適応課題に対処するには。Dance FloorとBalconyを往還する!
さて、今回はリーダーシップの連載第2弾です!
前回の投稿↓では、現代の課題が知識やスキルを身に付ければ対処できる技術的課題ではなく、自身の価値観や物の見方を問い直さなければならない適応課題ばかりであることを紹介しました。
では、その適応課題にどう対処していけばいいのか?
Heifetz & Linsky (2002)では、「Dance FloorとBalconyを行き来する」ことが重要なこととして触れられているので、以下で詳解します。
1. Dance Floorとは?
Dance Floorとは、簡単に言えば「現場」のような場所です。
上の写真の左側を見てください。私が大学院の卒業式に出席した時の写真ですが、周りのクラスメートが皆盛り上がっており、高揚感に溢れています。
こうした熱があり、変化が実際に起こっている場所が「Dance Floor」です。
2. Balconyとは?
それに対してBalconyは右側の写真ですが、実はこれ、左と同じ卒業式の様子を少し離れた場所から撮影したものなんです。
そうすると、同じ場面でも、
・自分は全体のこのあたりの位置にいたんだ
・実はこんなに大勢の人達が卒業式に出ていたんだ
・卒業生だけでなく、家族など来賓の方々も来ていたんだ(※端っこのほうにいます)
という、Dance Floorにいては分からなかったことが見えてきますね。
すなわち、広い・高い視野で「一歩引いて見る」ことにより、客観的に物事を見たり分析したりできるような場所。
それがBalconyなんです。
3. 両者を行き来するということ
さて、ここまで御覧になってお感じになった方もいらっしゃると思いますが、
Dance FloorとBalconyにはそれぞれの利点・欠点があり、「どちらの場所のほうが良い場所だ」ということはありません。
Dance Floorのほうが熱に触れられる分、実際の変化や自分の貢献は感じやすい反面、冷静に一歩引いて見ることはこの場所にいたら難しいでしょう。
また、Balconyでは立ち止まって振り返ることはしやすいですが、実際に現場の熱や自身の行動の成果をリアリティをもって体感することは難しいかもしれません。
適応課題に対処するには、このようにそれぞれの場所の特性を踏まえて、「Dance FloorとBalconyを行き来する」ことで、実際の変革にコミットする一方で、それを一歩引いて客観視することの双方が非常に重要なんです。
4. 同じ場所でも、見方次第でDance FloorにもBalconyにもなる
「この場所はDance Floorだ」「ここはBalconyだ」というような絶対的な分類はありません。
むしろ、相対的なものですので、同じ場所でも、見方次第でどちらにもなり得るということになります。
例えば、
・教室をDance Floorとすれば、職員室はBalcony。
・より広く学校をDance Floorとみれば、教育委員会や国・研究機関・民間とやりとりすることはBalcony。
・さらに広く捉えて教育界そのものをDance Floorと考えれば、教育の外の世界はBalcony。
というような形です。
5. まとめ
・現場で熱を感じられるDance Floorと、一歩引いて客観的に見るBalconyの双方を行き来することが重要。
・同じ場所でも、見方次第でDance Floorにも、Balconyにもなる。
・両者を行き来することで、変化へのコミットと客観視のバランスを取ることができ、新たな価値観や物の見方に触れることで適応課題への対応が可能になる。
いかがだったでしょうか?
考え方の枠組みとして御参考になったようであれば幸いです。
次回以降もこうした考え方を紹介しますので、是非ご覧くださいね!
<参考文献>
Ronald A. Heifetz and Marty Linsky. (2002). Leadership on the Line: Staying Alive through the Dangers of Leading. Harvard Business School Press
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