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精霊の舎-41(連続短編小説)

ガイヤは心に響く、
どこか懐かしい
その歌声がする方へと
進んで行った。

大きなアカシアの木の下で、
マギが、赤・青・黄・白といった
色とりどりの花々を
摘んでいるところだった。

美しいメロディが、
まだ彼女の唇から流れている。

ガイヤは、そっとマギの前に姿を
現わした。

「・・・カイ?」

そう言われて、
ガイヤは自分の姿が
過去生のカイに戻っていることに
気付いた。

カイは、この世界での
マギの姿を知らなかったが
目の前にいるマギは、
かつて見知っている
マギであり、その名もやはり、
マギのような気がした。

マギは大きな黒い瞳をうるませて、
カイを見つめる。

「ああ、やっと会えたのね、カイ」

               続

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