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投資銀行からスタートアップへの転職で何を考えたのか

FOLIOという資産運用系スタートアップで経営企画部長をしている石坂です。
私は2014年に新卒でモルガン・スタンレーに入社し、不動産グループでIPOを含む資金調達及びM&A関連業務に従事したのち、5年後の2019年にFOLIOに転職しました。
入社から2年経過し、投資銀行からスタートアップに転職にあたって何を考えたのか振り返りを書いていきたいと思います。
投資銀行・コンサル等からスタートアップに飛び込む方の参考になれば幸いです。

長期的な目標の明確化:30代で起業し会社を成長させる&セーフティ・ネットの確保

キャリアステップを考える上で、まず長期目標の再確認を行いました。

「30代で起業し会社を成長させてお金持ちになる」

これは話すと長くなりますしホリエモンがフジテレビと対決して世間を賑わせていた高校一年生の頃から変わっていないので今回の転職にあたって深く考えていません。
一方でかなり保守的な人間なので、起業に失敗した場合のセーフティ・ネットとしてスタートアップCFOキャリアを検討しており、その両面がちょうどよく折り合いが付く転職先の検討していました。
二兎を追う者は、、、といいますが。。。
以上から、転職に求める目標は以下の2点であることを再確認しました。
・起業して成功するために必要な力が身につくこと
・スタートアップCFOキャリアの足しになること

業界の選定:もうモラトリアムは伸ばさない

主に以下の3つの選択肢を主に検討しました

・PEファンド
・ベンチャーキャピタル
・スタートアップ

4-5年前は投資銀行の同期達がこぞってPE/VCに転職している時期でした。論理的に考えると、キャリアが痛むリスクが低い・待遇が下がらない・経営経験が積める等、将来的な起業を考えた上でも選ばない理由がないということは理解していましたし、田舎出身の私には外資系投資銀行→大手外資系PEファンド→上場企業経営者というキャリアステップで日本を動かすプロ経営者となるような黄金ルートは輝いていてうらやましく映っていたのは事実でした。
その中でスタートアップを選択したのは以下の2つの理由からです。
・モラトリアムを伸ばさない:PE/VCでキャリアの汎用性を確保する選択肢はどうしても「決断の先送り」にしかならないと感じてしまい、ビジネスの主体になることを重視してスタートアップに心を惹かれました
・マーケットの潮流はどうか:当時世界的な金余りからマーケットの過熱感が高まっており、PE/VCともにソーシングに苦戦する話しをよく耳にしました。投資家としては難しい環境であればこそ、投資先であるスタートアップに身を置くことを選択しました(2年経ってみるとまだまだ全然大丈夫だったし、見誤ってましたが…)

業種の選定:バックグラウンドからFintechへフォーカス

将来的に起業したい分野は特になかったため、業種にこだわりはありませんでした。
群馬の田舎出身でお金には苦労した家庭で育ったこと・投資銀行にて問題を多く抱えるリテール営業の実態を感じていたことからFintechを中心に検討しました。
振り返ってみると、ここが最も感情的・感覚的に決めたポイントである気がします。
ちなみに、投資銀行時代の担当セクターである不動産系スタートアップも何社か検討しましたが、紹介された4-5社が上司の営業先リストに入っていたのでやめました…。元上司に営業・接待されるのはやりにくさがすごそうです。

ステージ・職種の選定:成果検証の開始

ここで改めて、長期目標のために何が重要なのかを考え直しました。

・起業して成功するために必要な力が身につくこと
 ・0→1の立ち上げ能力?
 ・1→100の成長カーブ?
 ・100以降の継続的成長?
・スタートアップCFOキャリアの足しになること
 ・立ち上げを全部自分でやること?
 ・立ち上げられた組織で学ぶこと?
 ・自分の強みの分野に近いところ?遠いところ?

会社のステージと職種でどれが適していそうか、自分に足らなそうかがイマイチ自信がなかったのでこれ以降、情報収集しながら検証していくことにしました。
というわけで、長期目標を念頭に企業ステージ×職種の2軸でどこに力点を置くべきか、下記のような図のイメージで転職先の検討を始めました。
(帳尻合わせた図を書きましたが、当時はキレイにまとめてはいないです)

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ロングリストの作成:転職先に運命を感じない

実際のアプローチにあたって一つだけこだわりを持って進めました。
それは「知り合い経由で転職先を探さない」ことです。知り合いに勧められるとどうしてもよく見えてしまうし断りにくい。
仕事上は非常に論理的で丁寧な意思決定をする人でも、自分の転職となると「古い友達に誘われて」「運命を感じて」と言って2-3社しか見ずに転職するケースが意外と多いと感じます。(もちろん成功例も多いですが)
今後の納得度のためにもマーケットに出ている求人は徹底的に全て目を通し必要なアプローチを講じた上で転職先を転職したいと考えていました。
そんな中での転職先探索のアプローチは主に下記の3つです。

1.転職エージェントとのコンタクト
ビズリーチ、Career Carver等からスカウトいただいた転職エージェント10社以上と面談を行い計100近くの求人を提案いただきました。エージェントの誰がどういう強み・志向を持っているか理解が進みました。
一般的には、超大手エージェントで紹介料が高そうなところには資金的にゆとりがある&本当に採用に困ってる会社が集まる、等いくつか傾向が出てくると思われます。
また、複数回提案される求人も多く、採用の上手さや緊急度等の指標になったのも副産物でした。
割と激務だったので空き時間を見つけて非常階段で電話面談を繰り返すのは結構大変でしたが、何度も現状を説明して議論する中で自分のやりたいことが明確化してくるのも感じらました。

2.転職サイトへの登録・検索
Green、アマテラス等のスタートアップに強みを持つ求人サイトから検索を行いました。媒体掲載の方がエージェントよりコストが低いので、主に立ち上げ期等で採用費用をかけにくい企業はこちらで重点的にスクリーニング&能動的にアプローチを実施していきました。
人見知りなのでこちらの方がサクサク進められました。

3.ベンチャーキャピタルとのコンタクト
投資先のポジション・立上げ前の優良スタートアップの情報交換をさせていただきました。これは思った以上に良かったです。特にリードで入っているVCは空きポジションや適正等に詳しく、エージェントより入社後ワークしてるかの知見も豊富です。現在ではかなり多くのVCが採用支援を行っているので絶対に声がけしてみる価値はあると思います。
ただ、VCによる一次スクリーニングが行われていることは安心感がある一方でポジショントークもあるのである程度割り引いていいとは思います。
採用側としても高額な紹介手数料がかからないので助かります。

スクリーニング

計10社超と面談の機会をいただき、正式な選考は4社だけ進めさせていただきました。
今考えるともっとお会いしたかったですが、投資銀行で仕事しつつでありオンライン面談も一般的ではない時期だったため限界感がありました。。。

ここで明らかになったのは、以下の3つです。
1.財務・M&A専属はないと思った
自分で起業することを念頭に置くと、広範な体験をし、成長を感じる事業サイドにタッチしていたいと強く感じました。

2.IPO後・メガベンチャーはないと思った
経営層との距離感、経営陣の熱の入り方に違いを感じました(もちろん、お会いした企業だけですが)

3.アーリーステージは難しいと感じた
一言で言えば自信がなかったです。
カオスの中で立ち上げを経験することも力にはなると思いましたが、自分の能力以上は吸収できないと感じてしまい、ある程度のタレントがそろっている企業に魅力を感じました。
また、上場まで4-5年以上かかる&確度は低く、たとえCFOとして入社・SOをいただいたとしても経済的なリターンを考えても30代前半を投入する決断は下せませんでした。

1社への絞り込み:「人」と「やれることの広さ」

最終的には人とやれることの幅で選択しました。
最終的に経営企画職でレイター1社、ミドル1社(FOLIO)の内定をいただき他は選考途中でお断りをしました。
そんな中でFOLIOを選んだ理由は下記の2点です。

1.やれることの多さ
経営面:複数のプロダクトを抱え経営戦略の幅が広く、IPOに向けて事業のグロースが始まったタイミングで、今後の成長過程に身を置けること
職種面:経営企画部所属であり、事業側・管理側問わずに広く関与できると言われていたこと
タイミング:経営企画で退職者が出ており、現COO林の1名しか専任がいなかったため、担当できる領域が広かったこと

2.一緒に働く人が自分より優秀だと思えるか
上司:直属になる林(現COO)とはこちらからお願いして2度面談しました。直接の面識はなかったものの、コンサル界隈の友人からいい噂を何度も聞いていたこと、他に転職活動中にお会いした誰よりも純粋に頭がいいと感じたことが決め手の一つになりました。エンジニアサイドの理解、会計、法務、特許等々、専門にとらわれずに身に着けていく姿勢は正直マネできないものを今でも感じます。
体制面:上記に加え、エンジニア/ビジネス両面で様々な業界のタレントが集結しているのを感じたこともポイントでした

最後に:転職活動の反省

自分なりにかなり時間と労力をかけた転職活動でしたが、2年経って振り返ってみた反省をするならば、

1.もう少し知り合いに相談していっても良かった
基本は1人で進めましたが、知り合いにもっと相談してみても良かったと思います。否定はしましたがリファラルの求人も大事です。

2.業界のフィット感・調査はもう少ししても良かった
(合っていないわけではないですが)金融業界の規制・システムの重さは予想以上に難しさがあります笑。業界は最も感情的に決めてしまったのでもう少し調査しても良かったように思います。

3.転職マーケットに出ている案件だけを信じなくてもよかった
スタートアップで人材の足りている会社はないので、興味のある会社・魅力的な会社には能動的にアプローチしてもよかったと思っています。ポジションは自分でこじ開けるものですね。

FOLIO経営企画は積極採用中です

経営企画専属は私しかおらず、取締役含め職位に関わらず分担して作業を進めており、慢性的な人手不足が続いている状況です。CFOもおらずビジネス系のポジションはまだ大きく空いているのでぜひご連絡お待ちしています!
私のTwitter(@hiro_ishizaka)にお声掛けいただいてももちろん大丈夫です。



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