精霊の舎-31(連続短編小説)
「マギがただの魂に
過ぎないだって・・・?」
ホンナは、精霊の舎で、
ガイヤと話を続けている。
「君は、長年関わってきたマギを、
本当にその程度にしか評価して
いないのかい?」
白いソファに腰かけたガイヤは
肩をすくめる。
「人間として関わってきたのは、
ほとんど、肉体的に、だよ。
あなたほど詳しくマギの魂を
意識する必要はなかった。
それに、精霊になってからは、
正直、見向きもしていない。
だって、違うグループの魂だもの、
当然だろう?」
ホンナは、ソファの向かい側の暖炉の
淵にもたれて、ため息をついた。
「・・・この前の人生でのマギを
知っている?」
「ああ。私がバーで働く青年で、
彼女は平凡で大人しい女性だった」
「それだけ?
彼女の職業や一生を知らないの?」
「知らないよ。
でも、ただひとつ、あなたには
悪いけど、彼女は何年間かずっと
私にぞっこん惚れこんでいたのは
知っている」
「・・・それが、どういう形で
君を巻き込まず、彼女の人生を
変えていったのかは、知らないわけだ」
続