エッセイに詩を混ぜて | ピュア理論
太宰はピュアである。
2024年の秋になっても、まだ話題にあがるその人を私はピュアな人だと思う。
かなり古いNHKのドキュメンタリー番組で、井伏鱒二氏が煙草を燻らせながらやっと一言語ったのは
「………いつも…書いてたね」
太宰は生前ほしい賞を獲れなかったが、太宰治賞は今もある。
田舎の青年時代には会ってくれないと死ぬと手紙を書いたり、作家になってからは芥川龍之介賞がとりたいと長い巻物のような懇願文を審査員に送ったりしたことも、太宰氏のファンなら周知の事実だろう。
ピュアな願望が
やがて野望に
果ては洞房に
男性の文豪には死のイメージが強いが、瀬戸内晴美から瀬戸内寂聴になった雄弁な作家は長生きした。
佐藤愛子さんも人生百年を謳歌している。
かつての天才の真似は出来ない
真似をすれば
こころの独房に入ることに
憧れるだけなら
ピュアな希望になる
そこから
自分を奮い立たせ
書き続ける人はみな天才
photo by 上湯かおり 2024年の秋に
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