遅ればせながら、2024年7月12日に開催された「SalesZine Day 2024 Summer 」の参加レポートをいたします。生成AIを用いた最新の営業手法や営業組織の強化・育成に関するセミナーが行われ、多くのビジネスマンが参加しました。本記事では、その中から私が参加したセッションをピックアップしてご紹介します。
参加背景 私は現在、SaaSプロダクトのCS(カスタマーサクセス)に従事しております。最近のCSは誤解を恐れずに書くとポストセールス化偏重・売上偏重になってきていると感じており、私自身には営業には向いてないなと日々悩んでいます。当然企業活動では「儲け」が必要で、CSの売上活動も「役割」の一環、考え方の差であると頭で理解はしているものの、少しモヤモヤ感がある状態です。そこで、本イベント「営業の仕事は『売る』ことなのか?Buyer Enablementをめぐる冒険」 と題された内容において、今後のCS活動や自身のキャリアパスへのヒントを求め、参加した次第です。
AIは営業の仕事を奪うのか? 米国AI事情&「InsidesalesAI」最新事例を大公開! セッションA-1 講演者:茂野明彦氏[インサイドセールスプラス]/功刀雅士氏[miibo]
AIと営業の現状 AIの進化が営業の仕事にどのような影響を与えるのか、米国の事例や「Insidesales AI」の最新事例を交えて解説されました。現在、AIは多くの国で導入が進んでおり、中国では60%、米国でも40%の企業がAIを取り入れています。
AIの強みと課題 AIは営業マーケティングやプログラミング、研究開発などの定型業務において高いパフォーマンスを発揮します。また、パーソナライズや深掘りの作業も可能で、業務の効率化に貢献します。一方で、会社で使用をブロックしていたり、日本語対応や99%の精度を求める声があり、言語の壁が課題となっています。
人間が残る理由 AIが多くの業務を代替できる中で、人間が必要とされる理由は、「この人だから」という人間性 や、いざという時の謝罪能力にあります。AIは確率的に最適解を導き出しますが、最終的な意思決定は人間が行うべきであると強調されました。
*** セッションA-1 メモ ***
▼AIの現状 ・日経 個人9% ・中国60%、中国米国40% ・会社でブロック、99%精度を求めている ・言語のカベ、日本語は難しい ・GPTは7割英語 ・マッキンゼーレポート
▼プログラミング、研究開発 ・言語に落としやすい、定型業務 ・深ぼりもAIができる ・パーソナライズ ・ヴァーティカルで分かれたが領域横断
▼人間が残る理由 ・この人だから人間性、いざとなったら謝る
▼AIの性格 ・固め or フランクに ・キャラが動的 ・こうしたら如何か?新たな未来、次のSTEPは意識決定は人間で ・LLMは確率的に紡ぐ ・人間は決断・意思決定 ・フィードバックループでも何をするか
▼課題 ・指示中に別の仕事 ・人の価値、時間が平等じゃなくなる ←Aiを使う1分の価値
▼言語化はAIに代替される ・アウトバウンド ・CS:人力応対の空きをAIで作るノウハウ→chatbotのビジネス ・CS:フィードバックを内部レコメンド ・圧縮したコストをアロケーション、売上アップ ・セールス、エンジニアに差分がない ・10年前は会話できなかった、SaaSでできるようになった ・AIで翻訳家ができて垣根無し
▼業界 ・不動産、エンタメ ・共通:いままで応対できなかったタッチポイント ・最適提案、Aiでは24時間対応 <不動産例> ・ブラックボックスを言語化している最中 ・無限データベース ・コミュニケーション、インターフェイス ・どうこたえる、フレンドリーに? ・嫌に感じないか ・初見の人より(人間味が無いが)味気ない以外のメリット ・家賃目安 ・お客の多く見栄はって家賃交渉、しかしAI相手には見栄盛らない可能性
▼考えていること落とし込む ・こういう人ならこう返す ・AIはバディを作るイメージで ・言語化できていない箇所を言語化
▼10年後 ・ゼネラリストが強く ・いまのエンジニアは種類によって <エース営業> ・人:コミュニケーションと「決定」は残る ・時間を増幅できるか(圧縮できるか) ・24時間が100ではなくなってくる可能性 <価値が高い人とは> ・ダブル・トリプルワーク
▼今後 ・電話されたくない顧客ニーズならAI ・お客によってはAIじゃヤダ←ニーズ変わる ・両方できてしかるべき ・聴かなきゃわからない内容は定型業務をAIで「毎日つかうこと」が肝心
新規営業の苦労から脱却!!既存顧客の売上を効果的に維持・拡大して事業を爆発的に成長させる方法 セッションB-2 講演者:岩熊勇斗氏[コミューン]
カスタマーサクセスの重要性 既存顧客の売上を最大化するためのカスタマーサクセス(CS)の重要性が強調されました。新規顧客を獲得するよりも、既存顧客を維持・拡大する方がコスト効率が高く、利益率も向上します。具体的な事例として、月次解約率を5%改善するだけで利益が25%向上するというデータが紹介されました。
営業DXの推進 営業DXを通じて、手動での作業を自動化し、営業活動を効率化する方法が説明されました。個別連絡の一括送信や顧客状況の確認・アクション設定など、ツールの活用によって40時間をクロス・アップセルに振り向けることができるとされました。
*** セッションB-2 メモ ***
▼自己紹介 PeopleX https://cocoda.design/cooktsuji/p/p3111c157dfb3
・カスタマーサクセス10年従事 ・既存お客様どうするの?を考え <CSとは> ・どの領域でも注目 ・購入後、長く使っていただく ・売上を最大化 ・ただしボランティアではない ・あくまで1つの手段 ・フレデリック・F・ライクヘルド ・NPS ・新規より5倍 ・5%改善で利益を25%改善 <例> ・毎月10,000円 月次5%解約 VS 月次5%改善
▼既存顧客の売上を最大化するためにはどんな営業活動をおこなえばよいか ・CSMは既存に向いてない? ・未顧客(ノンユーザー)との違い? <SuccesHub> ・お客さん状態を把握 ・やること決めてやる ・手動は難しい ・一気通貫で簡単に ・個別連絡一括送信 ・1社ごとチューニング ・10~20分で変数部分を変更 ・お客さんもいつものコミュニケーションツールで ・顧客状況確認アクション設定→25%減少 ・40時間をクロス・アップセルに全振り
大手企業の時間軸を変えた営業DXの実例 セッションA-3 講演者:桐原理有氏[ナレッジワーク]
*** セッションA-3 メモ ***
1.大手向け 2.売り手での参考 セールステック向け、ドメインシェア←参考に ▼自己紹介・ナレッジワーク ・営業DX ・もとワークスアプリ、IBM ・2022年正式ナレッジワークリリース ・営業商材を使いやすく ・100名のうちの10名はデザイナー ・UI/UX価値 ・みずほ5000名利用 ・1000名以下には営業活動していない ・月間7.5時間を削減 ・情報収集、資料作成 ・セールスイネーブルメント ・みんなが売れる営業 ・ソリューション営業に変化していきたい→変わってない
▼売れない営業が取り残される、ハイパフォーマーだけ ・いかにパフォーマンスあげるか ・日本は背中見て学び→変えていこう ・ナレッジ、ワーク、ピープル、ラーニング ・コンテンツがすぐ見つかる、プロセス設計、スキルの可視化、学習・研修 ・営業管理が進んだ ・現場は負担入力、リターンが少ない ・いかに現場に支援の投資 ・管理者が現場と解離 ・ハイパフォーマーが現場から離れている
▼時間軸を変えた営業DX ・スピーディーな決断 ・売り手と買い手の設計 ・ストラテジー、プロセス、スピード、マネージメント ・世界デジタル:日本は32位 ・デジタル準備されていない ・IT化、今まで全社システム、失敗リスク ・数年:現場部門でIT投資、早く導入推進特性 ・早期稼働が重要 ・現場に工数はマイナス <陥りがちな失敗要因> ・現場を管理していこう→支援を中心 ・運用軽視→長期検討→後で <検討スピードと質> 人事異動などで結論があやふや→プロジェクト設計が重要 <例> ・日本通運 ・売り手のノウハウを使う、自社に固執せず ・イネーブルメント部門も作った <みずほ> ・完成されたプロセス、ノウハウ、ツール、支援体制、投資効果 ・大手は、自社で固執、情シスで時間かかる ・ノウハウ生かすか ・売り手側では「設計」であり方をかえる ・約1年で5000名プレス 検討商談3ヶ月試行決定 ・2.5ヶ月各種チェック ・検討期間は短い平均2.4カ月長期化するとぶれる
▼売り手の知見を最大限活用 ・売り手:高い再現性プロセス設計した上、買い手に検討プロセスを提供できること ・買い手:グッドかバッドか判断 ・各社バラバラ、成果創出は再現性低い ・検討プロセスの事例化、リスクテイク、選んだものがグッドだった ・必要なリスクチェック ・いつまでも稼働しません→アジャイルで修正 1、実績、2、検討プロセスの再現性、→作り込んで行けば必ず良い 売り手に従う プロダクト価値より重要
検討スピードは成果創出スピードに比例、直結 検討スピード向上のため、売り手の知見を、最大限活用 検討停止もじさない、無駄な工数を減らす
「営業マネジメントのあるある課題」に終止符を! 『営業の科学』高橋氏、『急成長を導くマネージャーの型』長村氏によるアドバイス セッションB-4 長村禎庸氏[EVeM]/高橋浩一氏[TORiX]/【モデレータ】宮田 華江氏[翔泳社]
マネジメントのポイント 営業マネジメントにおける課題とその解決策について議論されました。案件の任せ方や具体的な手本を見せることの重要性が強調されました。また、目標達成に向けた意識づけや行動の具体化が、チームのパフォーマンス向上に不可欠であるとされました。
営業DXとナレッジワーク 営業DXの推進により、営業活動の効率化とパフォーマンス向上が図られることが期待されます。特に、セールスイネーブルメントやソリューション営業の導入が、今後の営業戦略において重要な要素となります。
*** セッションB-4 メモ ***
▼営業案件の任せ方 ・任せる案件、どこで任せるか ・ポイント、上手な釣り方、セッティング ・代わりに釣る? ・解っているなら任せてみよう ・解っていないなら一緒に ・具体的に解らないときに手本を見せる、その場でみせよう ・一緒にいくけど次からは自分でね自分がやるべきかどうかを判断する
▼マネージャー業務 1.決める:決済や事業インパクトのY/N 2.実行する:かわるのか?重要か?←質も重要も変わらないなら移譲 ・意志決定・不可逆性・決定の影響 ・関与方針 ・高・低・関与する/しない ・合格点で任せる 80点 120までの40点ではない(自分程できなくても) ・案件の売り上げ目標、結果の状態(上位層と会話出来ている状態) ・撤回条件を付ける ・条件なくアサイン戻すと無力感に陥る
▼外発的な目標の落とし穴 ・「必達!」みたいなことでプレッシャー ・最低限だけやろう。。。とか。記入だけ増えて (←良くある話。目標件数だけ提示なんていいこと何もない) ・「意識」より「事実」 ・行動してきたこと月曜にもどってリプレイ再現、追いかける ・否定されたくない心理 「意識」はきめつけ、「行動」に介入する
▼目標達成意識が薄いメンバーに対して <1.必要性感じない場合> ・何の為にやっているの?法令できまっていないこと ・メンバーの創意工夫を誘発しメンバーの成果を最大化する ・意味があること ・興味がない→成長志向のあり・なしでGAP=文化で仕事できない <2.方法> ・シーンによって使い分けるコーチング 目標→現状→リソース→方針→アクション→実行推進
考える時間を作るアドバイス、明日からのアクション
日本企業を営業から変革する──営業マネジメントは今どう動くべきか 特別講演 講演者:倉本由香利氏[マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン]
日本企業を営業改革で変革! マッキンゼー倉本氏が語る、営業マネジメントの今すべきこと
~営業生産性1.5倍の差を埋める鍵は、優秀な営業マネージャーの育成~
2024年7月12日、SalesZine Day 2024 Summerにて「日本企業を営業から変革する──営業マネジメントは今どう動くべきか」と題した特別講演が行われました。マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパンのパートナー 倉本由香利氏を講師に迎え、日本企業が直面する営業課題と、それを克服するための営業変革のポイントについて解説されました。
1. 日本企業の営業が抱える深刻な課題
少子高齢化による国内市場縮小、人材不足、円安によるコスト増など、日本企業は今、前例のない危機に直面しています。こうした状況を打開するためには、営業改革による生産性向上と新規市場開拓が不可欠です。
しかし、グローバルベンチマークと比較すると、日本企業の営業生産性はどの分野でも低く、特に顕著なのが営業担当者一人あたりの売上高、利益、粗利 です。これは、価格競争力不足に加え、海外展開の遅れも大きな要因となっています。
2. 営業改革を成功させるためのフレームワーク
営業改革を成功させるためには、現場任せではなく、経営層主導で戦略的に推進することが重要です。倉本氏は、そのためのフレームワークとして「インフルエンスモデル 」を提唱しました。
インフルエンスモデル は、以下の7つの要素で構成されています。
チェンジストーリー: なぜ改革が必要なのかを明確に伝える
ロールモデル: 改革の先駆者となる存在を示す
スキルbuilding: 必要なスキルを習得できるように支援する
リファレンスメントメカニズム: 成功事例を共有する仕組みを作る
コーチング: 個々に合わせた指導を行う
仮説試行: 積極的に新しい施策を試してみる
組織と技術: 改革を支える基盤を整備する
3. 営業マネージャーこそが改革の鍵
倉本氏は、営業改革を成功させるための最大の鍵として、組織的に有能な営業マネージャーを育成すること を強調しました。優秀な営業マネージャーは、部下のコーチングに時間を割き、売上を分解分析することで課題を特定し、改善策を導き出すことができます。
また、スーパーコーチング やチェンジリーダー といった具体的な育成方法についても紹介しました。
4. 経営陣のコミットメントが不可欠
倉本氏は、「営業マネージャーを育てるには経営陣のコミットと腹決めは不可欠」と訴えました。経営層が率先して改革を推進し、必要なリソースを投入しなければ、真の営業変革は実現しません。
5. まとめ
日本企業が生き残るためには、営業改革による生産性向上と新規市場開拓が必須です。その鍵となるのが、優秀な営業マネージャーの育成です。経営層は、倉本氏が提唱したフレームワークを参考に、組織的に営業マネージャーを育成し、営業変革を成功に導くことが求められます。
本講演は、日本企業の営業改革に関心を持つ経営者や営業担当者にとって、非常に示唆に富んだ内容でした。
*** 特別講演 メモ ***
▼自己紹介 戦略を実行する支援が多い 営業改革で売上・利益アップ ▼営業生産性 グローバルベンチと比較するとどの分野でも低い sales growth
1.日本企業を取り巻く営業の課題 ・人口減少 ・生産性低さ ・グローバル展開必要性 ・提案営業への転換 ・値上げ活動の必要性 ・営業効率化 ・デジタル改革 ・ソリューション営業化 ・プライシング改革 ・いろいろ押し寄せている、一気に進めたいが進まない状況 <日本の営業生産性はなぜ低いのか> ・営業ROI インベストメント ・営業生産性の指標 ・リターン:粗利、売上ではない ← 何倍稼げているか ・インベストメント:営業コスト=人件費+非人件費≒販管費も含まれている ・どの業界も1.x~2 海外は4くらい ・一人あたりの売上高、利益粗利も低い ・コストに対して粗利がとれていない →価格問題 日本:海外売上高低い→成長率・利益率も低い どの業界も海外進出進んでいるが自国市場に依存 ・ソリューション営業 ・モノウリ→コンサル→ソリューション営業 ・他社もくみあわせながら ・価格は大事 価格1%で利益率10%あがる
2.営業変革を成功させるためには ・経験したこと無いものを現場だけは無理ゲー ・変革のフレーム:インフルエンスモデル (7sは使わない=戦略側) ・チェンジストーリー →なぜ?改革するの? ・ロールモデル改革の先駆者か? →CRMすら使えない管理者 ・スキルbuilding →仕方、続け方の知恵 ・リファレンスメントメカニズム →仕組みが必要 ・コーチング30% ・仮説試行2~3倍 ・組織と技術25%最大の鍵:組織的に有能な営業マネージャーを育成 ・営業メンバーのコーチングに時間を使えていない ・営業はアートだ! ・カーネギー→人を動かす ・ドラッカー→科学 ・5回のなぜ?徹底する事が大事 <ばらつき分析> ・稼ぎは上位10人とか ・上がらない理由を解いて支援していく ・コーチング <売上を分解する> ・訪問回数 ・勝率 ・売上規模 ← それぞれどうだろう ・なぜ行けてないのだろうの分析が必要 <スーパーコーチング> ・マネージャーをコーチング ・宝探しをするが、あら探しはNG <チェンジリーダー> ・見て学ぶ、実践、育てる ・ラーンドゥティーチモデル <生成AI> ・アカウントプラン ・市場、課題←ソリューション提案まとめ ・20~30時間かかるが叩き台をつくる ・ハルシネーションはチェックすればよく、それも人の学習に
「営業マネージャーを育てるには経営陣のコミットと腹決めは不可欠」
まとめ 「SalesZine Day 2024 Summer」では、AIの活用やカスタマーサクセス、営業マネジメントの最新トレンドが紹介され、参加者にとって非常に有益な情報が提供されました。これらの知見を活かし、ビジネスの成長と効率化を図ることが求められます。今後もAI技術の進化や営業手法の改善に注目し、最新の情報を取り入れていくことが重要と感じました。
#セールスジンデイ #SalesZineDay #SalesZineDay2024 #カスタマーサクセス