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精霊の舎-45(連続短編小説)

最初は天高く舞う美しい龍神にしか
目をくれなかったマギも、
上に立つ青年の、自分を想う温かさと
真摯な熱意に気付き、
次第に心動かされていった。

そして、ある日、悟ったのだ。

自分はこの青年に会うために、
異形となって、
千年以上もの時を
この川で過ごしてきたのだ、と。

龍神は、そのために彼女を、
かくも長きに渡って魅せ続けてきたのだ、と。

そう悟ると同時に、
マギの姿は地上を歩く人の形に
なっていた。

そして次に青年が、祭りに現れた時、
マギは、人混みの橋の上で、
自分から手を差し伸べたのである。

青年の手は大きくて温かく、
そしてマギの手もまた、
同じくらい温かった。

「これは、私が作った物語じゃないの!!」

カイの手を握ったマギは、
いきなり叫んだ。

ところは祭りの真っ只中、
押せや押せやの人混みの中である。

                 続

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