後手雁木対策速攻編(part3)
1.はじめに
こんにちは、これは後手雁木を速攻で対策するノートpart3です。
前回は後手引き角の対策についてまとめました。
今回は雁木側も先手の速攻に合わせて速攻を仕掛ける指し方をまとめていきます。
part1、part2の内容を踏まえた内容になっていますので、なんでこの形を志向しているの?と疑問に思う方や雁木速攻の基礎から知りたい!という人はpart1からどうぞ。
2.雁木側から銀速攻の狙い
ひとまず今回の基本図です。
part2においては☖5二金型に対しては☗7八玉~☗5六歩とし☗6八角とできるような形を作ってから攻めるのがいいと書きましたが、基本図は☖5二金を省略して☖6二銀と上がった局面です。
仮にここから悠長に☗7八玉☖7四歩☗8八銀☖7三銀☗4六銀☖6四銀と進んだとしましょう。
先手はこれ以上待つ手はないので☗3五歩と仕掛けますが、以下☖7五歩☗同歩☖同銀で先手苦しい局面となります。
ここまでくれば後手銀速攻のコンセプトがよくわかりますね。
つまり☖8五歩で先手7七角を強要し、その角を目標に攻めるというものです。
普通同じ急戦なら手番が多い先手のほうが成功しやすいように思えるものなのですがそうは簡単にいかないのが将棋の難しいところ。
というのが角へのあたりのつよさで後手が角頭を銀で守っているのに対して先手は急戦を志向している以上角頭を補強することが難しいのです。
というわけで後手からの銀速攻はなかなかの強敵になりうる、というのを踏まえたうえで先手の指し方を見ていきましょう。
3.先手も急いで速攻
戻って基本図ですが先ほどのように悠長に指してはいけないことがわかりました。
なのでここでは攻める手を考えたいところですが、少し自陣に手を入れる☗7八銀や☗8八銀も有力で、これらの手が入っているか入っていないかで八筋の耐久力は大きく変わります。
しかし、本記事では初志貫徹、☗3五歩とあくまでも攻めを優先する指方を見ていきます。
ちなみにこうされると後手としても急戦以外の指し方はできません。
というのも仮に同歩ととると☗2六銀で簡単に困ってしまうからです。
以下☖3四銀は☗3八飛で受けになっていないので時間稼ぎの☖3六歩くらいですがやはり☗3八飛として以下☖4五歩には☗3三角成☖同桂☗3六飛☖3四歩☗3五歩と順当に攻めて先手有利です。
というわけで後手に受けの選択肢は難しいです。
戻って☗3五歩に対しては後手も覚悟を決めて☖7四歩として急戦を目指すほかないのです。
ここからは☗3四歩☖同銀☗3八飛☖7三銀☗4六銀といった進行が並で以下の図の局面に。
後手としてここから選択肢は
①☖4五歩からの角のさばき志向
②☖4三銀として☖6四銀からの早繰り銀を間に合わせる
このふたつくらいで、順にみていきましょう。
まず①の4五歩から見ていきます
この手に対して☗3五銀と銀の捌きを急ぐと以下☖7七角成☗同桂☖3五銀☗同飛☖7五歩で先手に次の☖7六歩に勝る攻めがなく後手有利です。
これは☖7四歩が桂頭攻めを可能にし、☖7三銀が後手の3二の金にヒモをつけているなどなんとも後手の思惑通りの展開で見た目通り悪いです。
☗8八銀や☗7八銀としていない分角交換されて☖7五歩は厳しくなりやすいので気を付けたいところです。
ということで☖4五歩の局面では☗5五銀が無難、角交換を防ぎつつ☗4四銀を狙います。
いろいろ手はありそうですが飛車のあたりをよけつつ☗4四銀を防ぐ☖4三銀が自然に見えます。
これには☗3三飛成といきなり切って☖同桂☗3四歩と攻める手がみえます。
相居飛車において飛車を渡す手は気が引けますがコンパクトな先手陣を後手は飛車一枚では脅かせません。
つまり飛車を下ろして桂香を拾ってからでなくては攻めにならずそれまでに後手にクリーンヒットを浴びせれば先手勝ちというのがこの将棋の作りです。
さて、前図から☖同銀は☗4四銀で次の☗3三銀成が受からない(☖4二玉には☗5五角打くらいでも先手優勢)ので、☗3四歩には☖2五桂くらいですが、以下☗4四銀☖同銀☗同角☖3九飛☗1一角成と進行します。
キャプションにも書きましたがここで後手に意外に攻めがありません。
☖8六歩も馬が8八に効いているのでそこまで有効な手にはならなさそうです。
じゃあ先手よしなのか、というとこれは難しいところ
というのも図から☖6二玉と上がられると先手の方の手も難しいのです。
図からは☗4四馬☖2九飛成☗3三歩成と進んでやはり難しい戦い。
個人的には3二の金を取り切れれば駒得で先手よくなりるので後手に手が求められる上、☗4四馬の位置がいい(いつでも☗5四銀などの攻めがある)ため後手はどこかで自陣に手も入れなければならないことになりそう、といった理由で先手がよいと思っています。
ここからの変化もいろいろ紹介して先手よしのところをアピールしたいところですが長くなってしまうので見てる方各々に任せたいと思います(適当)
戻って②の選択、この局面から☖4三銀を見てみましょう。
このようにへこませるような手は先手としては気分がいいもののここまでされるとすぐに攻め倒すのも難しいです。
ここから☗3五銀☖7五歩☗同歩☖6四銀と進行します。
視覚的にもわかりそうですがこのまま一直線に銀の攻めだけで闘うと明らかに先手の角のほうが負担になってしまいます。
ですのでここは角をケアしながらじりじりと攻めていくのがいい方針です。
具体的には☗3四歩☖2二角に☗7八金という手です。
この手は☖7六歩や☖8六歩を緩和しながら落ち着けば☗3六飛~☗3七桂などからじっくり攻めるという指針の手です。
例えば以下☖5四歩と☗5五角を消すに対しては☗3六飛と浮いて後手の攻めを催促します。
次に先手には☗3七桂があるので☗5五角を消した手前☖7五銀と出ますが以下☗7六歩☖8六歩☗8八銀☖8七歩成☗同金☖8六歩に☗9七金で受かっています。
異様な金の動きですが☗3六飛の効きが強くて後手は攻め切れません。
そして攻め切れないとなると先手の☗4六歩や☗3七桂の攻めがじりじりとくるので後手失敗となります。
というわけで戻ってこの局面においては後手も悠長にはしていられないということで☖7五銀と出ますがそれにはやはり☗5五角が一手入ります。
これに対して☖9二飛や☖7三歩は攻め味が乏しくなるうえ効かされなので悔しいですがここは☖6四銀と引き☗7七角は千日手なので☗6六角とします。
☗6六角に対し後手としては角を飛び出させたと主張するほかないので☖5四歩と圧迫しますがやはり☗3六飛がいい手です。
これで後手からの攻めが難しくなります。
例えば角を攻めに行く☖7二飛は自然ですが以下悠々☗3七桂☖7五銀で攻めになってそうですが…
なんと上の局面図からは☗同角が成立します。
以下☖同飛☗2四歩☖同歩☗同銀☖2三歩に☗3三銀打が先手の狙いでした。
これは理想的な進行ではありますがここまでくれば先手優勢、攻めに使っていた銀をかちこまれて崩されているというので後手としてもたまったものではありません。
あくまで一例の紹介でしたが、戻って上の局面では既に後手の攻めが難しくなっておりここから指すなら☖5五歩くらいになるのですがそれには先手も☗3七桂など指したい手がたくさんあるのでこの局面までくれば先手満足といえると思います。
大変長くなりましたがまとめると
上の局面から☖4五歩に対しては☗5五銀として☗4四銀を狙う。
☖4三銀には☗3五銀~☗3四歩としたあと一度☗7八金として☗3六飛を狙い一度後手の攻めをいなしてから攻める
というのが今回のまとめでした。
細かい変化の紹介はできませんでしたがこれらを方針として指せば先手が満足になりやすいと思います。
…というわけで3partにわたって紹介してきた対後手雁木速攻編は終わりです。
もしわからない変化などがあればコメントなどで教えてくださるとうれしいです、プラスで記載したいと思います。
それでは、皆さんが後手雁木をぶっ潰せる未来が来るのを祈っております!!