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2020.4.27

2月末のある日、「ビッグ・リトル・ファーム」という映画の試写会に呼んでいただいた。前情報なしで観たその映画は、とある夫婦が自分たちの手で一から農園を作り上げるというドキュメンタリーだった。もともと完璧なバランスで成り立っている自然の摂理を「人」が作り上げるというのだから、それはちょっと想像するよりもはるかに大変なことで、たとえば、鶏を狙うコヨーテが増えて鶏が減る、すなわち卵が減る。となればコヨーテを減らせばいいじゃんと誰しもが単純に思うけれど、そうなると今度は別のバランスが崩れてゆく…。一筋縄ではいかない自然界の法則をまざまざと見せつけられた、とても考えさせられるストーリーだったのでした。

そもそも、絶妙に均衡の保たれた自然界に「人」が入り込むことで、確実にバランスは崩れている。それでも人は、社会を豊かに、経済を活発にすることに躍起になって、これまで環境にまつわるさまざまな問題にはずっと目を背け続けてきました。今回パンデミックが起き、世界中が自粛に追いやられる中、皮肉なことに大気汚染はみるみる改善されているのだそうです。ベネチアでは運河の水が澄んで見えるようになり、ロスでは大幅にスモッグが減った。そして、大気の状態が世界最悪とされる大気汚染大国インドでは青空が戻ったとの報道も目にしました。

そんな各国のニュースを目にするたび、「自然との共存」というワードが頭をよぎります。それはおそらく「ビッグ・リトル・ファーム」が映画を通じて投げかけていたテーマでもあって、今本当にみんなが考えなければいけないことなんだと思います。

そんな折、ひさしぶりに覗いているTwitterで、東浩紀さんのとある言葉に目が留まった。"ウイルスとはどうせ共存するしかないのだから、犠牲の少ない共存方法を考えよう。ウイルスに「打ち勝つ」とか、人類にそんな力はない。"

なるほど〜。賛否はあれど、やっぱりテーマは一貫して「共存」なのかもしれない。


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