![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/135301228/rectangle_large_type_2_ae7c51d5204a64829fbbbb7d674f1ed4.jpeg?width=1200)
[旅行記] マデイラは魚とバナナとマンゴーと
マデイラの最後は、せっかくなので良いお店で地元らしいものを食べてみようということで、少し奮発。
ラブラドーレス市場から少し東に向かったところにある小径は食の目抜き通りらしく、新鮮な魚料理を押し出す店が軒を連ねる。正直似たようなメニューを掲げる店ばかりなので、その差がわかりにくいのだけど、実際には店ごとにかなりクオリティが違うらしい。
いろいろとクチコミ情報を拾い集めて2,3店に絞ったのだけど、実際にお店に向かってみてピンときた、この店に決めた。
Restaurante Gavião Novo
ウェイターさんがピシッとした服装で気合が入っているし、メニュー説明についてもかなり細かく、そして何よりちょっと他とは違うような、プライドのようなものを感じたので。
注文するものは決まっていて、「黒タチウオ(Espada)のバナナとマンゴーソースかけ」。そしてせっかくなので魚介のスープも前菜にお願いした。
黒タチウオは、もうこのときには見るのもかなり普通に感じられるようになるくらい。本当にマデイラではどこでもよく見かける。
![](https://assets.st-note.com/img/1711543625628-yZ4IfgGUPL.jpg?width=1200)
そのフィレを焼いたものにバナナとマンゴーをまとわせるというマデイラらしい一皿。これが美味しいのかどうか? 気になっていたのでやはり一度は食べてみないと。
まずは前菜で魚のスープ。いつものようにカップにスープが満たされて出てくるのか、と思っていたらなんとウェイターさんが手にして来たのは大きなスープボウル。まさかそのボウル全部?! と焦る。けどさすがにそれは無く。スープ皿に眼の前でサーブしてくれるというスタイルだった。これはちょっと特別感。
![](https://assets.st-note.com/img/1711543732955-MBQoLZ7QL6.jpg?width=1200)
ボウル全部ではないものの、それでも何回掬うのか、というくらいたっぷりと皿に注がれる。見てみると具材がごろごろと入っていて、鯛みたいだったりその他の白身魚だったり。そして玉ねぎなどの野菜類が、トマトをベースとしたスープでまとめられている。コリアンダーがいいアクセント。
![](https://assets.st-note.com/img/1711543775361-AH6jdzatlc.jpg?width=1200)
こちらのスープ、実は出てくるまで結構待たされたのだが、もしかしたら最初から作っていたのかもしれない。出てきた直後のスープはアツアツで、一部の魚のプリッとしたところやコリアンダーのフレッシュ感がそう思わせてくる。
そこからメインが出てくるまで少々おなかのアイドルタイム。こういうときは、お酒を頼んていた方が間が持つ気がする。隣の老夫婦は、まずドリンクで水とワインを頼んで、しばらくしてから魚を見せてもらって、またしばらくしてからようやくメインを注文。その間は夫婦で盛り上がるでもない普通の会話。優雅というか、時間感覚が違うなあ。でも良い陽気の昼下がりだったので、そういうのがとても合っている空気感。
![](https://assets.st-note.com/img/1711543790895-w8hvHGK4NQ.jpg?width=1200)
とか考えていると、お待ちかねのメインが運ばれてきた。
![](https://assets.st-note.com/img/1711543805014-O00lVxlAPe.jpg?width=1200)
この姿。まさしくイメージ通り。
きれいに盛り付けられて、素晴らしい食卓が出来上がった。
さて実食。
ふわふわの身にこんがり色目のついたバナナとソースを絡めて。
![](https://assets.st-note.com/img/1711543846743-AgBJ5xMIQ5.jpg?width=1200)
なるほど。味は割と想像通りではあるのだけど、塩気がそんなについていないおかげで、なんというかクレープみたいなスイーツを食べているみたい。
でもこれは良い火加減だからこそ、なのかも。これがパサパサになるような火の通りだったとすると、こうは感じられない気がする。
付け合せはポテトに温野菜。ズッキーニにキャロット、そして何かの瓜。なんだろう? ハヤトウリのような味と触感。とてもプレーンな感じ。
![](https://assets.st-note.com/img/1711543876819-urgRoWAZAe.jpg?width=1200)
ウェイターさんに訊いてみると、これはマデイラではよく食べられている「ピピネラ」という瓜だという。スーパーで買えるよ、ということで後ほど行ってみたらたしかにあった。これは見た目もかなりハヤトウリっぽい。
また、宿のホストさんにも訊いてみると、「そうそうピピネラ。とても良く食べられてる。だけど、僕たちは『シュシュ』って呼んでるよ」。どうやら呼び方は様々にあるらしいけど、とてもポピュラーなことはよく分かった。
閑話休題。
シュパーダの皿は、パッションフルーツの種がカリッとしていてなかなか面白いアクセントに。ひと切れのレモンが良い仕事していて、ちょっと甘くて単調になりそうな皿に変化を付けられるようになっている。ここは添えられている必然的を感じる。
食事のようなスイーツのような、なんともいえない面白いひと皿。
でも間違いなく、南国マデイラを彩る料理だと思う。
なんだかんだで結構ボリュームがあって、たっぷり1時間かかってしまった。これは白ワインあった方が良かったかもなあ、なんて。
![](https://assets.st-note.com/img/1711543953582-Rj74eaDsjG.jpg?width=1200)
他の店でも同じような味かも知れないけど、見ていた感じこの店のサイズはかなり大きめ。値段も少しだけ高めなのだけど、質と量を考えると特別高い感じはしない。
あとはやっぱり、ウェイターさんが全員ビシッとしていて、見ていて気持ちいい。他の店だと酒場のおっちゃん然としていてかなりラフだったりして、ちょっと雰囲気が。
最後にカードで支払うとき、読み取り機に片手をかざしてアブラカタブラとか、小ネタまで披露してくれて、最後まで楽しませてくれる店だった。
ごちそうさまでした。