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[旅行記]信楽と伊賀、焼き物の産地を巡る

滋賀と三重を小旅行してきた。

米原からスタートして、甲賀、信楽、伊賀で一泊。翌日は三重の津、四日市方面に抜けてゴールというルート。久しぶりに自転車で泊まりの輪行。電車があまり通っていない地域だと、やっぱり小回りがきく自転車が活躍。

主に見たかったのは信楽焼と伊賀焼。なんとなく焼き物の名地は訪れたい欲求があって、これまでにも益子や常滑、美濃、萩、唐津や伊万里などを目的地に旅行したことがあるくらいには焼き物好き。とはいえそこまで詳しいわけではなく、でもなんとなく昔からの陶磁器ってロマンがあって好き。そんなわけ信楽焼と伊賀焼のお膝元を訪れた。

信楽焼といえば、のたぬきは信楽の町のあちこちで見かける。焼き物やがあれば必ずと行っていいほど置いてある。なんでもこのたぬき、明治時代に作られたものがオリジナルで、その後に人気が出たのは昭和天皇の行幸がきっかけだったとか。八相縁起をかついだたぬきが有名になって、今では信楽焼の代表格。

それはさておき、窯元を見てみると、家庭の食器よりは置物や壺といったエクステリア的なものの方が多いように見える。インテリアだとしても食器ではなかく飾ったりするためのもののような。

信楽焼のミュージアムでは歴史や陶器の特徴についてまとめられていた。いろいろな姿があるなかでも、焼成で彩られる緋色(スカーレット)の風合いが見事で、信楽焼といえばこれがいちばん好きな系統になった。

そこから10kmほど南に下ると、すぐに伊賀焼の里に出た。こんなに近いのに、作っている品目も、出来上がってくる陶器の色合いや風合いも、全然別物になるのが面白い。

窯元の方と少しお話する機会があって、その方によれば、ふたつの産地はどちらも昔の琵琶湖を起源とした土がとれる地域ではあるものの、実際には土の傾向がいろいろと違うらしく、それによって出来上がりも変わってくるのだとか。伊賀焼の場合は特に、釉薬のように表面にガラス質の層が出来て、しかもその色が緑がかっているものが多いのだとか。

信楽焼のような緋色のものはほとんど見かけなかったし、逆に信楽では伊賀焼のような緑がかったものはほとんど見かけなかった気がする。地理的には近いけど、本質はかなり違うふたつの焼き物の対比が面白い。

伊賀焼といえば、ごはんの土鍋で有名な長谷園。黒と白のコントラストが美しい。けれど、これが伊賀焼のスタイルかと言われると実はそうではなくて、あくまで系統のひとつでしかないのだな、ということが分かる。同じ伊賀焼でも、もっともっと千差万別で、蔵元ごとにも個性があって、それぞれの世界がひしめいている。

道すがら、店の軒先を見てまわるだけでも、普通の町とは風景が明らかに違って個性的。やっぱり焼き物の里は面白い。

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