ヘルスケア情報#2 バーチャル臨床試験とは①
皆さんこんにちは!
ヘルスケア業界(CRO)で事業企画を担当しております、ヒロシズと言います。
今回のテーマは、バーチャル臨床試験です!
ヘルスケア業界にいる方で、かつ臨床試験に携わっている方は、バーチャル臨床試験について名前だけでも聞いたことがある方が多いのではないでしょうか?
今回の記事では、バーチャル臨床試験について、背景的な部分にフォーカスして、説明していきたいと思います。
ちなみに、バーチャル臨床試験関連の記事は、複数回に分けて書いていきたいと考えています!
バーチャル臨床試験とは?
一言でいうと、被験者さんの来院に依存しない臨床試験の事を指します。
従来の臨床試験は、試験で必要なこと(同意取得、検査、診察、治験薬の処方など)はすべて病院で実施するのが当たり前でした。
一方、バーチャル臨床試験とは、被験者さんが病院に行かずとも、自宅等から試験に参加できる仕組みのことを指します。
なお、この「バーチャル臨床試験」には様々な呼び方があり、他には分散型臨床試験、来院に依存しない臨床試験(Decentralized Clinical Trial:DTC)などがあります。
ただ、今回は便宜上、バーチャル臨床試験で統一させていただきます。
なお、臨床試験に馴染みがない人から見たら、バーチャル臨床試験=被験者さんをバーチャル化してネット上で色々試せる試験、とイメージされている話を聞いたことがありますが、それは間違いです!
あくまで、試験の各プロセスをデジタル技術を使うことで代替・支援できる、と言うことがこの「バーチャル」の本質となります。
なぜバーチャル臨床試験が注目されているのか?
個人的な解釈が入ってしまいますが、バーチャル臨床試験が注目されている背景には、主に3の外部環境があると考えております。
①Patient Centricityの概念の浸透
これは「患者中心」という概念でして、業界としても「患者を常に中心に据え、患者に焦点をあてた対応を行い、最終的に患者本人の判断を最大限に尊重すること」という解釈が浸透しつつあります。
要するに、患者さんの声を取り入れながら医療を発展させていく、といったことです。
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/tiken/allotment/patient_centricity.html
Patient Centricityの一つの例として分かりやすいのが、PRO(Patient Reported Outcome)の普及です。
薬剤の評価には、これまでは科学的で客観的なデータ(採血や画像検査など)が求められていました。
しかし近年は、患者さんの主観的な評価も薬剤評価に加えていく考えが浸透しております。
薬剤は市販されたら患者さんの主観が第一になります。
そのため、開発段階からも患者さんの主観を大切にしようよ、といった考えです。
少し逸れてしまいましたが、言語はこのように「患者中心」の概念が益々重要になってきます。
患者さん中心に関連した要素には、患者さんの主観データの収集、患者さんの都合を配慮した臨床試験の参加、患者さんの普段の生活行動からの薬効評価…などが挙げられます。
そしてそれら要素が密接に関連するバーチャル臨床試験は、Patient Centricityと非常に親和性が高いのです。
②DX (Digital Transformation)化の流れ
DX化は、様々な業界で注目されております。
製薬業界はDX化が他業界よりも比較的遅れていることや、デジタルと医療はシナジーが高いといった背景から、最近はDX化で医療をサポートする会社や製品が増えてきました。
バーチャル臨床試験も、医療業界DX化の取り組みの一つに含まれます。
現在、様々なプレイヤーが、バーチャル臨床試験を医療業界の一つのDX推進ポイントとして、参入しています。
③COVID-19の影響
バーチャル臨床試験の実現は、被験者さんの病院への来院が減らせることを意味するため、COVID-19パンデミックがバーチャル臨床試験への取り組みを推し進めております。
なお、このCOVID-19の影響で最も注目されたバーチャル臨床試験の要素は、個人的にはオンライン診療だと考えております。
2020年4月頃から、オンライン診療システムを導入する医療機関数が一気に増えました。
近い将来、診療の選択肢としてオンライン診療が当たり前になってくる世の中が来るかもしれません。
(ここらへんは機会があれば別で紹介できればと考えております)
さいごに
さて、いかがでしたでしょうか?
被験者さんが病院に来なくても実施できる形であるバーチャル臨床試験は、患者中心の社会、医療DX化、COVID-19の影響などもあり、今後の取り組み加速が注目される分野です。
今回の記事が、皆さんの理解の一助になりましたら幸いです。
また別機会にてバーチャル臨床試験のお話を書こうと思いますので、乞うご期待!
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