36時間オンラインイベント『零』でジャグリング界に届けかったもの #1
本日のインタビューはジャグリングのオンラインイベント『零』を主催されている花田さんです。このイベントは36時間もの長い間開催され、今までにはなかった少し変わった企画も用意されています。どのような想いで、このイベントをされているのか伺いました。
ー零とはどんなイベントなのでしょうか?
零とは36時間のオンラインジャグリングイベントです。昼夜を問わず座談会や映像・音声配信など様々な企画を行っています。
そして今回のイベント理念は「『ジャグリングとの関わり』を、多くの人にとどける」とさせていただきました。
36時間連続にしたのはいろんな人の生活スタイルに合わせるためで、多くの人にとどけるためにオンラインという手段を使っています。零のイベントは理念に合わせて色々なところを設計していきました。
スローガンは「New Juggling Life」、キャッチコピーは「いつもと少し違う日常を過ごす」です。
ー36時間連続とは長めですよね。
はい、最初は24時間イベントだったんですが、色々と考えるうちに12時間追加することにしました。
ちょっと大変だけど36時間やればいろんな人の日常にアクセスできるだろう、その方が理念に沿っていると思いました。1日だけだと予定が合わず参加できない人も出てくると思うので。
ー今回の零で挑戦したことはありますか?
オンラインに特化したイベントにしたのが一つの挑戦です。全ての企画がオフラインではなくオンラインでしかできない、あるいはオンラインの方が面白いものを用意するというのがこだわりどころです。
これを私はゼロベースでつくられたオンライン特化のイベント、オンラインで代替されたイベントではないという風に言っています。
ある企画が代替かゼロベースかの分かりやすい判断基準が1つありまして、それは「コロナがない世界でも同じ企画をやるか否か」です。コロナがなくてもやるのであれば、それはオンラインでやる価値があると思いますし、数年以内にコロナが終息しても残るものだと思います。
ーこのイベントをやろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
2020年3月に「長時間連続のオンラインイベント」を思いつきました。きっかけは、主催していた九州ジャグリング大会の延期です。イベントがなくなる悲しさを実感しているときに、ふと思いつき、2020年にやりたいと考えるようになりました。
私にとって、イベント運営は大事な「ジャグリングとの関わり」です。それが失われたことが「零」を生み出すきっかけになります。
その後、JJF2020 in Fukuiが例年とは同じ形で開催できなくなくなり、8月に延期していた九州ジャグリング大会が中止になりました。
- 一生懸命準備していたイベントだったからこそ、辛かったですよね。
はい、ジャグリング界でトップクラスに多くのジャグリングとの関わりを失ってしまったと思います。
自分にとって大切なジャグリングとの関わりを失った経験や思いを忘れずに、多くの人にジャグリングとの関わりをとどけるイベントとして、「零」をつくっています。
2020年にジャグリングをやっている人は、練習できなくなったり、大会が無くなったり、多くの失われたエピソードがあったと思います。似たような境遇の方がこのイベントに少しでも想いを重ねてもらえると嬉しいです。
私はこのイベントをどうしても2020年にやりたくて、2020年にやらないといけないと意味が薄れると思って、2020年のスケジュールで36時間を確保できる唯一の日程であった9/26と9/27に開催を決めました。
ーそんなエピソードがあったんですね。
はい、そうです。自分でいうのも変ですが、少し物語っぽいなって思っています。この話を共有することでチームにも理念が浸透しやすくなったと思います。「零」の物語やオンラインイベントへの思いを綴った自費出版作品をつくって、「零」をジャグリング史に残せると良いなと考えています。
ちょっと話がそれますが、この物語を残すためにプロの作曲家に音楽を作ってもらっています。物語や気持ちを表現するのに音楽はとても親和性が高いと思っていて、チームに伝えるときのツールとして良い気がしています。
音楽は長い歴史の中で洗練されていて、心情の表現方法として良いです。私の今の気持ちを伝えることができ、方向性をそろえることができると思っています。
(↑この零という文字は花田さんの知り合いの書道家さんに書いていただいたそうです)
ーどうして零という名前にされたのでしょうか?
零という名前にはこだわりがあって、3つの理由からこのようにしました。
1つめに、2020年コロナウイルスによっていろいろな人のジャグリングとの関わりが多く失われてしまうと思ったからです。「零」という漢字には、「おちる」や「わずか」という意味があるのでこの名前にしました。
2つめに、零という36時間のイベントが1つの「原点」になってほしいという想いからです。参加者にとって、新たな日常「New Juggling Life」が始まるきっかけになるようにという願いを込めています。
3つめは、オンラインで代替されたものではなく、ゼロから新しく作られたイベントであるという理由からです。
コロナによる影響が大きい2020年に、色々なイベントが縮小したり、オンラインに代替されていくと思いますが、例えば2022年とかに、「2020年にジャグリング界は、オフラインを代替するばかりで、オンラインを活かした新しいイベントに全然チャレンジしていなかった」と思われるのは嫌だと思いました。
そうではなくて、ジャグリング界が新しいものを作ろうとしていたことを、残したいと思っています。たくさんの人を巻き込むことができたので、きっと残せると思います。
前編は以上になります。お読みいただきありがとうございました!
続きは後半のインタビュー「企画作りで苦労した "伝える"ということ」をご覧ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?