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ドキュメント『ヤマフル』 試験的醸造再開 その全仕事(6)

本稿は2003年4月にサイト『九州焼酎探検隊』で公開したコンテンツの再構成版です。
なお商品については2003年当時のものです。

六・その製品  2003.05.01 by 猛牛


■かくして・・・製品は残った。が・・・しかし。

2003年3月8日から始まった『ヤマフル』の試験的醸造再開は、4月9日から11日までの3日間に渡る蒸留で一区切りがついた。とは言っても、それで古舘氏の闘いが終わった訳では無ひ。

製品として手元に残った原酒との根比べが待っていたのである。

(※以降、太字部分は古舘氏のコメントを引用)

●蒸留された後の『ヤマフル』原酒

■製品化後の管理

管理について
「貯蔵タンク内の粕取焼酎は、白濁した状態。浮遊物が際限なく浮き出てくるので、後はいかにこまめに、その除去に努められるかが、その後の商品の品質に多大な影響を与える。

きりがない作業で、無間地獄に陥ったような気持ちになるが、ここでいかに手をかけられるかが、良質の粕取焼酎を世に送り出す最大のポイントかもしれない。

蒸留直後は味も香りも、極めて甘味の豊か

かな粕取焼酎であるが、やがてアルコールの浮き立ったような刺激が強くなり、味にも苦味が感じられる傾向が見られる。最低一年程度の貯蔵は必要と推察される。」

この浮遊物の除去とその加減は、色々な蔵元さんで苦労談を伺った世界である。実際、最新情報をメールで伺った先週の時点でも、浮遊物を掬う作業にじっくりと取り組まれているという話だった。

■終章:『ヤマフル』よ、永久(とこしえ)に・・・。

「どうする?ヤマフル?」・・・どこぞのサラ金のCMではないが、終売が相次ぐ正調粕取焼酎の中で、“消滅危惧種”としてその動向が気になっていた『ヤマフル』である。

今回わてらは、たとえ試験的ではあらふと、その10数年ぶりの“再生”に触れることができた。来年以降の継続的生産がどうなるのかは、まだ未定ではある。が、しかし、小さな灯火ではあっても、それは間違いなく、ここにひとつ灯されたのだ。

「地元での販売量は、減少の一途です。ただ、ここ1~2年、東京や大阪などの都市部からの問い合わせや商品購入のご希望が増えてきており、正調粕取に関して特別の先入観の無い都市部にては、関心が(ほんの少し)高まってきていることを感じています」

「灯台元暗し」・・・正調粕取焼酎の逆襲は、粕取に対する世代と歴史のしがらみが少ない大都市部からその狼煙が上がり、やがて野火の如く広がってゆくのかも知れない・・・。

◇   ◇   ◇

ぬぅあんて。そーーーなっちくれたら、わてらも嬉しいわなぁ~。うむ。



本稿をご報告させていただく機会をいただき、かつ詳細な画像やデータをご提供いただいた鳴滝酒造株式会社・古舘正典社長に心より感謝致します。



(2022年注記:その後、『ヤマフル』は、元からあった35度・25度に加え、原酒の3タイプが製造された。現在はコロナ禍による料飲店の営業自粛などで原料の普通酒粕の元となる日本酒の消費が低迷しているため、製造再開の目途は立っていない。


(7)データ編に続く

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