幸せについて
ヤニス・バルファキス著 関美和訳「父が娘に語る経済の話。」読んだ。
帯に、ブレイディみかこさんが「近年、最も圧倒された本。」とあって以前から気になっていた。著者はギリシャの経済危機時に財務大臣を務め、EU から財政緊縮策を迫られるなか大幅な債務帳消しを主張した方。
この本、すごく面白かった。
学生の頃にこういう本が面白いと感じて読めたらよかったなと思ったけど、多分難しいんだろうな。色々失敗してきたし、いい大人になった今だからこそ、この本の面白さを理解できたのだと思う。でも息子たちが本を読める頃になったら絶対にすすめたい。
一番印象に残ったこと。
市場社会は見事な機械や莫大な富をつくりだすと同時に、信じられないほどの貧困と山程の借金を生み出す。そして、人間の欲望を永遠に生み出し続ける。今の経済は人間の欲する目標を手に入れるのに適していないどころかそもそも手の届かない目標を設定したシステムであるということ。
そして、本当の幸せとは、完璧に欲望を満たし続けてくれるシステムにはなく「何者かになるプロセス」にあるということ。
すっかり内側に入ってしまうことなく遠くから俯瞰してみる視点を持ち続けること。
アルキメデスの言葉「十分に長いテコと足場を我に与えよ。さらば地球をも動かさん」(離れてみると何事も不可能ではない)
今、まさにたくさんの制限・制約があり、自分の欲望と向き合うことが増えた。その中で、自分の頭で考えてどう進化させられるのか、他からの支配と向き合うのか、このプロセスをふめること自体が幸せなのだと気付かされる。