井戸を掘れ #45
前職の社長が仰っていた言葉です。
「人の水を汲むな、井戸を掘れ」
ざっくりいうと、他人が用意したポジションに甘んじず、自分で客を掴めという意味で使われていました。
特殊なIT企業での経験
前職は中規模のIT企業で、営業部門が無いという特殊な会社でした。
仕事は、現場のプロジェクトマネージャーが既存顧客から紹介を受ける形で繋げます。
現場を直接知るリーダーが営業マンなので、一度信頼を得られれば、お客様と強固な関係を築けます。
技術的なトラブルでも、大体は現場リーダーが答えられるということは、お客様のみならず、メンバーにとっても良いことです。
ポンコツでクズだった
私が20代前半の頃はポンコツでした。
プログラミングもできない、スケジュールも守れない、やることといえば、現場の課題を無責任に責めることくらいです。
今思い返してもクズでした。
それでも、文句ばかり垂らしている私を、物珍しく興味を持ってくれるお客様もいらっしゃいました。
すると、そのお客様のためにやってあげたいという想いが、ポンコツを半人前くらいには成長させました。
数年後には、その方からバイネームでプロジェクトを任されることになりました。
営業部署が別にあり、エンジニアは与えられた環境でモノづくりだけをすればよいという会社なら、私はお客様のためにという考えもその時ほど生まれなかったかもしれません。
先輩の現場リーダー達が、お客様のために(次の仕事をもらうために?)、一生懸命働いていたのを見て、そういうマインドになったのかもしれません。
自分で掘り当てた水は美味しい
水を飲むことは生きる上で必要でしょう。
場合によっては泥水でも飲まないといけないことがあります。
でも、どうせ飲むなら人の水より、自分で掘り当てた井戸の水の方が美味しいです。
人が掘った井戸だと、文句だけ言ってすぐ次に移ったり、汚くて飲めなかったり。
多少濁っていようと、自分できれいにしようと頑張ります。
枯れそうになったら、もっと深く掘り進みます。
大きな目線でいえば、会社自体も、国も、社会も元々は誰かが掘った井戸です。
目の前に水や水脈があるだけで、どれだけ幸せなことなのか、独立してまだ水の出ない井戸を掘っている状況で身に染みます。