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ビリヤードを15年続けて見えてきたマイナースポーツの限界点3つ #42
大学時代に本格的に始めた趣味のビリヤード、気づけば15年以上もやっていることになります。
この記事(趣味を探している方「ビリヤード」はいかがでしょうか)でも触れていますが、何か趣味を探している方にビリヤードはオススメです。
自分に勇気さえあれば、ビリヤードで食っていきたいとも思います。
でも、マイナースポーツであるが故に、食っていくのにそう楽な世界ではありません。
今回は、他のマイナースポーツにも通ずるであろうビリヤード界の限界点をご紹介します。
1.プレイヤーが少ない
まずは、マイナースポーツの定義でもある当たり前すぎる点を(笑)
プレイヤー自体が少ない!
マイキューまで買って、ビリヤードがずっと趣味なんだという方、まわりにいらっしゃいますでしょうか。いないですよね?
やったことのある方はわかるかもしれませんが、ビリヤードはとにかく難しいです。
ボーリングは投げれば倒れる、ダーツは刺されば点が入る、サッカーは蹴ればボールが前に飛ぶ。
ビリヤードは棒の先っちょを白い球に当てることがまず難しいのです(笑)
球を打つ競技はゴルフも野球のバッティングも一緒ですが、ビリヤードの場合は、その球で他の球までコントロールしないといけません。
二つ以上のモノを動かすスポーツはあまりないのではないでしょうか。
それが故に、まず初心者がビリヤードを始めるまでの障壁が高すぎます。
よって、競技人口が増えないことが問題です。
ただ、ビリヤードの場合、認知度自体はあります。
遊びで一回くらいはやったことがある、ビリヤード場自体は見かけたことがあるというのが、他のマイナースポーツとは違うアドバンテージです。
2.内容が地味
サッカー、野球、バスケット、メジャースポーツの共通点はなんでしょうか。
それは、見ていて楽しいことです。
ルールを知らない人たちでも盛り上がれるのが、メジャースポーツの条件でしょう。
サッカーの日本代表戦ともなれば、Jリーグも見たことがない、オフサイドも知らない人たちまで集まって、渋谷が暴徒化するくらいの盛り上がりを見せます。
ビリヤードはどうでしょう。
2011年に世界ナインボール選手権を赤狩山幸男プロが獲った、日本ビリヤード界の歴史的快挙のことを誰が知っていますか?
2007年に世界スリークッション選手権で梅田竜二プロが優勝したときに感動して鳥肌が立った日本人は何人いるでしょう?
そう、ほとんどいないのです。
ビリヤードは最低でも1年くらい毎日練習したことのある人だけがなれるAクラスというアマチュア最上位ランクがあるのですが、そのクラスになってはじめてプロの技術がなんとなく見えてくるというレベルです。
ましてや、ビリヤードを一度もやったことがない人がわかる内容なんて、「あ、入った」「あ、外した」「隠れて難しそう」くらいしかありません。
かといって、全部の球を落としてもスタンディングオベーションのような盛り上がりもありません。
1球ごとに大声で応援することもほとんどありません。
セットの合間でチアダンスが躍られることもありません。
ギャラリーが騒いだら集中力欠けちゃいますから(笑)
3.儲からない
1と2のまとめにもなりますが、ビリヤードは競技人口も観戦人口も少ないため、プロになっても儲かりません。
最高峰の試合でさえ、優勝賞金はこの程度です。
全日本選手権男子:240万円
ジャパンオープン男子:120万円
男子9ボール世界選手権:4万ドル
メジャースポーツなら1億円を超える賞金もある中で、ビリヤードはこんなものです。
プレイヤーも少なく、観戦客も少ないので、大手スポンサーが付かないのも当然ですね。
ほとんどのプロ選手はビリヤード場で勤務しながら大会にでており、賞金やスポンサーだけで稼げているのはほんの一握りです。
チャンスもある!
ただ、ただ、ただ、
この辺には、ある程度のビリヤード業界の努力不足もあると思います。
例えば、試合で使う技術は地味なものばかりですが、プロがやろうと思えばトリックショットと呼ばれる技術を駆使した派手なショーもできるわけです。
こればかり練習する訳にもいかないですが、ビリヤードを知らない観客でも楽しませるという意味ではとても有効だと思います。
ショー形式なら、プレイヤーのみが対象ではなくなるので、興行性も高まります。
また、こちらは今日本で一番ビリヤードがうまい人、大井プロの海外試合でのインタビューです。
繰り返しますが、実力もダントツトップの大井プロです。
ビリヤードでこういうマイクパフォーマンスができるプレイヤーは、世界でも珍しいと思います。
国内でも多数メディア出演し、大きな話題を呼びました。
どのような形でもビリヤードが世間から注目されることは素晴らしいと思います。
日本人が世界選手権で優勝したことはニュースにならなくても、インタビューで笑いを取ったことがニュースになる、不本意なのかもしれませんが、その事実をどう受け止めるかがマイナースポーツの未来を決めていくのだと思います。
もちろん、技術面での活躍も大切ですが、武井壮さんがおっしゃる通り、そのスポーツを通してどれだけの人を楽しませることができるのかが重要なのだと思います。