見出し画像

ハンカチと猫(エッセイ)

数年前、会社に向かう途中、
裏通りで車にはねられて
死んでる猫を
見かけてしまった。

寒い寒い朝だった。

夜中にひかれたのか、
猫は凍ったように
固まっていた。

私は思わず、
どうしていいのかわからず、
持っていたハンカチを
猫の上にかぶせた。
 
寒かっただろう、
痛かっただろう。
かわいそうに。

帰りに通りかかったら、
近所の人が片付けてくれたようで
猫はもういなかった。

ハンカチと一緒に
区役所の保健所に
持って行ってもらえてたらいいな、
と思った。
 
うちの実家の愛猫も、
母の目の前で車にはねられて
死んだ。

脳梗塞の父と、母、妹と私の四人で、
わんわん泣きながら
ペット葬儀したものだ。

ハンカチを被せた
あの猫は野良猫だったのか、
飼い猫だったのか。

今、自分が飼っている猫と
重ねると涙があふれる。

天国でぬくぬくしてくれているといいな。

#創作大賞2023     #エッセイ部門

いいなと思ったら応援しよう!