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精霊の舎-42(連続短編小説)
若い男に姿を変えたカイは、
なぜ今までマギとの関わりを
持たなかったのか不思議に思った。
しかし、それは、
カイの方の思惑ではない。
すべては、マギの創作のため、
二人は前世で結ばれなかったのだ。
カイは両手を広げ、
美しいマギを抱きしめた。
心の中に広がる安堵感と、
湧き上がる情熱。
精霊の自分にまだこんな感情が
存在するのが不思議だった。
二人は遠い昔のように愛し合った。
いにしえから続いてきたにも関わらず
前世でだけは確かめることができなかった
互いの肌の温もりを確かめ合った。
気が付いた時、
二人はエメラルド・グリーンの泉の中で
身を寄せあっていた。
カイはしらばく思い出せずにいた
マギという魂の存在をすっかり思い出し、
泉の中でうっとりとその体を抱きしめた。
マギはずっと知っていた、その肌を
時を経て、今やっと手に入れたことに
至福の喜びを感じていた。
二つの魂が幸せの絶頂にあったその時、
世界が炸裂した。
続