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精霊の舎-15(連続短編小説)
ホンナが案じたのは、
夢のマギが本当は
夢の産物などではなく、
現在のマギさえも変えてしまう
ものではないかということである。
つまり、過去という根っこに
引っ付いて、現在のマギさえも
悪い風に変えてしまう
疫病のようなもの。
実際、現在のマギを変えられるのは、
マギの過去自体を変えてしまうこと
だけだった。
疫病やウィルスといった類いの
ものだからこそ、夢のマギには、
夢のホンナが存在しなかった
のではないだろうか。
「絶対に変わることのない存在なんて、
つまらない。
何のために変わるのかなんてことは、
さておいといて、
良かれ悪しかれ
変わってみるのもいいかもしれないわ」
そういうと、マギは、夢のマギを
そっと揺り起こした。
「夢の私、いったい何が起こっているの?」
マギのやさしい声に、夢のマギは
ゆっくり目をさました。
「・・・どうして、こんなんことになって
しまったの?
あなたは、本当の私なんでしょう?」
驚いたことに、夢のマギは、
マギの存在を知っているようだった。
ホンナは、更に身構える。
それをマギは、そっと制した。
「夢のマギ、あなたは今、
どんな状況にあるの?
私なら、あなたを助けられる
かもしれない。教えて」
続