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正調粕取焼酎 『ヤマフル』蒸留に挑む(1)
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2005.04.11 by 猛牛
■正調粕取焼酎『ヤマフル』蒸留を、いよいよ目の当たりに・・・。
隠忍実に有弐年。つ、ついにこの時がやって来た。
佐賀県の、いや北部九州における正調粕取文化復興の一翼を、杜の蔵さん(福岡県)と共に担う、鳴滝酒造株式会社さんの粕取『ヤマフル』蒸留に立ち合う瞬間である。
03年の蒸留再開は試験的位置付けだったために一般公開は控えられ、昨04年はわての個人的事情で立ち合い為らず、博多中洲『まりりんBAR』福田マスター(注:現在は閉店。同マスターは中洲『ZEBRA』に移籍)とカネゴン隊員が実見。
今年は、もぉー背水の陣なのだっ。
そしたら3月22日、同社・古舘正典社長からメールが・・・。
本年の正調粕取蒸留、ほぼ日程が決まりました。3月30日(水)~4月2日(土)の4日間です。順調に行けば最終日は午前中位で終了しますが、もし土曜日等ご都合が付く日がありましたら、調整いたします。いつも直前になってのご連絡で申し訳ございません。よろしければご検討下さい。
鳴滝酒造株式会社 古舘 正典
待望というか、切望の機会到来! お邪魔するしかなひ(-"-)。もう一人の正調粕取主義者・カネゴン隊員と語らって、『ヤマフル』蒸留の現場に突撃!である。(本当に待ちましたよ、この時を)
いよいよ、江戸時代以来の伝統を誇る正調粕取、その蒸留の現場に立てるのだ。
4月2日午前10時、JR筑肥線唐津駅に二人して降り立った・・・。
■蒸留の準備に取りかかる!
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■はじめは、もろみの計量から。
正調粕取焼酎の蒸留は、江戸時代以来の伝統を誇る様式を持つ。
清酒の普通酒粕に水を加え、数ヶ月熟成させる。昔は、水に粕を溶かした後は桶などにほったらかしたまま、頃合いを見て「さ、蒸留さやっぺ!」とおもむろに取り掛かった、という。それは長閑な農村地帯の風物詩であった。
しかし、現在では厳重な品質管理のもとに製造が行われている。鳴滝酒造さんでは新鮮な普通酒粕しか使っていない。
まずは蒸留の第一段階。もろみの計量だ。
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ご覧の通り、まるでヨーグルトのようにクリーミーで美しいもろみが、タンクからとろぉ~~りと出てきて大型のトレーに貯まっていく。
品質の良い新鮮な酒粕を使っている・・・というのが納得の色合い。匂いも心地よい。
わてはヨーグルト大好きなので、ついついブルーベリー・ソースでもぶっかけて喰いたくなるのだぁ。うまそー。
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秤にかける。蒸留一回分(一釜当たり)の重量は150kgが目安。これに30kgの、これまた鮮度の良い籾殻を混ぜ込む。
籾殻は古舘社長が地元のJAさんに頼み込んで分けて貰ったもの。ひとつひとつでは軽い籾殻だが、積もれば山の喩えどおり、袋を持つと結構重いのだ。
これをこねるための大型の台「まぜ台」にぶちまける。
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■同行のカネさん、混ぜ混ぜに挑戦!
次にもろみ+籾殻両者を混ぜ込む作業が続く。
んで、ここでカネさんが名乗りを挙げた!
「昨年、まりりんのマスターと伺った時は、マスターが混ぜて僕が撮影係だったんで、出来なかったんすよ。今回はぜひ!」
カネさん、やる気ムンムンでスコップを手に取った!
さて、下記画像は混ぜる前の籾殻ともろみの状態だ。
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古舘社長から「太閤前垂れ」をいただいて、カネさん、混ぜ混ぜスタート!
学生時代は乗馬クラブに所属、馬糞の掻き出しで鍛えたちゅーその腕前だが、なかなかのモノ。さすがにプロの蔵人さんからすると、腰の入り具合に就職後のブランクを感じるが、及第点だ。
ああ、カネさん見てたら、わても辛抱タマランことなってきた。首からカメラぶら下げたまま、スコップを手に。エッサ、ホイサ、エッサ、ホイサ・・・。キクねぇ、腰に。
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混ざったもろみと籾を間近に見ると、混ぜる理由がよく理解できる。
もろみは液状のままでは蒸気が通りにくい。籾殻が隙間を作ることによって蒸気を通りやすくし、蒸気の当たり方に片寄りが無いようにするためなのだ。この籾殻の灼けた匂いがその度合いによって正調粕取の風味を決定付けたのである。
これを“かぶりつき”に見ることが出来て、わては本当にうれしかった。
■カネさん、蒸籠への詰めに挑戦する!
混ぜる作業がだいたい10分程度、さらにこれを蒸籠に詰める作業が待っている。カネさんも喜々としてスコップを動かしている。
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カネさんが蒸籠にもろみ+籾殻を入れ、上から“地ならし”していたら、古舘社長から言葉が飛んだ。
古舘社長「カネさん、ギュッと詰め込んだら蒸気が偏るんですよ。そっと撫でて均すような感じでされてみてください」
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一段の蒸籠の中で、固く詰まった部分があるとそこだけ蒸気が抜けず、蒸留の歩留まりが悪くなるという。相当に熟練の技が必要だ。
■ヨイッショ!と重ねる蒸籠・・・蒸留はもう間近!
次は詰めた蒸籠をひとつひとつ重ねていく。金属製の蒸籠一段にふたつ四角い穴が開いていて、ここに担ぐための棒を通す。
下の写真で、蒸留器の構造がよく解る。左下から伸びて基部に繋がっているのはボイラーから蒸気を送るパイプ。基部で黒く見えているのは蒸気を逃がさないためのパッキンだ。その上に蒸籠を重ねていく。
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さて。カネさんが重ねに挑戦である! 相方は古舘社長。
おっと。ちょいとユラユラしていたりして。大丈夫かなぁ~。落としゃせんやろか? 隣りにいらっしゃる蔵人さんも心配そうだ(爆)
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ハラハラドキドキの数十秒だったが、無事に重ねは終わった。混ぜから始めて、だいたい20分間のカネさんの激闘であった。
さあ~~~て、てっぺんに兜釜が載せられて、いよいよ蒸留開始。ボイラーから蒸気が送り込まれ始める・・・。
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(2)へ続く