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精霊の舎-43(連続短編小説)

笛の音と太鼓の音、
暗闇にいくつもの篝火。

大きな川に星の数ほど浮かぶ
輝く舟。

天の川を水面に映したような
眩しく光る川のほとりで、
マギは天を仰ぎながら佇んでいた。

昼間のように明るい地上と、
真っ黒な天空。

その天空を一瞬、
地上のどの光よりも鮮明な
稲妻が走った。

その閃光と黒い雲の合間に見た
神の影を追い、
マギは大きな川に身を投げた。

「龍神様、待って・・・!」

しかし川に映ったのは影に過ぎず、
その実体は、空高くへと
舞い上がって行った。

「待って・・・ホンナ!」

マギは、麻の衣にずっしりと
水が浸み込み、体が勝手に

沈んでいくのを感じた。

そして、どうしてこんな神話のような
世界にいるのだろう、
どうしてホンナは自分を置き去りに
してしまったのだろう、と、
ぼんやり水面下で考えていた。

                続


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