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小麦アレルギー、セリアック病、ノンセリアックグルテン過敏症はどう違うの(1/3)

小麦を食べてはいけない理由を知って欲しい!

小麦を食べてはいけない、あるいはグルテンを摂ってはいけない病気として、小麦アレルギー、セリアック病、グルテン過敏症(グルテン不耐症)が知られています。この3つは、原因物質も発症メカニズムも異なる、別の病気なのですが、症状の一部が重複していることもあり、ウェブ上には間違った情報が堂々と掲載されています。

ご本人やご家族は、病気について理解されていて、食べてもよいもの、食べてはいけないもの、食べてはいけない理由がわかっているので、心配ありません。でもレストランや弁当屋さん、お惣菜屋さん、給食やおやつを出している幼稚園・保育園・学校など、食に関わるお仕事をされている方が、この3つの病気の違いや、小麦やグルテンを避けなければいけない理由を、どこまでご存じでしょうか。

食事に悩む女性

来年はオリンピックイヤーです。外国からたくさんの方が日本に来られます。その中には、セリアック病の方、グルテン過敏症の方もおられるので、グルテンフリーの需要が増えるでしょう。また日本人で食物アレルギーの方は、年々増加しています。グルテン過敏症の方もかなりおられるでしょう。グルテンフリーの食品を提供する際、なぜ小麦やグルテンがダメなのか、誤って摂取するとどうなるのか、わかりやすく説明したいと思います。

小麦アレルギーは即時型アレルギー

小麦アレルギーの原因は、小麦に含まれるたんぱく質です。これはグルテンに限りません。ですから、厳密にいうと、グルテンフリーという表示は、小麦アレルギーの方には不十分で、アレルギー表示欄に「小麦」と表示されているかどうかで、で食べてよいかどうか、判断することになります。

小麦アレルギーは、即時型アレルギーといって、小麦に含まれるたんぱく質を、体の免疫系が排除しようとすることによって起こります。食べてから数分から数時間以内にじんましん・湿疹、腹痛・下痢などの症状が出て、重い場合は呼吸困難や意識障害になることもあります。さらに原因物質が皮膚や気道から入る場合もあるという点が、他の2つの病気とは異なる点です。

救急車

セリアック病は遅延型アレルギーによる小腸細胞の破壊

セリアック病は、小麦など含まれるたんぱく質であるグルテンのうち、グリアジンという物質が原因です。似た物質が、大麦とライ麦にも含まれるので、グルテン含有穀物は、小麦、大麦、ライ麦となっています。グルテンフリーという表示は、セリアック病の患者さんが食べても大丈夫、という意味です。

セリアック病は、遅延型アレルギーといって、グリアジンが体内の免疫系を活発化させ、グリアジンを排除するために、グリアジンが存在する小腸の絨毛細胞を攻撃し、破壊してしまうことで起こります。遅延型なので、食べてから症状が出るまでに、数日から数週間かかります。症状としては、腹痛・下痢・便秘・腹部膨満感のほか、栄養吸収が不十分になることによる慢性疲労や貧血、カルシウム欠乏なども起きます。人間の栄養の大部分は小腸から吸収されるうえ、免疫細胞の7割が小腸にあるため、小腸の細胞が破壊されるセリアック病は全身にさまざまな症状があらわれます。

小腸絨毛細胞

ノンセリアックグルテン過敏症はまだ完全に解明されていない

ノンセリアックグルテン過敏症(NCGS)は、セリアック病や小麦アレルギーがない場合に、グルテンの摂取が胃腸および腸外の症状を誘発する状態といわれています¹⁾。実は、NGCSについて、最近いろいろなことがわかってきました。
まず原因物質はグルテンと考えられてきましたが、グルテン以外の物質も発症に関わっているのではないかといわれるようになってきました。これらの物質はいずれも、グルテン含有穀物に含まれるものです。
NGCSの症状は、グルテン含有穀物を含む食物を食べてから、数時間から数日で現れます。腹痛・下痢・便秘・腹部膨満感のほか、湿疹、頭痛、倦怠感など、セリアック病と似た症状を示します。セリアック病とNGCSの違いは、遺伝性かどうかということです。セリアック病は特定の遺伝子を持つ人だけが発症しますが、NGCSには遺伝性はないといわれています。

いかがでしたか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。ポイントをまとめに書きましたので、見てください。
次回は、それぞれの病気について、何に気を付けたらよいのかを中心に、説明していきたいと思います。ご興味のある方は、フォローしていただけるとうれしいです。

まとめ

3つの病気の比較


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