フルタイムの父になるまでの話

こんな感じ↓で現在に至る。

2020年11月頃(当時スイス在住):夫婦で就活開始。

2021年1月:妻インドでの仕事(9月開始予定)を得る。インド行きを決める。

2021年2月:おれインドでの仕事探し開始。

2021年4月:妻妊娠発覚。スイスでのおれの仕事終わり日本に帰国。インドではデルタ株の流行、混乱。

2021年5月:日本で妊婦検診など。まだインド行くつもりで様子見。

2021年6月:引き続き日本で様子見。インドのコロナの状況改善。

2021年7月:インド行きほぼ決定。

2021年9月:インドに赴任。

2021年10月:産前休業、ニューデリーで出産。

2021年12月末:妻職場復帰。オミクロン拡大。おれフルタイム父開始。

2022年1月:オミクロン流行のため妻はテレワーク中心。

2022年2月:オミクロン収束。妻出勤増。フルタイム父本格化、現在に至る。

以下、少し詳細も書こうと思うが、まず、本題の前に仕事について少し。妻とおれは二人とも国際協力の仕事をしている(いた)。国際協力の仕事と聞いて、何それ?と思う人もいるかもしれないけど、すごく簡単に言えば貧困削減とか環境保全とかそういう分野で途上国の支援※をする仕事。この業界ではかなり多くの人が、最近話題のジョブ型で有期契約で仕事をしてる。だから2、3年おきに次の仕事に応募するのもけっこう普通のこと。求人の中には、応募してから着任まで1年近くあるものもある。今回のインドの仕事も応募から赴任まで10ヶ月くらいはあった。そういう特徴のある業界なので、普通の会社員や公務員よりもフルタイムの父になるハードルは高くないかもしれない。

それで、本題に入ると、2020年も終わる頃、おれのスイスでの任期も半年を切ってきたので、どっちか仕事が見つかった方に行こうと、二人でぼちぼち就活を始めた。

そして、わりとすぐ、妻が2021年9月赴任のインドの仕事の合格をもらった。おれの方はタンザニアの仕事を受けて結果待ち中だったけど、インドは何かの縁だと思って「そうだ、インドに行こう」と決めた。というのも、妻もおれも南インドでの大学院留学経験者(「南」と強調するのはインドは北と南でけっこう違うから。南インドにいる日本人留学生はわりと珍しいと思う)で、同時期にインドにいたけど、その時はお互い全く知らず、その後、日本でたまたま同じ職場で働くというおもしろい縁があった。

そんな感じで、とりあえず次の行先が決まったと安心しつつ(お前は仕事決まってないんだから安心するな、と言われそうだが)、残りわずかなスイス生活を楽しんでいた。

そんなときに妻の妊娠がわかった。

驚いた、嬉しい、でもどうしよう、笑。最初はそんな感想だったように思う。出産予定日は11月頃。妻はインドでの出産は全然オッケーで、職場として可能であれば仕事への意欲もあった。そして、幸いにも職場の了解が得られたので、予定どおり9月に赴任して最低限の産前産後休業を得て仕事に復帰する方向で話を進めた。これが4月から5月の話だったと思う。

すると、ちょうどその頃、インドをコロナのデルタ株の悲劇が襲った。日本人で退避した人も相当数いたようだ。こんな状況で本当にインドに行けるのか、というか、出産なんてできるのか、という感じがした。なので、しばらくは、日本での出産というのも考えながら、様子をみていた。

それに並行して、6月ごろ、おれもインドでの仕事に合格をもらった。赴任は2022年1月予定。と言っても、これは妻が妊娠を知る前に応募した仕事なので、状況は応募時と異なっていた。なんとか子育てしつつ二人とも働く方法を考えてみたけど(←いま思えば相当無茶な話)、それは難しそうだったので、妻の意欲と、出産直後だからおれだけ先に赴任して長期間離れるリスク(コロナ中に海外赴任して1年以上家族呼び寄せできない人も見た)などを考えて、妻が仕事をして、おれが仕事をせずにフルタイムで育児をすることを二人で決めた。

その後、インドでのコロナの状況が一気に改善し、予定どおり9月に一緒に赴任してきて、10月から妻は産休、出産、復帰という感じで現在に至る。

いま思うと、妻が働きおれが育児という、この決断が正しかったのかはわからない。子どもができたとわかったときは嬉しかったし、毎日すごく楽しみだったけど、娘が生まれてくるまでは、これほどまでに我が子がかわいいとは思わなかった。それは妻も同じだと思う。正直、二人とも子を持つことがどんなことか想像できていなかったから(生まれる前から想像できる人なんていないか)、良くも悪くも、わりと簡単に決められたのだと思う。だから、最初は、おれも数ヶ月したらベビーシッターを頼んで働きに出ようなどと考えていた。しかし、今の時点で、それは難しいし、したくない。フルタイムの父を続けたいと思ってる。一方で、絶対おれよりも子育てをしたいであろう妻に働きに出てもらっていることと、絶対に父よりも母と一緒にいたいであろう娘には父で我慢してもらってるのは、申し訳ない気持ちにもなる。結局、妻は日中フルタイムで仕事をして、夜と週末は育児でダブルワークのようになってしまった。これは本当に大変なこと。働いてる父で育児をしない人はかなりいるだろうが、働いてる母で育児をしない人はあまりいないんだと思う。世の中のワーキングマザーにはほんとに拍手喝采したい。

長くなってしまったが、こんな感じの経緯で、おれは今フルタイムの父をやっている。1年前には想像出来なかったまさかの展開を楽しんでいる。

(ちなみにタンザニアの仕事については補欠合格で、その後しばらくして繰上げで合格になった。すでにインド行きを決めた後だったので辞退したが、何かが少しずれていたら、タンザニアに行く可能性があったと思うとおもしろい。機会があれば、また今度。)

※この業界について良く知ってる人はここではあまり突っ込まないようにお願いします。

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