好きよりも大事な「嫌い」。
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』という本に、こんなことを書いた。
たとえばあなたが恋人と別れるとき、関係が冷めきってしまったとき、あなたはその人の「嫌いな理由」をいくつでも挙げることができるだろう。考え方から言葉遣い、ふとした表情に服のセンス、さらには食事中の癖まで、たくさんの「ここが嫌い」を挙げられるだろう。
一方、恋に落ちている只中に「ここが好き」を挙げることは、意外とむずかしい。もちろん顔が好きだったり、しぐさが好きだったり、共通の趣味がうれしかったりはあった