池永寛明(元大阪ガスネットワーク (株) エネルギー・文化研究所)

【重要】5年間、企業人として、288本を書きました。企業退職とともに、「池永寛明|社会…

池永寛明(元大阪ガスネットワーク (株) エネルギー・文化研究所)

【重要】5年間、企業人として、288本を書きました。企業退職とともに、「池永寛明|社会文化研究家」に引っ越しました(https://note.com/hiroaki_1959) ※フォローの移行をよろしくお願いいたします。

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(最終回)明日、退職します。

「退職されるのですか。このあと、どうされるのですか?」 日本社会のなかでは、大の大人はなにかをしていないといけないという「社会的統制」がある。それを前提に、そう訊かれる。どこかに帰属するところがないといけない理由は、どこにもないはずだが、日本人は無意識に、人はどこかに所属して、なにかをすることを前提に見る。しかしこう言う。 どこにも行きません 明日から、これまでの会社生活をリセットして、どこにも属さず、新しい旅に出る。このCOMEMOは本日で終わるが、まだ書ききれていない

    • あなたは本当に自由ですか? ― 自由と統制 ⑥(最終回)

      制度を悪用した犯罪のニュースが続く。「現代は自由なんだから、なにをやってもいいだろう」という空気が充満している。当然ながら悪いことをした人が悪い。しかし悪用された制度をつくった人の方がもっと悪いという考え方がかつてあった。それらが根本的に機能不全をおこしている。 1.こうして責任をとらなくなっていくこれまでだったら考えられない異常なコトがおこる。しかもそれが日常化している。それを人々の劣化だという人がいるが、根本的に日本人に欠けつつある力がある。 物事の本質を考える力

      • 上司に怒られたことがない ― 自由と統制 ⑤

        「上司や先輩から怒られたことがない」人が4人に1人。おそらくそれは会社・組織だけの話ではないだろう。家庭でも学校でも同様の傾向だろう。人と人のかかわり方、人と人の関係性が大きく変わろうとしているのではないか。ものすごいことが、現在おこっているのではないだろうか。 1.怒られたことがない私会社を3年で辞めた。会社がブラックだとか上司がひどいだとかと言って辞めた。その辞めた人の25%が 上司に怒られたことがない ということにもなる。上司をひどいというが、その人は上司に怒られ

        • 良いコトは受け入れるが、悪いコトは受け入れない ― 自由と統制④

          メルボルンのまちづくりの責任者がこういった。「まちには若者が必要である。1日24時間を活動する若者がまちを活性化させる」 達見だと思った。しかし日本での若者の役割はどうなのか?まちから若者がいなくなったら、どうなるのか? 1.大学はどうなっていく?― 機関から期間へ若者が圧倒的に多い大学の位置づけが大きく変わりつつある。 そもそも若者にとって、大学という「機関」に行くということが目的ではなく、20歳前後の期間を、どう過ごすかが大切である。その期間で、なにをするか。アルバイト

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          私はつねに正しく相手が悪い ― 自由と統制 ③

          高速道路でトヨタ車のクラウンに乗った人が同じ価格帯のベンツを煽る。すると背後からレクサスが近づいて来たら、クラウンは自発的に道を譲る。仕事のできない正社員が優秀な派遣にマウントする。中小企業に勤める人を侮るが、会社の役員に媚びる。卑屈なまで重層化した均衡と異質のヒエラルキーが「日本型自由主義」の底流にある。 1.日本人の甘さの構図横断歩道で誰かが手をあげている。猛スピードで横断歩道に近づいたドライバーが横断中の人を見て、「どうして車を停めないといけないんだ?停まる停まらない

          日本再起動への方法 ― アジアの未来(下)

          「失われた30年」の30年の意味はなにか?30年という時間は世代のサイクル。にあたる。本格的なムーブメントはそこから15-25年ずれて訪れる。たとえば戦後生まれの「団塊の世代」が社会にでたのは1960~65年。社会が大きく変わったのは、その15~25年後の80~90年代。となると、30年の「失われた日本」の本当の生活・社会影響は、これから15~25年先である2035~2040年に顕われてくることとなる。 30年という時間軸は、子どもが生まれ、育ち、自立して、前の世代の価値観

          失われた日本の30年の原因 ― アジアの未来(上)

          この写真を撮った日のことを忘れない。そこは図書館ではない、世界最速の都市と言われる中国・深圳の書店である。子どもたちが店内のいたるところに座り込み、それぞれが選択した本を読んでいる。さらっと読んでいるのではなく、本のすべてを読みきろうとしているのだ。本を読む彼らの眼の鋭さを今も忘れない。日本でこのようなひたむきな眼を見なくなった。この写真一葉に、日本の立ち位置を思い知らされる。 1.この1年で、さらに大きく変わった昨年の空気はコロナ禍一色だった。アジア各国からのオンライン会

          失われた日本の30年の原因 ― アジアの未来(上)

          行きすぎた日本型自由の行方 ― 自由と統制②

          ある時、突然、日本人は熱狂する。そして行きすぎる ―― 恐竜は巨大化して地上を支配したが、環境変化に対応できずに絶滅した。キリンは餌争いのために首がどんどん伸びたが、餌である樹木の高さを越えなかった。それはなぜか。今のキリンの首の長さになったのは、伸びすぎるとキリンは生き残れなかったからである。なにごとも生き残るためには、バランスというポイントがある。 1.なんとなく従わないといけないという空気マスクを着用しなければいけない、マスクは着用しなくてもいいのでは ―― コロナ禍

          現代日本を支配する「自由」という存在― 自由と統制①

          「新しい資本主義」が政策の論点になっている。「資本論」に関する本がよく売れている。「資本主義」が突然話題になっているが、どれもこれもよく分からない、どうもリアリティがない。 あたり前のように使っている資本主義。どういう意味だろう。資本主義と自由はどういう関係?資本主義における成長と分配の関係とはなに?みんな、わかっているのだろうか?なんとなくわかったフリをしているだけではないだろうか。 しかしこの資本主義ってなに?という問いのなかに、現代日本社会を解く鍵が隠されている ――

          現代日本を支配する「自由」という存在― 自由と統制①

          自転車に乗るということ

          GWに家族と、瀬戸内しまなみ海道をサイクリングした。広島・尾道を出て瀬戸内海の島と島をわたり、Well-Beingってなんだろうかをゆっくりと考えようとしたが、途中から無心に自転車のペダルをひたすら漕ぐことになった。 1.自転車は〇(まる)自転車は○(まる)。車輪やベアリングの形は○。自転車に乗った仲間が揃えば丸く並ぶ。人が集まれば、円になって輪となって和がうまれる。自転車にはそんな多様性があふれ、とても日本的な「道具」といえる。自転車の持つ日本性とはなにか? 世の中の基

          誤解されるWell-Being ― ビジネス実践編⑤

          「Well-Beingって、なんですか?」と訊かれて、明確に答えられる人は多くない。ビジネスの世界にも流行語がある。その言葉を知らないと、“こんなことも知らないの”と馬鹿にされることがある。だから本当はわかっていないのに、わかったふりをする。話す人も聞く人も、漠としたやりとりで終始する。そこからはなにも生まれない。 「これからの社会はWell-Beingだ」―― それはそのとおりだと思う。コロナ禍に入り、オンライン・リモート・テレワーク時代となって、働き・学び・暮らし・遊び

          ことばをいい加減にしたらあかん — ビジネス実践編④

          50年前のEXPO’70大阪万博のシンボル「太陽の塔」を知らない人は少ない。千里万博会場跡地に残り、現在も圧倒的存在感を放つ。もうひとつ人気を集めたのがガスパビリオンのジョアン・ミロの高さ5m・横12m・陶板640枚の陶板大壁画「無垢の笑い」。この巨大壁画は万博後に取り外されて、国立国際美術館(大阪市)に残されている。その輝きは今も失われていない。もうひとつミロはEXPO’70大阪万博のガスパビリオンのスロープに、人類の根源的テーマ「笑い」の絵を描いた。小学生時代の私はこの巨

          ことばをいい加減にしたらあかん — ビジネス実践編④

          あなたが結果を残せない理由 ― ビジネス実践編③

          「これからは学びが大切」 そりゃ、そう。じゃ、今まではなんだったの? 「これからは社会に出てからのリスキング(学び直し)が必要」 そのとおり。しかし学びは人に言われてするのではなく、自らが学ぶものじゃないの?「これからはDXだ、データサイエンスだ」 それはそう。しかしそれと同じく、いやそれ以上に、社会・市場・お客さまのことをつかむことが大切じゃないの? それを知らずに、まずデータサイエンスという人が多い。 ―― みんな、同じことをいう。そしてみんな、それを疑うことなく、そのま

          あなたが結果を残せない理由 ― ビジネス実践編③

          あなたが前に進めない理由 ― ビジネス実践編②

          桜花爛漫。琵琶湖北の海津大崎の湖岸4kmにわたる桜並木は圧巻。桜は変わらないが、桜を観る人は変わる。ジョギングしながら桜を観る人、自転車で走りながら桜を観る人、カヌーやカヤックを漕いで湖上から桜を観る人など、桜を観るスタイルは年々変わっていく。 今年、あなたは桜を観に行きましたか?桜をなぜ観に行ったのですか?桜を観ている周りの人はどうでしたか?1年前2年前3年前と、なにか変わったことはなかったですか?それに気づいた人と気づかなかった人。そこに、大きな差が生まれる。 1.市

          あなたが前に進めない理由 ― ビジネス実践編②

          これからどう考える ー ビジネス実践編①

          6月末に企業人を卒業する。2017年8月より日経COMEMOにてコロナ禍前の日本社会がどうなっているかを考えはじめ、コロナ禍に入って2年間はコロナ禍の構造変化とコロナ禍後社会を「コロナ禍編」にて考えているなか、世界はウクライナ紛争となった。企業人卒業までの3ヶ月間、これからどうなる、これからどうするを「ビジネス実践編」として考えていきたい。まずは2022年4月の現在、なにが課題と考えるかから話をはじめていく。 1.これからを見ようとしない前の大阪万博は50年前に開催されたが

          日本が失った「沈思黙考」の時間

          10年先、30年先から振り返ったとき、こう思うのではないだろうか。あの「テレワーク」がエポックメイキングだった。テレワーク・リモート・オンライン時代はあの頃から始まった。それまでの場と時間の構造が大きく変わった。自分時間は倍増した。その倍増した時間との向きあい方で、そのあとが大きく変わった。と気づくのではないだろうか。この2年間、コロナ禍による構造変化を考えつづけてきた池永のCOMEMO「コロナ禍後社会を考える編」の最終回は、日本が失った時間について考える。 1.この辺でも