ゲームプランナーに必要な基礎能力
3回目にしてついに「ゲームプランナーに必要な基礎能力」の話です。
本noteは「ゲームプランナーを育てる方」を対象としているので、「そもそもゲームプランナーって何しているの?」という話は割愛します。
(※万が一知りたいという人は桜井政博さんのYouTubeをご覧ください)
結論から言うと
先に言います。
ゲームプランナーに必要な基礎能力は「考える力」と「伝える力」です。
アイディアを考える、実現するためのロジックを考える、適切なステータスを考える力。そしてアイディアを形にするために企画書であったり、仕様書であったり、コミュニケーションだったり、さまざまなフォーマットで相手に伝える力。この2つに尽きると考えています。
つまり、ゲームプランナーを育てる=考える力と伝える力をいかに伸ばすかということになります。
企画書研修の罠
では皆さんは新人プランナーを鍛えるとしたら、どんな研修を用意するでしょうか。
私が経験してきた二社とも新人向けの研修を行っていました。そのうちの一社は毎年新人にオリジナルゲームの企画書を書かせていました。最後にオリジナルゲームを発表するという研修の締め感もあり、ゲームプランナーっぽさもありましたが、振り返ってみると費用対効果は低かったと思います。
企画書は面白さのコアを考え、それを伝える、というまさにゲームプランナーに求められる二大能力を求められる作業ではあるのですが、「企画書を書いても面白さのコアを考え、それを伝える能力が鍛えられるわけではない」です。
もちろん全く鍛えられないわけですが、能力の伸び率は良くないのではないかと思います。理由は簡単で、企画書はあまりにも複合的な能力を必要としているからです。「ゲームのコアを考える力」「ゲームのコアを体現するシステムを考える力」「言葉、図でゲームを端的に表す力」などなど、1枚の企画書には途轍もないスキルが必要になります。課題を用意する側としては「企画書100本ノック」などとすればいいだけなので楽ですが、課題を受ける側としては基礎問題を解かずに応用問題を100問解かされているのに近い感覚でしょう。
「考える力」と「伝える力」の基礎の基礎とは
先ほど「基礎問題を解かずに応用問題」という話をしましたが、では「基礎問題」とは何に当たるでしょうか。「考える力」と「伝える力」の基礎です。実は「社会人基礎力」のように「考える力」と「伝える力」をまとめる良い言葉があります。それは「国語力」です。
経産省に続き、文部科学省まで引用することになろうとは…。
「国語力」の伸ばし方は下記のように書かれています。
読書と若い世代の関係
国語力の形成には「読書」が代表的な手法であると出典元には記載されていましたが、国立国会図書館が行った「子どもの読書に関する7年間の追跡調査」によると若い世代ほど読書をしていません。
そもそもゲームクリエイターになろうという子供は、時間を読書よりもゲームに充ててきたことは想像にたやすいでしょう。子供をとりまく娯楽の種類も豊富になり、スマホがなかった時代の子供に比べて読書量は減っています。読書量が減ると、「国語力」は身につきません。必然、若い世代ほど「国語力」が弱いことが懸念されます。
そのため、若い子には「ゲームもいいけど本を読もうね」というのが一番良い指導なのではないかと思います。
とはいえ、「研修の一環として業務中に本を読もうね!」というのは適切ではないです。時間も必要ですし、即効性があるものではありません。1on1などで「読書はゲームプランナーの基礎能力に大きく寄与する」と指導する程度が無難だと思います。
文章力研修のススメ
そこで私がおすすめしたいのは「文章力」研修です。「文章力 トレーニング」などとAmazonで検索すると大量の文章の書き方のHow to本が販売されているかと思います。そのどれでもいいので、一冊を新人に渡す、または講師が読んで要点を指導するのが良いと思います。先に挙げた国語の知識に書かれているものが概ね体系的にまとめられています。
体系的にまとめられているということは、そのコツさえ学んでしまえば速攻で身につきます。また、良い文章の型を知ることで、読む力も身につきます。型を知り、業務で文章を書いたり読んだりすることで、プランナーとしての文章力は磨かれていくことでしょう。
これだけ…?と思われるかもしれませんが、まずは国語の基本の型を学んでもらう、それに尽きると思います。
文章力研修用教材の紹介
「文章力を鍛える本はどれでもいい」と書きましたが自分が読んだ本を紹介します。ただ、何冊か似た本を読んだのですが、大体言っていることは同じでした。そのため、演習問題付きにしたい、サンプル見て良さそうだった、など好みに応じて選んでいただければと思います。
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