ドキュメント『ヤマフル』 試験的醸造再開 その全仕事(5)
伍・その蒸留 2003.05.01 by 猛牛
■いよいよ蒸留の開始! 『ヤマフル』、再降臨の瞬間を見る!
待ってました! いよいよ蒸留の開始ぬぅあのだっ!
これまで蒸留のシーン(もちろん「全仕事」通してもだが)を、ここまで克明に追った資料が公開されたことは無いと思う。
粕取焼酎にハマって、その誕生のプロセスを画像上とは言え拝見させていただいたのは、まさに僥倖。古舘氏にはただただ感謝するのみである。
(※以降、太字部分は古舘氏のコメントを引用)
■蒸留の“始まりと終わり”
■もろみの最終撹拌
籾殻と混ぜる前に、最後の撹拌を行ってムラが無いようにする。
■もろみの表面
結構、粘度がありそうで、力仕事のよーな感じである。
■もろみ取り
撹拌したもろみを、アルミ製のトレーに移しているところ。 まるでヨーグルトの様だ。
■もろみの計量
計量中のもろみ。 後方には、籾殻を広げたまぜ板が見える。
もろみと籾殻の量は1回につき、
■籾殻
「きれいな籾殻を確保せねばならないので、昨年の7月頃、農協の共同精米所に行って、お酒2本で大量にもらってきた」
味はともかく、概念でしか解らなかった籾殻使用の仕込み現場。こうやってその姿見れただけでも、わては感激である。
こうやって正調粕取は生まれるんだ、こうやって・・・。
■もろみと籾殻の撹拌
「とにかく混ざり具合にムラが出ないよう、均等に混ぜ合わせる事が大切。
籾殻量を増やした方が蒸留はスムーズであるが、その分濃厚な味と香りの製品になる傾向があるので、目標とする酒質に照らし合わせてもろみと籾殻の使用割合を決定する。
蒸気の強さによっても、使用割合を検討する」
籾殻の量が多いほど、もろみの中に空間が出来て蒸気が通りやすくなる。しかし、量が多い分、蒸気による籾殻の焦げ臭が残ってしまうのである。
■蒸篭へのもろみの張り込み
「せいろの下段より上段に向けて、もろみの張り込み量を減らしていく。
格段の明確な張り込み重量は計測していない。もろみの張り込みの際、中抜けがないよう慎重な確認が必要である」
蒸篭への詰め方次第で蒸気の通りにムラが出るため、アルコールの歩留まりや品質にも同様にムラが出る。最後の最後まで気が抜けないのだ。
■蒸篭組み
棒を二本、穴に通して蒸篭を重ねていく。
組み上がった蒸篭の全景写真。
いよいよ蒸気を通して、蒸留の開始である。
■いよいよ蒸留! 初留のご尊顔を拝む!
■初留
「最初、前回蒸留の末だれ分を含んだ蒸留液が出るので、初留取り商品を検討する場合は、30秒程度別容器に取得することを検討すべきか。
その後、透明性の高い粕取の初留を取得。ガス臭が強いが、極めて甘い香りと味わいを持ち、一般的な粕取焼酎のイメージとはまた違うイメージ。
時間的には10分程度。初留の段階から濁りが見られる場合は、蒸気圧が高すぎることが考えられる」
■中留
「白色の濁りが見られてくるが、籾殻臭は強くない。浮遊物が浮き出てくるので、蒸留時点で丹念に除去。時間的には15分程度か。」
ただひたすら、現場で雫を舐めたかった。
■末留
「白色の濁りの度合いが強くなり、籾殻臭、こげ臭とも強くなってくる。想定する酒質とアルコール取得量に鑑み、末だれカット度数を決める。
貯蔵中の油臭の原因となる浮遊物等は、可能な限り除去する。時間的には15分程度。末だれカット10度前後にて、平均アルコール38~40度程度か」
■浮遊物とその除去
「貯蔵タンクに入れる前に、可能な限りの丹念な除去が望ましい。貯蔵後も際限なく浮き出てくるので、丹念な除去を。
うまみ成分でもあるが、放置しておくと、強烈な油臭の原因となる」
■残った蒸留粕は・・・?
「肥料として引く手あまたであり、あっという間に持ち去られた」
農家が肥料としてあっという間に蒸留粕(カス)を持ち去ったという話である。
江戸期以来、粕取焼酎の世界で展開されていたシーンが見えてきそうだ。だいたいが、そのままでは肥料として使えない酒粕を肥料化するために、粕取焼酎の製造が始まったのが、正調粕取史の大本。
「農は国の大本也」
そういう自然の循環がかつてあったんだ、なんてことを想起させられるエピソードぬぅあんである。
■蒸留後のもろみが付着した蒸篭内部
蒸留が終わった後の蒸篭の内部。籾殻が付着している。 まぁ、とにかく「ご苦労様でした」と声を掛けてやりたかったですばい。
■成分を分析する
「蒸留中の成分分析は、時間の制約上、アルコール度数の計測に限られる。
最初から濁りがありアルコール度数が低い場合、通常に比べて平均取得アルコール度数が低い場合、取得アルコール量が極端に少ない場合は、もろみの中抜けか、こしきからの蒸気の漏れ等、何らかの原因が必ずあるので、次回蒸留までに原因を究明する」
というわけで、今回蒸留の過程までをご覧いただいた。
画像にしろテキストにしろ、古舘氏の執念とも言うべき記録である。実に細かい。また現場にいないわてのような者にしても、正調粕取焼酎が誕生するプロセスを疑似体験出来るほどの内容と思ふ。
さて、次は最終的な製品の状態についてレポートをまとめ、幕としたい。
(6)に続く。