にそんな要因もあり心を病み、最後は自ら命を絶つことを選択したほど。

「天才」「モードの異端児」など、様々な異名で神格化された彼に何が待ち受け、どのような人生を歩んできたのか、ジョン・ガリアーノ本人のインタビューも交えて展開される本作には鳥肌が止まらない。

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