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CRO3社の会計情報を徹底分析!(比較エクセル付き) ROE,ROIC,ROA編(4/4)

皆さんこんにちは!
ヘルスケア業界(CRO)で新規事業企画の仕事をしているヒロシズです。

今回は、医薬品等の開発支援のCRO企業分析記事です!
この記事は、以下の企業分析記事を4分割したうちの、最終回第4弾です。
分割にあたっての修正は表現のみのため、以下記事を購入済の方は購入不要です。

記事の内容

記事の難易度は、会計を勉強したことがない初心者~ちょっとだけ経験者向けです。

【コンセプト】
CRO(※)3社のEPS、シミック、リニカルの決算を比較&ヒロシズ目線で解説
【内容(今回の分割後の内容)
① CRO3社のROE, ROIC, ROAの比較と解説
② CRO3社の3年分の決算まとめ(分析に使った元データ)の公開(エクセル):ROE, ROIC, ROA編
③今後見るべき指標
【本記事の特徴】
・会計用語と実際の企業業績(決算)を繋げて読むことができる
・CROの財務分析に特化している
・本書を読むだけで、CRO3社の数字がまるっと理解できる
・CRO3社3年分の決算の数字をまとめたエクセル付き

(※)CROとはContract Research Organizationのことで、製薬会社の医薬品、医療機器、再生医療等製品などの開発業務を支援する企業のことです。
わかりやすく言うと、治験等を支援する企業です。

なお、EPS、シミック、リニカルを選んだ理由は、3社とも事業構造の毛色は違えど、メイン収益が臨床試験の受託であり、比較分析しやすいと考えたためです。
また、EPSとシミックの最新通期決算は2020年9月期ですが、リニカルは2020年3月期です。
そのため、EPSとシミック、リニカルでは、決算時点でCOVID-19の影響を受けている度合いが異なることをご了承ください。

このnoteを読めば会計情報の基本的な読み方とCROの会計情報がわかる!ように書いています!

本記事の想定読者(社会人、内定者、就活生)

・ROEやROICといった用語を、丸暗記ではなく背景を抑えた上で知りたい
・会計を勉強したことがないが、今後の勉強のキッカケが欲しい
・会計用語の理解から実際の企業分析までを繋げて勉強したい
・忙しくて決算分析をしている時間がないため、概要をサラッと知りたい
・CROの各社の業績に興味がある
・実際に企業分析を自分でやってみたい。そのための素材が欲しい
・就活や今後の入社に向けて、会計の観点から企業分析をしてみたい

それでは、いよいよ本編のスタートです!

①収益性の指標(ROE、ROIC、ROA)の考え方とCRO3社の比較~なぜこれら指標が存在するのか?~

最初に少し、前提整理です。
「会社は誰のものか?」…これは資本の市場では、会社は株主のものになります。
ただ、会社の価値を生む、すなわち株主の利益を最大化するためには、従業員や取引先などとの良好な関係が必要です。
また、事業を成長していくために、銀行などからお金を借りることも場合によっては必要になります。

そして、企業の利益や収益性について重要なのが、「収益の帰属先」の理解です
企業が上げた収益が、株主に渡るのか、または株主と借入先の銀行の両社に渡るのか…これらは分析指標によって分けて見ていくことができます。

その分析指標としてよく使われるものが、ROE、ROIC、ROAです。
上記3つはそれぞれ「Return on 〇〇」で表されます。

ROE: Return on Equity(株主資本利益率)
ROIC: Return on Invested Capital(投下資本利益率)
ROA: Return on Asset(純資産利益率)

これらの指標は「どんなお金を投資して、どんな利益を生み出したか」が異なります。
今回は、これらの3つの指標を順に解説しつつ、CRO3社ではどうなの?を繋げて見ていきます。

1-1:ROE (Return on Equity)

ROEは、企業の自己資本(株主資本)に対して当期純利益がどれくらいの割合かを見ます。
これはつまり「株主(投資家)が投下した資本に対して、企業がどれだけの利益を上げているのか?」を示します。
経営効率や企業の稼ぎ具合を見るためにも、このROEは非常に重要な数値です。

【3社の3年分のROE】

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【解説】
3社とも、2018年度が高く、そこから徐々に下がっていることが伺えます。
また、CRO事業に特化しているリニカルが最もROEが高い(=自己資本を活用してもっとも利益が出せている)と言えます。

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