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鹿児島蔵元アーカイブズ 2002〜03(2) 本坊酒造
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2002.04.20 by 猛牛晴彦
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■御本家に負けじと、隊長&猛牛『貴匠蔵』へいよいよ突入!
「うううううううううう」
♪I Wake Up This Moaning・・・。手前ぇのうめき声で目を覚ますなんざ、まさに病膏肓なのである。時計は朝7時30分にセットしてあったが、7時ちょうどに覚醒してしまった。さすがに焼酎、頭は痛くないが、とにかく視界の上半分が闇である。瞼に異様に重力がかかっているのが解る( ̄▽ ̄;。
いやいや、情けないことは言っていられない。けんじさんは、もう車に乗って宮崎市内の仕事場に向かっているのだっ! 9時頃にチェックアウトしてホテル内のレストランで隊長と落ちあった。すると隊長は午前4時にテレビのマスターズ中継を見て、さらに天文館周辺を早朝散歩、すでに7時過ぎには朝飯も食ったというではないか?
う。けんじさんが「新生命体1号」なら、隊長は「仙人生命体特号」か?
というわけで、2日目午前は、本坊酒造さんの『貴匠蔵』の訪問である。『探険隊オヤヂニアリング』、いよいよ御本家福山・加藤コンビへの対抗意識ブリブリでの突撃である。
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『貴匠蔵』の入口に立つ。古風な造りである。テレビでも見たが、やはり実物を前にすると感慨無量ぬぅあんである。
「そうかそうかぁ・・・、ここに福山・加藤コンビが実際に来たんだにゃ~。ん~~ん、隊長とわても「桜島」前垂れを着けて、記念写真を撮りたいもんじゃわいな」
などと思いながら、中へと向かう。見ると甕がいっぱい並んでいる。
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ああ、ここだ、ここ! 福山氏が本坊さんの杜氏さんといろいろ仕込み作業をやっていたところだ。
テレビに出てきたシーンを思い出しながら、まさに気分はミーハーのわてである。
もう仕込みは一段落していたようで、蔵内部は至って平穏、静かであった。隊長も興味深げに見て回っている。古式床しい蔵の風情が漂っている
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ふと、甕の中をのぞき込むと、黒麹造りだろうか、ぶくぶくと元気良く発酵の最中だった。
大口酒造さんもそうだったが、蔵内に甘い香りが流れているのだ。ん~~~ん、瞼重いちゅーに、また飲みたくなってきた(こらこら)。
そういえば福山氏は、芋麹造りに挑戦したんだったっけ? 確かに自作するっていうのは、焼酎ファン究極の願望かもしれない。
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入口のすぐ右には、大きな木樽の蒸留器がデン!と鎮座していた。
都市圏需要における焼酎の嗜好の多角化、言い換えるならマスプロダクトからの振り子揺り戻し現象とも見える「家内制手工業的焼酎崇拝」という局面に対しても、充分先手を打たれている感を受ける。
それが良い悪いではなく、市場を鑑みた場合、企業として正解だと思うから。
■蔵内展示ケースに、焼酎グッズフェチ垂涎の品々が!
と、ふと後ろを振り返ると、ガラス張りのショーケース。おっっっっっと! 本坊酒造の歴史を物語るグッズの山ではないかっ!!!
とにかくガラスを叩き割ってでも筑前に持ち帰りたかったのが、下左の『さつまおはら銘・超巨大黒千代香』である! 直径は優に70センチ以上と見た。これは錦江陶芸さんの作品。いやぁ~、実に素晴らしい。わては千人鍋でこれを湯煎してお湯割りを飲みたいと思った。これなら、一発でたくさん飲める!! まさにわて向きの逸品である!
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その他には通い徳利とか壷、千代香、カラカラなど、古色溢れる貴重な飲酒資料が目白押し! いいなぁ~、こういうグッズに囲まれながら暮らしてみたいもんだ。とにかく企業名入りのブツに目がないわてには、しばし至福の時が流れたのだった。うん。
■試飲場の試飲嬢にウハウハ! 羞恥心置き忘れの試飲三昧!
さて、この『貴匠蔵』との間にお土産売場を挟んで試飲場が設置されている。これがまた軽く70人近くは収容できそうな巨大な施設。木製の大テーブルの上には本坊さんの主力銘柄が並んでいる・・・。ふぅ~、もう本坊さん、いや辛抱タマランばい。
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「さっそく朝から浴びるかっ!(-"-)」と意気込んでボトルに飛びついたら、ぬぅあんと上記右写真のそのまた右側に見えるレジ・カウンターに待機していた女性係員が飛び出してきたではないか! するとテーブルを挟んで我々の向こう側に立ち、商品説明が始まった。
もちろん礼儀正しいわてのことである。汗が滲んだ掌からボトルを優しくテーブルに戻し、にこやかにお話を拝聴する・・・。
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一瞬、焼酎が視界から消える。うっ!なかなかの美女、ウハウハ。「ん~~ん、お付き合いキボンヌぅ」と喉まで出かかる。しかし「笑」とお返しが来そうで、思いとどまる。なななな、そんな不純な心根では、焼酎の試飲など叶わぬのだ!(-"-)。気を取り直す。
ご説明を伺いながらも、視線は美女係員に、手は勝手にボトルへと伸びて、あれこれと飲みまくる。特に高級銘柄『高遠』に、隊長共々評価が集中する。良い味だと、隊長しみじみ。
上記右画像は、劣情+下心満点で鼻の下を伸ばしての激写である。まさに決定的瞬間。と、本稿お約束の一席。
■さすが大手蔵!の企業規模。とは無関係に飲兵衛は飲兵衛なのだ。
試飲にたっぷりと浸った後は、お買物であります。わては『大自然林』の5合瓶に狙いを定めた。が、ショーケースの上を見ると、『桜島』ミニペットのリパッケージ版が積んであるではないか! ミニペット好きのわてなので、早速購入!
しかしながら、桜島イラストが前ヴァージョンより小さくなり、背景が白網伏せ状態となっていた。正直なところ、あの桜島がボトルを巻いていたあのインパクトが少々弱くなった感がある。
お土産売場では定番の「つけあげ」「かるかん」を仕入れて、家人対策にも配慮。観光蔵としての規模といい施設といい、よく整備されている。実際に、入口横の黒板は予約の団体名でいっぱいである。さすがに本坊さんの企業力を感じさせる。
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酔い醒ましに、『貴匠蔵』をその一部とする鹿児島工場の敷地内を歩いてみた。とにかく広い。と見ると、向こうには『寶星』の巨大なタンクが鎮座していた。『貴匠蔵』とは好対照な風景である。目を転じれば、建屋の壁にはペンキで書かれた『さつまおはら』の文字が、少しかすれながらも残っていた。
工場(こうば)がデカイが、試飲場で飲んだ『桜島』は、やっぱり美味かった。わてにとってはそれだけで充分である。
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「次の蔵元さんへと向かう途中、偶然にも本坊酒造本社の前にさしかかった。足を止める。沿道に咲き零れる花々の向こうに、こじんまりとした本社屋が春の暖かな陽を浴びて浮かび上がっていた。飾り気のない風景は、芋焼酎の風土そのままのような気がした・・・」
などと書いてみたが、実際はそーとー地べたに這いつくばって撮影した画像である。なんとでも言える。
人里離れた鄙びた蔵だからといって、そこに民俗的で牧歌的な風景が転がっているとは必ずしも言えないのではないだろうか。大手蔵以上にコマーシャリズムに蝕まれていることだってあるかもしれないのである。
“幻想”ではなく、ある意味「リアル」さを見せつけてくれた蔵見学に、わてはとても満足してしまった。ウハウハもあったしぃ。
というわけで、次の蔵元さんへと歩を進めることにした。
(了)