精霊の舎-48(連続短編小説)
「さて、謎解きを始めようか」
慌ただしい夢時間の後、
二人は今、数々の謎解きが
行われてきたマギの書斎にいた。
謎はいつもマギのほうから
持ち出されるものであり、
ホンナから言い出したのは
これが初めてだった。
マギは、いつもの白い絹の衣を
身に着け、ソファに座っているホンナを
見つめた。
「私には、何がなんだか
さっぱりわからないわ」
マギの言葉に、ホンナはうなずく。
「同感。だけど、人生って
・・・いや、運命って、
筋書き通りには行かないもんさ。
何といったって、
神々の私情が入るんだから。
いっそ、知性ある人間が
筋道立てて考えた物語のほうが、
よっぽど、わかりやすいと思う。
でも、解いてみようよ。
移り気な神々を分析して、
見事に解説してやろう」
マギは、ホンナをじっと見つめる。
「・・・変よ、ホンナ。
今まで、どれだけ頼んだって、
決して自分から謎解きに
加担してくれなかったくせに」
「それは、ある程度、
見えている世界のことだったから。
私からすれば、
あれは単なる答え合わせ。
虎の巻を持ってるんだもん、
自分から進んでマギに
巻き込まれる必要はなかった、と」
それを聞いたマギは、
ふくれっ面のままたずねた。
「それじゃ、今回のことは、
ホンナも知らない、つまり、
答えが分らないまま起こったことなの?」
ホンナはうなずく。
続