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海の底にある本棚 


海の深い深い所に
潜っていった

真っ暗な
海底の底に
なぜか
茶色いドア付きの部屋を開けると
大量の本

1冊の本を取り出した

その途端
私の記憶、
いえ、違う
誰かの記憶

子どもたちの
笑顔、笑顔
見守る私
突然、暗転

子どもたちの前に
鬼の形相をした
女が
現れた
子どもたちの
恐怖の顔

やめて〜
と絶叫した途端
その女の顔が
私だと気づく

痛い、痛い
頭痛がする

苦しく辛い
なんとかしようと
もがく

いつも
そばにいた
男が耳元で囁く

左耳の近くを切ってしまえ
そうすれば
治るよ

怖い
怖くてたまらない

白衣を着た男が近づいてきた

メスを持って

椅子に座った
私は
諦めた
されるがまま

白衣の男は
メスで
私の左耳の近くを
切り初める

不思議だ
痛くない

何も感じない
しばらく
そのままの時間が過ぎた

眠くなってきた
切られているのが
わかっていたのに

今は眠い
気持ち良い
深い眠りについていく

あっ
左耳の近くに
鋭い痛みが走った

もうやめて
やめてほしい
泣き叫ぶ

子どもに
会えなくなると

その途端
目が覚めた。

ドキドキして
胸の鼓動が止まらない。

わたしには
記憶の本棚がある。

海の底深くにある。

嫌な記憶の本
忘れたい記憶の本
自分を恐れる本
隠しておきたい記憶の本

それは
海底の深い深い
本棚の中にある。






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