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ずっと夢みていた「農旅」を実現するまでの軌跡。今後のことについても

2024年9月20日。
勤めていた会社の最終出勤日から1週間後に、一人暮らしをしていた賃貸を解約して旅に出ました。

新卒から4年半勤めた会社を退職し、チャレンジしてみたかった旅暮らしのスタートです。まずは勤務地であった愛媛県から実家のある東京へ出発。一人暮らしで使っていた家財道具をトランクルームに詰め込み、愛媛県から大阪方面にマイカーで向かいました。

旅といっても、私がしたかったのは観光地を巡るといった一般的にイメージする旅ではありません。農業しながら旅する『農旅』というコンセプトの旅です。2024年9月から2024年年末まで日本各地を農旅し、2025年も引き続き農旅していきます。

出発した日のXポスト⇩

農旅では、各地の農家さんのもとで農作業のお手伝いをしながら旅をしています。特定の拠点はもたずに、実家に住民票を置いて全国を転々とするノマドワーカーです。

農旅の模様はInstagram、X、noteなどの各種SNSで発信しています。そのなかで多くの人に「なぜ農業?」「どうして旅に出ようと思ったの?」とさまざまな質問をいただきました。今回のnoteではこのような疑問にお答えしながら、農旅に出るまでの軌跡と今後の野望(?)について書いています。

こんな生き方や考え方もあるんだなと思いながら読んでいただければ幸いです。


農旅にでるまでの軌跡


そもそも農旅とは?

「農旅」という言葉は農業と旅を掛け合わせた造語です。
とくに辞書などで定義はされていませんし、メジャーな言葉ではありません。

似たような言葉で、農泊・アグリツーリズム・ファームステイといった辞書で定義された言葉がありますが、私がしている旅を表現するのにはしっくりきませんでした。

私がしている旅は農家さんのもとで農業をおてつだいしながら各地を転々とするスタイル。農業の繁忙期に住み込みで働く季節労働者に近いです。旅という部分を強調するためにキャッチーで覚えやすい農旅というワードを選択しました。けっこう覚えやすくて、印象に残りませんか??

農旅という言葉のおかげでここ数ヶ月たくさんの人に覚えてもらい、新しい出会いをつくってくれました。我ながらいい言葉をチョイスをしたなと思っています。

なぜ農旅をしたいと思った?

こちらは多くの人から質問されました。
少し長くなりますが、まずは農業に興味をもった経緯からお話します。

私は実家が農家でも、農業が身近な環境で育ってきたわけでもありません。東京生まれ、東京育ちのいわゆる都会っ子です。

農業に興味を抱いたのは中学生の頃。高校に進学するにあたり文系・理系を選択する場面で、将来どんなことをしたいだろうと考えていました。その頃、メディアなどで農業や食、環境に関する課題をよく耳にしていました。

・農業従事者が高齢化していて、減少している
・食料自給率が低い
・耕作放棄地が増え、耕作放棄地の面積が埼玉県の面積と同じに(当時)
・地球温暖化が進んでいる
・フードロスが世界トップクラスに多い

私たちの食生活を支える農業をとりまく環境には多くの課題があり、その1つ1つが簡単には解決できないものばかりです。

「この状態が続いていけば日本の農業界は持たないし、将来食べるものに困る国になってしまうのではないか?」

そんな危機感的なものが芽生えました。
これがきっかけとなり、「将来は農業の課題を解決できるような仕事をしたい」という目標ができました。大学は農学部に進学しようと決め、農学部は理系に分類されるため、高校では理系を選択しました。

高校3年生の1年は大学受験のために日夜勉強をし、無事第一志望の大学に合格しました。大学では4年間農業について幅広く勉強をし、農業の基本的な考え方、技術を学びました。就職活動も農業をキーワードにし、農業関連企業に就職したというのがここまでの人生です。

以上、私が農業に興味を持ったきっかけと簡単な人生の流れになります。
ではここから農旅にどう結びつくかですが、大学時代と社会人時代の農家さんめぐりが起点になっています。

大学生のときに農業好きが集まるインカレサークルに所属していました。サークルではメンバー数人でつながりのある農家さんを訪れ、農作業体験をさせてもらいました。都会で育った私からすると、自然の豊かさや農業の現場を体感でき、とても新鮮で楽しい時間でした。

この楽しいという気持ちが今でも農旅の原動力になっています。

社会人になってからも農業の現場に足を運びたくなり、農家さんを度々訪問していました。そして農家さんのもとに訪れるたくさんの旅人に出会ってきました。

・自転車で日本1周をしながら農業バイトしている20代の男性
・農業を勉強したくて各地の農家さんを回っている女子大生
・Cub旅をしている女子大生
・ドイツから料理の修行のために来日しているシェフ見習い
・農閑期にみかん収穫に来た北海道の若手農家さん

どの旅人もとても楽しそうに農家さんのもとで農業を手伝っており、全く境遇が異なる人たちでも、一緒に農作業をしていく中で打ち解け、仲良くなっている姿がとても魅力的でした。

「いつかこんな旅をしてみたいな」

農家さんを訪れている旅人に出会い、話を聞くたびにそう思うようになり、この気持ちが私を農旅へといざなってくれました。

2024年12月に訪れた愛媛のみかん農家さんでの休憩時間。全国から農業バイターが集まり、一緒にみかんを収穫。年齢も境遇も違う人たちがみかん収穫を通じて絆を深めます。

農旅の目的は?

続いて農旅の目的についてです。
さきほど書いた「農旅をしてみたい」という動機だけでも十分ではあるのですが、それだけでは味気なさもあるので目的も定めました。

目的は大きく2つです。

1つ目は勉強と経験を積むこと。
私は将来的に農業をしたいという目標があり、そのためにいろいろな農家さんの技術・考え方を学びたいと思っています。農家さんとひとくくりに言っても、まったく同じスタイルで農業をしている人はおらず、その人なりの考え方、やり方で栽培し、経営されています。

多くの人の技術、考え方に触れて、吸収することで自分なりのスタイルを作れればと思っています。

2つ目は農旅について発信することです。
今までたくさん農業しながら旅をしている人に出会ってきましたが、旅について発信している人にはほとんど出会ってきませんでした。シンプルに農業と旅の日々で忙しく、そんな余裕がないんですよね。しかし私はせっかくなら農旅の模様をいろんな人に届けたいと思いました。

それは農業を志すきっかけにもなった「農業の課題を解決したい」という思いからきています。

農業従事者は年々ものすごい勢いで減少しています。農家さんが高齢化しており、リタイアする人が増えているのもありますが、新規参入者が増えていないことも要因です。そもそも農業といった1次産業に興味をもっている若い人は多くないです。しかしこれからは若手が農業を支えていかなければ持続できない産業になってきています。

農業に興味を持ってもらうにはどうすればいいかと考えたときに、情報発信がまずはいいかなと思いました。多くの若い世代が触れているSNSに農旅について投稿することで、農業に興味をもってくれるきっかけになればと考えました。情報発信については、はじめて書いたnoteでも触れているので、よかったら覗いてみてください。

農旅の投稿で必ずしも農業に興味をもってもらい、農業の道に進んでほしいと思っているわけではありません。普段何気なく食べているものがこんなふうに作られているんだ、こんなに手間暇をかけて届けられているんだと知ってもらうだけでもいいんです。

食べ物があるのは当たり前ではない。
農業という産業があり、農家さんがいてくれるから私たちは毎日食事を楽しめています。そのことに気づいたり、農業や1次産業について何か考えてもらうきっかけになれば嬉しいです。

農旅の計画はどのようにたてた?

農旅については旅をスタートする1年ほど前の2023年末から計画を立てていました。行きたい農家さん、行きたい地域、旅の方法、お金のことなどさまざまなことを考えながらプランを作っていきました。

2024年中に旅に出たかったので、まずは勤めていた会社をどのタイミングで退職するかを検討し、プロジェクトが一段落する時期に退職することにしました。退職後はすぐに旅に出る予定で、まずは1ヶ月ごとの大まかな旅の計画をエクセルにまとめていきました。

2024年初旬に立てていた農旅の大計画。
この頃から目標や目的を定め、モチベーションを高めていきました。大雑把に計画を組みましたが、実際は変更が多く、全然計画通りにいっていません(笑)

全国に行ってみたいところがあり、限られた期間のなかで巡るのにはタイトなスケジュールになってしまいましたが、2024年はおおむね計画通りに旅をできました。2025年は諸事情で当初の予定からは大幅変更になりますが、予定通りにいかないのも旅です。臨機応変に日々を過ごしていきたいです。

日々の予定については1ヶ月ごとのカレンダーで管理していました。こちらもおおまかなスケジュールしかたてることができず、当日に宿を取ることもしばしありました。1日の予定とその日泊まる場所をいい感じにスケジューリングできる方法を2025年は模索しながらやっていきたいです。
(何かいい方法あれば教えていただきたいです)

1ヶ月ごとのスケジュール表。行きたい農家さん・地域を入れていき、順番にアポを取りながら旅を進めました。10月は移動してばかりだったのでアポどりが多くて大変でしたが、概ねスケジュール通りに行けました。

今後の農旅の行方


さて、ここからは今後の農旅についてです。
2024年から3ヶ月間してきた農旅を2025年も引き続きやっていきます。2025年は1年間ずっと旅をし続ける年になりそうです。

2025年はどんな農旅をしていくのか、そして農旅中に新たにできた目標について書いていきます。

2025年はどんな農旅をしていきたい?

2025年の上半期は2024年に引き続き日本各地を農旅していきます。2024年で回り切れなかった場所がたくさんあるので、2025年も新たな出会いを求めて旅をしていこうと思います。

2024年は26都府県と27戸の農家さんを訪れました。
画像は経験値というアプリで作ったものです。旅好きにおすすめです!

2025年の下半期は農旅「海外編」の予定です。
短期間のワーキングホリデーに行ってこようと思います。行先はまだ悩んでいますが、オーストラリアかニュージーランドを考えています。時間とお金の余裕があればヨーロッパや北米にも行ってみたいです。

期間としては4ヶ月ほどになりそうです。もっと長く行けばいいのにと思われそうですが、今後のこともあって海外で長期間は過ごせなさそうです。

それでもワーホリに行きたいのは今のうちしかできないから。ワーホリは年齢制限があり、30歳までの国が多いです。今年28歳になる年なので、タイムリミットが迫っています。

もともと20代のうちに会社を退職してワーホリに行きたいと思っており、昔からの夢を実現したいです。

ワーホリで回るのももちろん農家さん。
WWOOFなどを利用してファームステイをしていこうと考えています。海外の価値観や技術に触れ、さらに成長していくことを目標に海外の農旅も楽しんでいきたいです。

農旅をしている中でできたやりたいこと

最後に2024年の農旅をしているなかで芽生えた新たなやりたいことについて書かせてください。

それはずばり「農旅を普及させる事業を起こす」ことです。
会社化するかなど細かいことはまだ決めていませんが、いわゆる起業をしていきたいです。

2024年の農旅をしている期間、毎日がとても楽しくて充実していました。自分の人生のなかでもトップクラスに幸せな日々でした。この経験を自分だけが楽しいで終わらせず、他の人にも経験してもらいたいと思うようになりました。

都会に住んでいる人や学生のなかには農業や地方での暮らしを体験してみたいけれど、コネクションや機会がなく、なかなか踏み出せない人がいると思います。私も昔はその1人でした。そんな人たちに農業や地方を体験できる機会を提供したいと思っています。

私が考えていることをすでに実現しているサービスはたくさんありますが、単に農業を体験してもらう、地方の暮らしを楽しんでもらうだけで終わらせたくないです。体験してもらった人たちが交流できるコミュニティづくり、一緒に旅をする仲間づくりができる場を提供したいです。農業や地方に興味のある人たちが交流し、共に各地を旅できるようなプラットフォームが理想です。

なぜこのようなプラットフォームをつくりたいかというと、コロナ渦で人のつながりが希薄になった部分があると感じているからです。私が大学生の時に所属していた農業系インカレサークルはコロナ渦で潰れてしまいました。学生のうちにさまざまな経験をし、仲間をつくれる場所というのはその後の人生においても重要だと考えています。

若いうちに農業や地方での生活を体験し、少しでも「農業って楽しいな」と思ってもらえる機会を社会人も巻き込みながら作っていきたいです。

まだまだ私のなかでも整理できていない構想段階で、仲間集めもできておらず、資金調達がいるかすら考えられていませんが、2025年中に何かしら形にするのが目標です。旅をしながらではあるので大変にはなると思いますが、少しづつ進めていきたいです。もしお力添えいただける方がいましたらお声がけ頂けますと嬉しいです!

2024年の農旅で出会った方々です。
農業は作物を生産するだけでなく、人とのつながりを生み出す楽しい仕事だと思っています。そういった部分をお伝えし、多くの人に体験してもらえるよう活動していきたいです。


ここまで長々と書いてきましたが、私がしている農旅についてなんとなく分かってもらえたのではないでしょうか。目標などいろいろと書いてますが、私のなかでは農旅を楽しめればそれでいいと思っています。私が農旅を楽しむことで、「農旅面白そうじゃん」「農業関わってみたいかも」と少しでも思ってくれる方が増えたらそれだけでハッピーです。

農旅という旅のスタイルを通じ、多くの人に出会い、経験を積み、農業界を少しでも盛り上げられるムーブメントを起こせるよう、今後も旅をしていきます!

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