【CAP高等学院代表・佐藤裕幸の教育への情熱と挫折②】
前任校に着任した初年度、中高一貫コースの中学1年生の副担任をすることになった。同時に学校から「ウチはこれを使って授業をすることになるから、使えるようになってくだい。」と言われ、iPad miniを貸与された。Android 系のタブレットは個人で所有していたが、動画をみたり、ググるくらいの使用だったので、授業で使うイメージは全くなく、正直かなり戸惑った。しかも、「使っているから」と言われて配付されていたにもかかわらず、周りの教員があまり使っているのを目にしない。したがって、聞くにも聞けない環境がしばらく続いていた。
ただ、「これを使って授業をするから」と渡せれたものを使わないのもおかしいと思い、インストールされているアプリを自分なりに触り、使い方がわからない時は、コールセンターに問い合わせてみることにした。 副担任をしていた中学1年生も、大半がiPadを使用したことがなかったので、「せっかくみんなに購入してもらったものだから、一緒に勉強しながら授業で使っていこう」と伝え、授業ではできるだけに使うようにしていた。今思うと、一緒に生徒たちと同じ感覚で使い始めたのは、私にとってものすごく良かったことだったと思っている。
また、教科担任になった中学3年生にも同じように伝え、使い始めたときに複数の生徒から、「去年iPadを購入して、1年間ほぼ使う機会がなく、5万も出して購入した意味がわからなかった。数学の授業でこんなに使うことになるとは思わなかった」と言われ、学校から「ウチはこれを使って授業をすることになるから」の意味がわからなくなった。「もしかして、先生の都合で使うか使わないかが決まっているのか?」と考えるようになった。同時に、「iPadを利用して劇的に授業が改善されるなら、以前私が感じた挫折を越えられるかもしれない」と考えるようになった。
その頃、管理職が口にするようになったのが、「アクティブ・ラーニング」という言葉。これまでの一方通行的な授業から、グループ学習やプレゼンテーションを取り入れ、協同的な学びを進めるような授業設計をして欲しいと度々会議で話されていた。
iPadを利用し、課題の提出や予習の指示、生徒同士の課題の共有などを少しずつできるようになってはきていたとのの、まだまだ生徒たちが主体的に学べているとは言えない状況に、なんとなく物足りなさを感じていた私は、「アクティブ・ラーニング」に関する本を何冊か購入し、iPadの利用との相性などを考えながら、授業を設計してみることにした。そして、その取り組みを試す機会として、研究授業をすることになった。研究授業後の反省会で大きな批判を受けることになる。同時に生徒の感想と教員の感想の差にかなりの乖離があることに気づかされることになった。