米を喰え!<パックごはんをトレジャーハントする> (1)パックごはんの状況を噛みしめる
1.右肩下がりの「一人当りの米消費量」、右肩上がりのパックごはん生産量。
今更ではあるが、国内での米の消費量はどんどん減っている。
下記は「一人当りの米消費量(㎏)」のグラフ。ちょうど今から60年前の1962年に130.4㎏とピークを示した消費量はだんだんと右肩下がりの状態となって、2020年にはついに56.0㎏に下がり、1962年の消費量から57.1%も減少してしまった。
と言っても、ここでは食料自給率を上げようとか、日本の文化「米」を守れとか、耕せニッポン!とか、そういった話題はひとまず置く。
本企画は、とにかく数多ある「パックごはん」の中から”Treasure Of Packed Rice”を掘り出そう!という喰い気に走った「徳川埋蔵金を探せ」的な主旨なのだ。パックされたシャリの中から眩いばかりの金シャリを発見したいんである。
というわけで、「パックごはん」の生産量を見てみよう。
米自体の消費量とは逆に、無菌包装米飯こと「パックごはん」の生産量は、右肩上がりに上昇し、2017年以降は拍車が掛かっているようだ。1999年に約5.4万トンだったものが、昨年2021年にはついに20万トンの大台を超え、約4倍も増加したのである。
ちなみに、「パックごはん」1個を200gとして、2021年の生産量を約21万トンとした場合、生産数は10億個を超える計算となる。
なぜにそこまで生産が上昇して生活に定着したのかは、ネットで調べるなどしていただくとして、ここは先を急ぎたい。腹が急激に減ってきた。
2.「パックごはん」はどうやって製造されるのか?
次に「パックごはん」がどんな流れで誕生するのかを見てみよう。大まかに言って、2つの方法がある。
つまり「蒸す」か「炊く」か。
蒸す場合は、洗って水に漬けた米と水を先にトレーに充填し、加圧炊飯器の中でクリーンスチームで100℃以上で蒸し上げる。
炊く場合は、巨大な炊飯装置に連なった大釜に米と水を入れ、その釜をガス直火で炊き上げるという、ふだん我々が炊飯器で炊くのとほぼ同じ。トレーに詰められて製品になるのは最後の最後だ。
ただし、炊く場合にもうひとつ「シャリ切り」の工程を入れた製造所もある。つまり、ふっくらとした食感を保つために、我々が炊飯器で炊き上がったばかりのご飯を底から混ぜて無駄な水蒸気を逃がす、同様なひと手間を加えているのである。
上記のマトリックスは、大まかだが「炊き方」と「保存料・添加物の有無」を四象限としたもの。いまのところ4つのうち、A象限に当てはまる製品はほとんど無いようだ。もっとも企業数が多いのはD象限と思われる。
3.代表的な各社の製造工程・ラインを見てみよう。
4.試食の手順について
これから、実際に食べていくわけではあるが、まず①対象は「白米」だけとし、麦飯や五穀米、調理米などは除外する。切りが無い。人生は有限だ。
加熱については当然ながら同じ条件に揃えねばならない。某大手通販サイトの「パックごはん」商品のレビューで見かけた以下の方法で行う。
②【各商品の加熱法(ex:レンジで500wまたは600wで2分)に従ってレンチンし、さらに蓋を下にして1分蒸らす】
なお、某メーカーからの情報として、「夏の日差しが強い日は、閉め切った車のダッシュボードの上に1時間くらい置いて置くと美味しく食べられる」という調理法もあるようだ。たとえば海水浴に行った際、海辺の炎天下で熱せられた車内のダッシュボードの上で”旨い飯が炊ける”というわけ。電気・ガス・固形燃料・ガスボンベなど光熱費の節約に役立つ妙案と言えよう。これは今からの夏本番、ぜひ試していただきたいところ。
さらに、③ごはんを口に含んで30回以上噛み、米のデンプン質を糖化することを条件に加えておく。古く行われていた醸造法、巫女の「口噛み酒」の故事を想いつつカミカミする。酒でも造るか。
ちなみに米の食味計は、近赤外線分析機で下記4つの成分分析を行って食味スコアを出すそうだ。
1.水分
2.タンパク質
3.アミロース
4.脂肪酸
日本産米では65〜70点が基準値とのこと(米・食味鑑定士協会サイトより)。今から30年ほど前、仕事で山口県に立ち寄った折りに、食味計で90数点という結果が出たブランド米を喰ったことがある。でも、どんな味だったか、遠い昔で忘れてしまった。
◇ ◇ ◇
というわけで、私は食味鑑定士でも人間食味計でもない。あくまでも個人の主観と嗜好で食べるだけなので、私の食後感がゼッタイではない。決して感想を丸呑みされることなく(そういう奇特な方はいらっしゃらないと思いますが)、ぜひご自身の舌で味わっていただきたい。
さて。腹が減った。飯を喰うことにする。
(了)