【ショートストーリー】
入学式が終わって、しばらく経った梅雨に入る少し前の季節だった。
その日の授業が全て終わり、部活にも入っていなかった僕はそのまま帰っても良かったのだけど、なんとなく屋上へと向かっていた。
僕の通う高校は屋上には入ってはいけないことになっている。
一度は屋上で青春というものを感じたい。でも、目立たずに平穏に高校生活を送りたい気持ちも強かったので、行くだけ行って「やっぱり鍵かかってるか」なんて独り言を言いながら帰る予定だ。
最後の階段をゆっくりと上がり、屋上への扉のドアノブに手をか