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【続報】弥生時代が大変なこと
弥生時代だけでなく考古学の時代が大変なことに
前回、11月6日付けの朝日新聞夕刊(大阪)の記事で;
池上曾根遺跡の「神殿」とされる大型建物の柱の年代が、
これまで測定されたいた年代を数百年さかのぼることを紹介しました。
それで、これは弥生時代の年代を変える大変なことだ、と書きました。
その後、調べてみると、より一層大変だ、と思います。
弥生だけでなく、考古学で扱う、弥生・縄文時代の歴史の物差が変わる ということです。
それにより、今後いろいろと大変なことがある と書きました。
再掲すると;
1.これまで測定したデータの多くは使えない
2.年輪年代法で暦年を決めてきたプロジェクトは、やり直し
3.酸素同位体比年輪年代法のデータも再確認必要?
(この手法でも同じことを確認したと書かれているので)
4.日本産樹木の年輪データを取入て作成された
IntCal20(JCal)にも波及する
5.日本がリードしてきた「年輪年代法」自体の信頼性は?
なぜ、一層大変だと思うのか
新聞各紙の記事を調べたら、
7月10日に国立歴史民俗博物館(歴博)でこの発表があり、
新聞各社が「電子ニュース」として、発表内容そのままWebに
流しています。
産経新聞だけが、紙面記事として掲載しています。
私が気が付いた、11月6日付けの朝日新聞の紙面記事は、3か月遅れで
「文化記事」として載せたようです。
Webを調べても、7月10日の電子ニュース以降には記事がありません。
私が、より一層大変だ と感じるのは、次の点です。
1.歴博の発表が事実だとして受け止められ、700年のズレの解釈方法を
探している。
発表内容の妥当性検証の訴えや反論がない。
(水面下では動きがあるかも知れませんが・・・)
2.歴博と再測定した奈良文化財研究所(奈文研)が、
「歴史の物差が違っていた」と発表しながら、
それが及ぼす影響や混乱に触れていない。
(前回も書いた、上述の「いろいろ大変なこと」)
3.測定データを見ていると、
同年代と判定された(年輪そっくりさん)の柱さん2組、
いわば2組の双子が、似ていたけれども縁の遠い(年代が離れた)
赤の他人 と定されている。
古い物差では⇒双子 だけれども 新しい物差⇒他人の空似
これでは古い物差の膨大なデータはどうなるの?
4.年輪による歴史の物差(年輪幅標準パターン)を作る手順上、
弥生より古い縄文時代まで物差が違ってくる。
年輪幅年代法とは
測定データを示す前に、年輪幅年代法を簡単に説明しておきます。
樹木は、気象条件(温湿度や日当たりなど)により成長速度に違いが生じ、
1年間に成長する年輪幅が異なります。
【上のタイトル図を見てください】
それで、樹木を輪切りにした断面には「年輪」が見られますが、
気象条件によって1年毎の年輪幅に変化が出ています。
同じような気象条件で育った樹木は、同じような年輪幅の変化が生じます。
年輪幅の変化を測り、標準パターンと比較することにより、
樹木が伐採されたカレンダー年(暦年)が判定できます。
(付録に測定方法の概念図を示しておきます)
池上曾根遺跡の再測定の結果
歴博が7月10日に発表した測定データは
![](https://assets.st-note.com/img/1732517515-sxTBdWiwD4IORLulJa6G3Sog.png?width=1200)
データ比較
柱No.16と17は、前回データでは、ほとんど同じ変動パターンの年輪を
持っていた(と、判定)ことになっていました。
人間で言うと双子の樹木です。
それが、新しい物差では、560年もの年代差がある、
親子どころか祖父と孫になりました。
柱No.12と20も、前回データでは4年の差、ほとんど双子です。
それが新物差では470年の差が出ました。
新しい物差は「信頼度と精度」が良いらしいので、
裏返せば、以前の物差は「粗悪品」と言われても仕方がないですよね。
ということは、
古い物差で測った過去のデータは全てやり直し です。
このことを、
歴博や奈文研が知らないはずがない ですよね。
どうするんでしょう
このデータは日本だけでなく国際的にも使われています。
2020年に、日本の樹木データ(年輪年代法)を取り入れた
国際規格 IntCal20(JCal)が制定されたばかりです。
これも見直すんでしょうか?
付録 年輪幅年代法の概念図
①予め、年代の分かっている樹木の年輪幅を測定して「標準パターン」を
作っておく。
![](https://assets.st-note.com/img/1732517964-bLZ1zx0YO4HCruc62E3RkWto.png?width=1200)
②伐採年を求めたい樹木の年輪幅パターンを測定する。
③標準パターンと測定したい年輪パターンを重ね、
統計処理をして、両者の差が最も小さくなる位置を求める。
④樹皮のある部分の暦年が伐採年となる。
いろいろなケースがあって単純ではないのですが
こんな感じです。