精霊の舎-38(連続短編小説)
ホンナが自分の横で、
心配気に様子を伺っている。
その手に2つ目のクローバーが
握られているのを見て、
マギは飛び起きた。
ホンナはびっくりする。
「な、何?
ああ、クローバー?
マギにあげようと思って摘んで
きたんだけど・・・
どうしたの?」
寝起きのマギは、
首を振って長い黒髪をかき上げた。
「・・・何か思い出したような気がしたの。
でも、忘れてしまったわ」
マギは、さっきの夢をホンナに語った。
ホンナは神妙に考え込む。
「何か思い当たることはあるかしら?」
「・・・何だか懐かしい気もする光景
だけど、私の記憶にないことを確かだ。
だた、その、東洋的なイメージは、
どこかで・・・」
火と水と舟と・・・。
それはまぎれもない祭りの・・・
東洋の祭りの風景だった。
しかし思い出せないものは無理に
思い出す必要はない。
永遠にわからないことならば、
今、考えてもわからないし、
機が熟せば解ける封印であれば、
待っていれば、それでいい。
ただ、マギが、それを夢に見た、
ということが、そう遠からず、
封印の解かれる前触れのように思えた。
続