見出し画像

本が僕を人間にしてくれました。


 noteを見ていたら、 #私を構成する5つのマンガ  なんて面白そうな企画をやっているじゃないですか。しかも、マンガファンのためのマンガサービスである『アル』とコラボしているとのこと。

 代表取締役であるけんすうさんのTwitterはフォローしていたのですが、アルは使ったことなかったので(なんでや)、これを機にアルも使ってみる良い機会にもなりましたね~。

 タイトルにもある本が僕を人間にしてくれました。という言葉は、僕の好きな漫画の一つで、松田 奈央子さんの作品『重版出来(第1巻)』の言葉です。この言葉は、主人公が勤める出版社の社長が言った言葉です。

 この社長は、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」で涙を流したり、勤めてきた出版社で、本を通して様々な人と出会い、経験をしてきました。それゆえに自分がかかわった書籍はすべてヒットしてほしい、本を愛する人々に貢献したいという思いを抱いています。そんな社長が本に対して恩返しをする理由が、

 人生を本によって救われた男のこの重みのある言葉、震えますね。

 そしてこの言葉、 #私を構成する5つのマンガ の趣旨に合っていて、タイトルにもぴったりの言葉だと思ったのでオマージュさせていただきました。

 皆さん、漫画は好きですか?僕は大好きです。僕という人間の成分を抽出すると、今まで読んできたいろんな漫画のエッセンスが散りばめられていると思います。

 まだ僕は20年しか生きていませんが、この社長の言葉のように、本が僕を人間にしてくれた部分は自分が気付いてるところ、気づいていないところを含めてもとても多いと思います。

 そんな僕の #私を構成する5つのマンガ  について語っていきたいと思います!

画像4

左利きのエレン(作者:かっぴー)

 まず一つ目は、ドラマ化されたり、新聞広告の「朝日新聞社×左ききのエレンPowered by JINS」というプロジェクトで、株式会社GOと企画コンペをしたり、クラウドファンディングで支援総額53,689,052円という異次元の金額を叩き出したり、漫画だけに留まらず注目を浴びているかっぴーさんの『左利きのエレン』です。

画像5

 かっぴーさんは、漫画家に転向する前に、広告代理店に勤めていた経歴を持ち、広告代理店の内情ががいかんなく漫画の中でも盛り込まれています。

 また、左利きのエレンのキャッチコピーは「天才になれなかった全ての人へ」、このキャッチコピーも秀逸で僕は大好きです。

 簡単な概要として、

 『左利きのエレン』は、広告代理店に勤務するデザイナーであり、"何者か"になりたいという思いを抱えた朝倉 光一と、圧倒的才能を持つアーティストであり、"天才"としての苦悩を抱える山岸 エレンのW主人公です。そんな二人が必死にもがき悩みながら、そして本気で生きるその先にあるものとは。

 『左利きのエレン』は、広告代理店で働く光一と、圧倒的才能を持つグラフィックアーティスト?(作中で正式に明言されていない)であるエレン、この2人の出会った過去を振り返りながら展開していく流れになります。

 この作品の魅力はなんといっても個性豊かなキャラクターから飛び出る仕事ひいては人生における名言の数々です。

 そんな『左利きのエレン』を僕が読むきっかけになったシーンを紹介したいと思います。

 痺れますね。

 このシーン(第3巻)はとても刺さりました。皆さんはありませんか?あの時本気を出していたらもっと上手くいったんじゃないか?あのアクシデントがなければもっと実力を発揮できたなんて経験、僕にはあります。

 半年以上前から力を入れていた宅健の資格取得試験。当時、同棲していた彼女に振られてメンタルがたがたで、宅健の勉強を全然しなかったこと。

 センター当日の試験途中に、暖房が直撃してめちゃめちゃ暑かったこと、英語の筆記で点数配分が大きい最後の設問をマークミスしたこと、いつも点数が取れていた国語の点数が低かったこと。

 どんな状態であっても、その範囲内でしたことが自分の全力だということ、それをこのシーンで僕に気づかせてくれました。

 僕にとって『左利きのエレン』は、仕事に対する考え方に変化を与え、本気で仕事をしたいと思わせる本です。


BLUE GIANT(作者:石塚 真一)

 二つ目は、前作に小栗旬さんが主演を務めた映画『岳』や、第62回小学館漫画賞一般向け部門を受賞、第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞などをしている石塚真一さんの『BLUE GIANT』です。

画像1

↑僕の好きな巻の表紙を載せました。フォントと色の組み合わせがたまらなく好きです。(ちなみに、この人物は主人公ではないです。)

 簡単なあらすじとして、

『BLUE GIANT』は、「宮本 大(みやもと だい)」という宮城県仙台市に住む高校生が主人公です。大さいこは友達に連れて行ってもらったジャズのライブからジャズに心打たれて、雨が降っても、どんなに日差しが強い日も毎日、「世界一のジャズプレイヤー」になるために河川敷でジャズを吹いています。

 平凡な高校生が、ジャズという分野で世界一のプレイヤーになることを目指す王道のストーリーです。

 この作品の魅力を3つほど紹介したいと思います。

 1つ目は"最高"な登場人物たちです。

 誰よりもまっすぐな主人公の大、36回ローンで主人公にサックスを買う大の兄、夢破れた大のサックスの師匠、才能と繊細さを兼ね備えたピアニスト、情熱を取り戻した初心者ドラマー、豆腐屋のおっちゃん、他にも様々な魅力的な登場人物が登場します。

 2つ目は、まるで"音が聞こえてくるかのような演奏シーン"です。

 観たほうが早いと思うのですが、BLUE GIANTは『アル』のコマ投稿許可が出ていないため、掲載できません、、、無念。

 しかし、BLUE GIANTの演奏シーンは画力が高く、音が聞こえてくるような躍動感をはらんでいながら、一方で、1枚の絵画を見ているような気分にもさせてくれます(伝われ)。不思議ですよね。

 3つ目は、"現実"を見せてくれるところです。

 例えば、大が高校時代勤めていたバイト先から経営業態が変化したことによる解雇を通知されたことや、ジャズというジャンルの音楽で成功することの難しさです。

 しかし、一番はなんといっても"お金"を通して現実を見せてくれるところでしょう。

 上記でも少し触れた通り、大の兄は36回ローンを組んでその店で一番高いサックスを大に購入しています。『BLUE GIANT』では、他の様々な場面でもお金を通して現実を見せてくれます。

 実際、何をするにもお金がかかりますよね。だからこそ、よりこの漫画に共感でき、はまる面もあると思います。

 僕にとってこの漫画は、"熱さ"を取り戻してくれる漫画です。僕は考え事をするときに部屋の中をぐるぐる歩き回る癖があるのですが、BLUE GIANTを読むと間違いなく何かしたいという思いが湧き出て部屋中をぐるぐる回り、最終的には腕立て伏せをしています。


おやすみプンプン(作者:浅野いにお)

 3つ目は、宮崎あおいさんが主演を務めた『ソラニン』などが作品にあり、有名アイドルグループ『でんぱ組.inc』の作詞や、若者に人気の雑貨屋である『ヴィレッジヴァンガード』とコラボした商品展開、などマルチな活躍をしている浅野いにおさんの『おやすみプンプン』です。

画像6

 同作者の他作品である『うみべの女の子』と『おやすみプンプン』どちらを選出するか迷ったのですが、"私を構成している"という趣旨だったため、こちらの『おやすみプンプン』を選びました。

 この漫画はネット上でよく鬱漫画と評されています。評される通り、『おやすみプンプン』は、見ていてとても辛い展開や、心が重くなるような描写がとても多いです。

 しかし、『おやすみプンプン』は、鬱漫画という言葉に"名作"鬱漫画、鬱漫画界の"傑作"なんて言葉が付属します。ただの鬱漫画じゃありません。

 『おやすみプンプン』一言で表現すると、

"ある普通の小学生『プンプン』の波乱万丈の人生を通した人間ドラマ"

です。いや、プンプンってどんな名前だよって突っ込みたくなる方もいらっしゃると思います。その疑問の解消にもなる『おやすみプンプン』の魅力をいくつか紹介したいと思います。

 一つ目は、デフォルメされたキャラです。

 見たほうが早いと思うので載せます。主人公『プンプン』はこんな姿です。

 かわいい

 何この名前、何この姿って感じでしょうが、『おやすみプンプン』内の、主人公の家族ひいては親戚である「プン山」家は、みなこのようにデフォルメされている姿です。(逆にそれ以外は普通に人間の姿です。)

 作者である浅野いにおさんのインタビューによると、

 顔かたちが誰にも似ていないがゆえに、逆に誰もが感情移入できる、自由に表情を想像できる。あのデフォルメはそんなふうに機能していると最初は思ったんです。(中略)  顔がリアルに描かれることがないからこそ、プンプンの言動を正面から見つめ続けることができる。読者に対してもそうですし、作者自身も、あの顔だったからこそ描けたことがあったのではないかと。いかがですか? 引用:https://cakes.mu/posts/5606

と、記者さんが浅野いにおさんに言っていました(記者かい)。

 その発言に対して浅野いにおさんも肯定していたので、プンプンをはじめとしたプンプン一家は上記のようなデフォルメされた姿なのだと考えます。

 このデフォルメされたプンプン一家のその姿とミスマッチした重すぎる内容や描写、そして、思想、発言、信仰などがとても魅力的なんです。


2つ目は、胸を打つ言葉の数々です。『おやすみプンプン』も、『アル』のコマ投稿の許可が出ている為、いくつか好きな言葉を紹介します。

 一つ目は、ヒロインの愛子ちゃんがプンプンにかけた言葉です(第1巻)。

 ホントそれな。

 そうなんです。普通に生きるのってとっても大変なんですよね。ましてや、他人の足を引っ張りにかかる人は絶対に幸せになれないと言い切る愛子ちゃん。

 幼いながら、複雑な家庭環境に置かれた愛子ちゃんの人生観を模したこの言葉が僕はとても大好きです。

 僕の好きな漫画『重版出来』のドラマ版(第4話)でも、似たような言葉が述べられています。

 母「せっかく大学に入ったんだから。普通に就職して、普通に結婚して、そういう普通の幸せを…」
 息子「今それ普通じゃないの。贅沢」

 普通なんて人や環境によって、いくらでも変化しますし、多くの人が想像する普通は贅沢なものが多いと思います。


  二つ目は、主人公の叔父である雄一が乗ったタクシーの運転手が雄一にかけた言葉です。

 沁みますね。

 誰しもが、意識的であれ、無意識であれ人を傷つけてしまったことがあると思います。そして、人からもらった優しさによって許されたことも。

 普遍的な題ですよね。『聖書』や、ドストエフスキーの『罪と罰』などを思い出します。

 人からもらった優しさはちゃんと人に還していこうと、改めて思わせてくれる僕の大好きなシーンです。 

 僕にとって『おやすみプンプン』は、現実の過酷さとそれを乗り越える教訓を教えてくれたと同時に、孤独を癒してくれる漫画です。


ハチミツとクローバー(作者:羽海野ちか)

 4つ目は、神木隆之介さん主演で映画化された『3月のライオン』などの人気作品や、ドラマ化もされた羽海野ちかさんの『ハチミツとクローバー』です。

画像2

(この水彩画のような絵柄と淡い色づかいが素敵な、僕の一番好きな表紙です。)

 キャッチコピーは、登場人物、全員片思い。たまんないですね。

 そんな『ハチミツとクローバー』の概要を簡単に説明すると

 美大を舞台に、主人公の竹本 祐太(たけもと ゆうた)をはじめとする登場人物たちの恋愛、人生、過去について悩みもがきながら成長していく様子を描いた物語です。

という感じです。

 また、前述のキャッチコピーのように登場人物が全員誰かしらに片思いしていてここがこの作品の魅力ですね。

 この『ハチミツとクローバー』で、僕が大好きな言葉を(本当はコマを載せたいんですけどこの漫画は許可が下りていません)二つ紹介したいと思います。どちらも主人公である竹本 祐太(たけもと ゆうた)の言葉です。

まず、一つ目が

 —オレはずっと考えていたんだ。うまく行かなかった恋に、意味はあるのかって。消えて行ってしまうものは無かったものと同じかって。今ならわかる、意味はあったんだよここに。
 ボクがいて 君がいて みんながいて たったひとつのものを探した あの奇跡のような日々は いつまでも甘い 痛みとともに 胸の中の遠い場所で ずっと なつかしく まわりつづけるんだ…

引用:羽海野チカ/はちみつとクローバー(第10巻)

 メロウですね。

 恋愛はもちろんなんですけど、人生においてうまくいかなったこと、思い出したくもない記憶、無為に過ごした日々、そのどれもがあったからこそ今の自分がいるんだってことを『ハチミツとクローバー』に教えてもらいました。


 二つ目は、振られるのが分かっていたため、ずっと告白したら後悔すると思っていた主人公が、東京から日本最北端の稚内までの自分探しの旅を経て、ヒロインである花本はぐみに告白した後の心情を綴ったシーンです。

 あげられるものなんて心くらいしかないから、君にわたそうとおもった。 (引用:羽海野チカ/はちみつとクローバー 第10巻)

 イケメンすぎる。

 しかも竹本君、全く後悔していないんですよね。一種の清涼感すら抱き、なんなら、気にしなくていいのにとまで思っています。もう悟り竹本なんですよ。振られているのかホントにと思わせる強者さがすごい好きです。

 この竹本君の考え方は僕に少なからず影響している部分があるのだと思います。今、僕が付き合っている子も、2回振られて2回考えさせてと言われました。(5回目で向こうから告白される逆転サヨナラ満塁ホームランでした。)

 僕が告白していた時のメンタルには、この竹本君のような想いが少なからずあったと思います。告白の3.4回目なんて駆け引きを一切しませんでした(できない)。

 『ハチミツとクローバー』は僕に、過ごした時間の意味と恋愛の考え方について教えてくれた漫画です。


プラネテス(作者:幸村誠)

 もう最後のマンガですね。五つ目は、他作品にアニメ化れた『ヴィンランド・サガ』や、2002年度星雲賞コミック部門および、テレビアニメ化された作品が2005年度星雲賞メディア部門を受賞(この賞の原作・アニメW受賞は宮崎 駿さんの『風の谷のナウシカ』以来)した幸村 誠さんの『プラネテス』です。

画像3

 この作品の概要を簡単に説明すると

 宇宙という広大な舞台を通して繰り広げられる、主人公星野 八郎太(ほしの はちろうた)通称:ハチマキの精神的な成長と、登場人物たちの葛藤や成長を描いた人間ドラマ。

 と言ったところです。また、この『プラネテス』は全4巻しかないんですよ。ですが、ホントに4巻?と聞き返したくなるぐらい濃い内容になっています。

 そんな『プラネテス』の魅力的な言葉をいくつか紹介したいと思います。まず一つ目は、主人公ハチマキが言った

 たまんないですね。

 人に話すことはできても、本当の意味で共感されることはない自分の経験ってありますよね。特にマイナスなものはその傾向が多いと思います。

 自分の内で熟成するようにしまい続けるマイナスな想い、でもそんな思いすら味わいつくしてしまおうというハチマキのニヒルな笑みとセリフ、たまりません。

 そして二つ目が、一つ目のシーンのセリフを吐いたハチマキの終盤のこのセリフです。

最高ですね。

 自分の宇宙船を持つという夢を持ち、そのためにすべてを捨てる覚悟を持ったハチマキは、周囲の人々をも遠ざけ、孤独な道へと進んでいきます。しかし、「愛」における信念や哲学を持つヒロイン田辺をはじめとする様々な人々と出会う中で、最終的にハチマキが辿り着いたのがこの言葉です。

 「愛」と一口に言っても、恋愛、家族愛、友愛、自己愛、博愛など様々な愛の形があります。そして時に、自分を救うものであったり、裏切ったりするなど振り回されるものです。

 僕はエーリッヒ・フロムの著書である『愛するということ』を読んで、愛についての信条や哲学が養われました(漫画だけでなく、いずれ小説も紹介したいですね。)。

 僕にとって『プラネテス』は、人生における信条や哲学を考えるきっかけになった作品です。

おわりに

 拙い文章でしたが、ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。これで #私を構成する5つのマンガ の紹介は以上になります。書いていて思ったのですが、選出する漫画はどれも、人生における名言や教訓、信条や哲学などが触れられている漫画ばかりですね。

 漫画って素晴らしいなって再認識しました。

(ちなみに他にも #わたしを構成しているマンガ 候補はこんなにありました↓)

 完全に余談なんですけど、就活のESなどで趣味を書く欄がありますよね?でも、漫画を読むことってなかなか書きづらいんですよ。だって幼く思われますもん。絶対、読書って書いちゃいます。(もちろん小説も好きなんですけど、僕は漫画が一番大好きです。)

 しかし、今回の記事を書いて思ったのは、漫画は自分のいろんな部分に影響を及ぼしているということ、そしてたまらなく好きであること。このような機会を設けてくれたnoteとアルには感謝でいっぱいですね。

 だから、就活のESや面談なでも漫画を読むのが大好きです!って胸を張って言おうと思います。もし漫画について聞かれたら、「noteに漫画への想いを7000字以上書くぐらい好きです!」って言えますしね。

 繰り返しにはなりますが、ここまで読んでいただきありがとうございました!

 それでは皆さん!良い漫画ライフを送りましょう!では!

(P.S. コメントでおすすめの漫画教えてもらえると嬉しいです。)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?